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第二部20(93) 収監そして反撃

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警察に連行されたゲルトルートは、そのまま留置所に収監された。

鉄格子の嵌まった留置所に、茫然と崩れ落ちる。

― なぜ…私が、マリア・バルバラ様に毒を?あの薬に…毒?一体誰が…、誰が薬に毒を入れて…誰がその薬を警察へ持ち込んだ?…アネロッテ様?それとも…ヤーコプ?

無実の罪で逮捕されたショックの後にやって来たのは、次々と頭に浮かぶ疑念だった。

懸命に冷静になって頭の中を整理しようとしていたゲルトルートの牢の前にあの帝国警察の刑事が現れた。

「おい、お姉さん。気分はどうだい?」

「…いい訳がありません。全く身に覚えのない事でこんな場所に入れられて。一体何故私がこんなところに連れてこられたのですか?納得いくように説明してください」

「お、なかなかシャンとしてるな。上等上等。…あんたを逮捕するよう要請してきたのは、あのゼバスの兄さんだよ。ったく。ここは宿屋じゃねえっていうの。食えない坊やだぜ。最初は校長先生、で、次はあんただ…」

「え??ダ、ダーヴィトさんが?本当に?…なぜ?」
裏切られたショックで、ゲルトルートの顔が泣き出す寸前のように奇妙に歪む。

「おおっと!誤解するな?!…あの兄さんはあんたを裏切ったわけじゃないぜ。…寧ろあんたの命と安全を守ろうと思ったんだ。…危険な目にあったあんたの身の安全を危惧して、ここに保護させようって肚だ。…確かにここはこの街で一番安全な…外の人間がどうやっても手出し出来ない唯一の場所だからな。悪いが、そう言う事だ。あんたに、悪かったって…あの兄ちゃんが謝っといてくれって…。それを伝言しに来たんだよ。それから…一応あんた重要参考人ってことになってるから、形だけの取り調べはしなきゃならないから…まあ、その時は協力してくれや。…まだ春先とはいえ冷えるから、後で毛布をもう一枚持ってきてやる」
― まあ、後でマエは残らないようにちゃんと書類は弄っといてやるから…、元気出せよ。

そう言って刑事は踵を返した。
刑事の背中にゲルトルートが声をかける。

「あの…!校長先生は…フレンスドルフさんは…?」

「ああ。あの先生は…あんたと違って本当のガチの重要参考人だ。あの兄ちゃんの言った通り、あの先生の部屋には昨年本物の剣とすり替えられた偽物の剣と…、それからアブラハム・ウント・レヒナー商会を騙ってマリア・バルバラ嬢とやり取りした書簡が出て来た。余罪について今取り調べ中だが…あの剣の傷害事件に関しては、被害者は行方不明、アブラハム・ウント・レヒナー商会に関しても…脱輪事故との因果関係を立証するのはは難しいな…。せいぜい詐欺ぐらいだろう。まあ、奴さん依然として黙秘を続けているけどね」

「そう…ですか」

「まあ、そういう訳だから、あんたは気を確かに持って、せいぜい骨休めでもしてろよ。こんなブタ箱で生憎だがな」

― じゃあな。…また何かあっちに進展があったら、知らせてやるよ。

そう言って、刑事は留置所を後にした。