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intermezzo ・白い花~未来への贐(はなむけ)

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「今度生まれるならば、あの白い花に生まれよう。
そうして、ありのままの姿で咲き誇り
あの人の目に留まり、あの人の指に手折られよう。
今度生まれるならば、あの小鳥に生まれよう。
そうしたならば、あの人の肩に止り、心のままに愛を囀ることもできるのに。」

ポト・・・・・

「あ・・・」
―バカだな・・・らしくもない、詩なんて・・・しかもこんな・・・こんな物騒な調べものしながら。ハ、ハハ・・・。

走り書いた文字がぼやけて滲んでいく。

―なんだよ、グショグショじゃない、か・・・。

なのに出来なかった・・・人の目に触れぬようビリビリに破いてしまおうと思ったのに・・・でもそんなことをしたら、この来世の望みさえもビリビリに断ち切られてしまう気がしたから・・・グショグショだったのは紙上の文字じゃなく、ボクの瞳だったのだから・・・。

ボクは涙を拭いそれをゆっくりと四つ折りにすると、入手した資料に挟み込み音楽室に向かった。そして、ここのところずっと練習している曲が譜面台に置かれたままのピアノの蓋を開ける。

ポロン・・・ 

―クラウス・・・
今度の演奏会で君らが弾くシューベルトのソナチネ・・・イザークの座を狙ってるわけじゃないけどね、好きな曲だったから・・・ううん、一度でいいから一緒に弾いてみたくて・・・君と呼吸を合せ、時折見つめ合いながら・・・そう、互いの弦が絡み合うほどに深くわかり合えたら・・・。
君のことがよくわからないよ・・・よそよそしく避けられているからそれなりの態度を取れば「なんだよ」とまた近づき、この前はボートであんなこと・・・。
あれはいったいどういうこと?どうしてあんなこと言ったの?

その鳶色の瞳から逃げきれなくてクラウスを見つめてしまうボクの目が、知らず何かを訴え求めているのか・・・?想いを募らせるほどに虚しさも募りボクの心はどんどん脆くなって、ともすれば彼の胸に崩れ落ちそうになるのを必死で踏ん張っているのに・・・彼はそんなボクを弄ぶように優しさや同情を投げかけて来るんだ。

―でも君が実際、本当のボクの姿を知ったら・・・あの時みたいな同情じゃなく、女の子として優しくしてくれるの?か弱い小鳥を大きな手で優しく包んだように・・・あの一面の白い花を、綺麗だと目を細めたように・・・。