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第二部9(82)パンドラの箱

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「じゃあ。調べて何か分かったら、また訪ねさせてもらうよ。くれぐれも…危険な…無茶な真似はしないで。何でも、どんな些細な事でも、僕に相談して」

「分かったわ。探偵さん。…頼りにしているわ。…待っているから…」

エントランスまで見送ると言ってくれたマリア・バルバラを制し、ダーヴィトは彼女の部屋の前で額に頬に、そして最後に唇にキスの雨を降らせた。

「ねえ。寄宿舎って、点呼とかあるのでしょう?…あなた大丈夫だったの?」

「大丈夫さ。誰か彼かが、フォローしてくれてるよ。「お互い様」ってね」

― じゃあ。

ダーヴィトがアーレンスマイヤ家を後にするのを、アネロッテとヤーコプが屋敷内からじっと見つめていた。

校長先生にヴィルクリヒ先生、ヤーコプ、アネロッテ。そして、マリア・バルバラとダーヴィト―。

プレイヤーは揃った。

彼らの前に、今、パンドラの箱が、ゆっくりと開き始めた―。