第二部8(81)ma chérie
「こんばんは。執事さん」
その日の夕刻の点呼を終えた後、ダーヴィトは寄宿舎をこっそりと抜け出し、アーレンスマイヤ家に向かった。
エントランスでダーヴィトを出迎えた執事は彼の突然の、しかも夜間の訪問に驚いたようだった。
「夜間に突然来訪する無礼をお許しください。マリア・バルバラさんに会いに来ました」
執事は少しの躊躇の後、ダーヴィトをエントランスに待たせて一旦、屋敷内へと下がっていった。
再び戻って来た執事が申し訳なさそうにダーヴィトに告げる。
「マリア・バルバラ様は、その…あなた様とはお会いにならないそうです。わざわざご来訪下さったのに誠に申し訳ございませんが・・・・。あの…それから、今後も一切あなた様とはお会いにならないと伝えるように申しつかりました。あなた様を巻き込んでおきながら、勝手な言い分を丁重にお詫び申し上げるように申しつかってございます」
― 彼女も、外野から相当なプレッシャーをかけられたな。
大方、未来ある青少年の将来の事も少しは考えて身を引くように…だの何だの言われたのだろう。…お節介も甚だしい!自分の未来ぐらい自分で決めるから、何も知らない外野は黙っていて欲しい。
ダーヴィトは恐らくマリア・バルバラに知った顔で忠告めいた発言をしたであろう、モーリッツの母親やネトケの母親らのしたり顔に、心の中で舌打ちした。
― 上等だ。
「マリア・バルバラさんの部屋はどこでしょう?…案内して頂けますか?」
ダーヴィトの決然とした口調に力づけられたように、執事が「こちらです」と屋敷内へとダーヴィトを案内した。
その日の夕刻の点呼を終えた後、ダーヴィトは寄宿舎をこっそりと抜け出し、アーレンスマイヤ家に向かった。
エントランスでダーヴィトを出迎えた執事は彼の突然の、しかも夜間の訪問に驚いたようだった。
「夜間に突然来訪する無礼をお許しください。マリア・バルバラさんに会いに来ました」
執事は少しの躊躇の後、ダーヴィトをエントランスに待たせて一旦、屋敷内へと下がっていった。
再び戻って来た執事が申し訳なさそうにダーヴィトに告げる。
「マリア・バルバラ様は、その…あなた様とはお会いにならないそうです。わざわざご来訪下さったのに誠に申し訳ございませんが・・・・。あの…それから、今後も一切あなた様とはお会いにならないと伝えるように申しつかりました。あなた様を巻き込んでおきながら、勝手な言い分を丁重にお詫び申し上げるように申しつかってございます」
― 彼女も、外野から相当なプレッシャーをかけられたな。
大方、未来ある青少年の将来の事も少しは考えて身を引くように…だの何だの言われたのだろう。…お節介も甚だしい!自分の未来ぐらい自分で決めるから、何も知らない外野は黙っていて欲しい。
ダーヴィトは恐らくマリア・バルバラに知った顔で忠告めいた発言をしたであろう、モーリッツの母親やネトケの母親らのしたり顔に、心の中で舌打ちした。
― 上等だ。
「マリア・バルバラさんの部屋はどこでしょう?…案内して頂けますか?」
ダーヴィトの決然とした口調に力づけられたように、執事が「こちらです」と屋敷内へとダーヴィトを案内した。
作品名:第二部8(81)ma chérie 作家名:orangelatte