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Lovin 'you after CCA 9

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Lovin you afterCCA 9


少し遡って、アクシズショック後、数ヶ月経った頃のお話になります。
二人は一応、内輪で結婚式をしましたが、まだ正式な夫婦ではありません。戸籍上はまだ、アムロはアルの奥さんです。
アムロはアナハイムエレクトロニクス社に復帰し、メカニックとして連邦のラー・カイラムとネオ・ジオンのレウルーラやスウィート・ウォーターを行ったり来たりしています。
親しい人間以外はシャアとの関係を知りません。



ネオ・ジオンの旗艦「レウルーラ」。
そのドックに、アナハイムエレクトロニクス社のメカニック、アムロ・R・ウォレスは同僚たちと共に、MSの交換用パーツの納品に来ていた。
「こんにちは、アナハイムエレクトロニクス社です。交換部品の納品に参りました。」
「ああ、ご苦労様。こっちで検品するから運んでくれ」
パーツを重機で指定場所に置き、ネオ・ジオンのメカニックチーフがそれを検品、受領する。
「検品完了。問題ないからそのまま交換作業に入ってくれ」
「はい、わかりました。」
アナハイムの代表者がそれに答えると、アムロたちスタッフが一斉に交換作業に入る。
「アムロはそっちの青いギラ・ドーガを頼む」
「わかりました」
アムロはメカニック用のつなぎに身を包み、肩ほどの長さの髪も纏めて縛っている。
そのせいか、ぱっと見は細身の男性に見える。
アムロは青いギラ・ドーガのコックピットに入りパーツの交換と調整を始めた。
「このギラドーガ、隊長機か。確かあの戦闘で先頭切って戦っていたな。結構腕のあるパイロットだった筈だ。」
アムロはそんな事を呟きながら作業に没頭する。
すると、ハッチの方から声が聞こえる。
「アレ?あんた女か?」
声を掛けて来たのは、明るいブラウンの髪にパープルのルージュをつけた女性パイロットだった。
「はい、アナハイムエレクトロニクス社のアムロ・R・ウォレスです。よろしくお願いします」
アムロは立ち上がり、パイロットへと挨拶をする。
「レズン・シュナイダーだ。整備よろしく頼む。」
「はい、わかりました」
本人も女性という事もあり、特に女性のメカニックに、嫌な顔をする事なく対応してくれるレズンに好感を覚える。
「あの、何か操作で気になる点とかあれば一緒に調整しますけど…」
アムロの申し出に、それならばと、レズンはいくつか指示を出す。
「それじゃ、頼んだよ!」
「はい」
そう言い残し、レズンはにこやかにコックピットを後にした。
アムロは手早くパーツ交換と調整を終えると、次の機体へと移動する。
「オクトパーさん、ギラ・ドーガ終わりました。」
「アムロ、早いな。それじゃ次は隣のヤクト・ドーガを頼む」
「分かりました」
それを横で見ていたネオ・ジオンのメカニックチーフが驚いた顔をする。
「あの兄ちゃん、若いのに手際がいいな。」
「え?ああ、アムロの事ですか?ははは、ああ見えて女性ですよ。それに童顔ですけど、確か今、二十九歳だったかな。結婚してて子供も二人います。」
「ええええ!本当か?てっきり新人の兄ちゃんかと思った。それに二人の子持ち!?見えねえな!」
それを耳の端で聞きながら、アムロが小さく溜め息を吐く。
『兄ちゃんって…。それにオクトパーさんも童顔とか酷い…』
そんな事を思いながらもヤクト・ドーガの作業を始める。
すると、横でクスクス笑う声が聞こえてくる。
見上げると、ヤクト・ドーガのパイロット、ギュネイ・ガスがこちらを見て笑っていた。
「ギュネイ准尉、何か用?」
この笑いは、さっきのを聞いていたんだろうと思いながら、アムロはギュネイを睨みつける。
「いや、あんた…ククッ“兄ちゃん”って」
アムロの反応に、更に笑いが込み上げるギュネイにアムロの機嫌が急降下する。
「うるさいよ!」
「はは、悪い。それより、あんた何でアナハイムのメカニックなんてしてるんだ?」
「何でって、こっちが私の本職だから。パイロットは副業?それに軍人の私は死んだことになってるからパイロットする訳にもいかないし。まぁ、もうその必要も無いけどね」
「なっ!あんたもうMSには乗らないって言うのか!?」
アムロのその言葉に、ギュネイが声を荒げる。
「いや、テストパイロットとしては乗るよ?」
「そうじゃなくて、もう戦わないのかって言ってるんだ!」
「まぁ…シャアがもうあんな事しないって言うならその必要は無いかな。」
「あんな腕を持っていながら何言ってるんだ!それに、俺はまだあんたに勝ってない!MSを降りるなんて許さない!」
ギュネイが肩で息をしながら一気に叫ぶ。
「ギュネイ…、そんな事を言われても…」
と、そこに騒ぎを聞きつけたオクトパーが現れた。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ。何でも…」
「テストに模擬戦をして欲しいって依頼をしていたんです。」
アムロとオクトパーの間にギュネイが割って入る。
「ギュネ…」
「今回のパーツ交換の効果を模擬戦でしっかりと確認したいんです。彼女にはそのテストパイロットをお願いしていました。あなたが上司ですよね?許可して頂けますか?」
アムロに何も言わせない勢いで、ギュネイがオクトパーに模擬戦の依頼をする。
「模擬戦ですか?」
「はい、実戦に近い状態で動作確認したいので。」
ギュネイの申し出に、オクトパーは困ったようにアムロへと視線を向ける。
オクトパーはアムロの上司であり、νガンダムの開発にも携わっていた為、アムロが“アムロ・レイ”である事を知っている。
下手な事をしてアムロの正体がバレてはマズイと、ギュネイの申し出を断ろうとしたその時、
「良いんじゃないか?」
と、後ろから声がかかる。
振り向くと、そこにはアナハイムエレクトロニクス社の開発部門のトップであるエドヴァルド・レイブンが顎に手をあてて、笑いながら三人を見つめていた。
「エド!」
「オクトパーも今回のパーツの実戦データが欲しいだろう?」
「それはそうですけど…別に彼女でなくても…」
「アムロも自分が開発したパーツのテストを自分でしてみたくはないか?」
今回納品したパーツは、アムロが開発から携わったものだった。だからもちろんエドの言う通り自身で確認はしてみたい。
「…したい…」
「なら決定だ。ただし、あくまでテストだからな。あまり本気になるなよ。それからファンネルの使用は禁止だ。ギュネイ准尉、それでも良いか?」
「ああ、構わない」
「エド…」
アムロが困惑しながらエドを見つめる。
「なに、そんなに心配せんでもテストだ。模擬弾使用で、サーベルの出力は最小に抑える。折角納品した物を壊されたらたまらんからな。」
「だ、そうだ。アムロ大尉、お願いします。」
「ギュネイ…」
アムロは渋々ながらも承諾し、ヤクト・ドーガの交換作業と調整を終えると、ノーマルスーツに着替えてドックに戻ってきた。
その姿を見たレズンがアムロに声を掛けてくる。
「あれ?あんたパイロットもするのか?」
「あ、レズン少尉。はい。テストパイロットですけど。今からギュネイ准尉と模擬戦で動作テストをするんです。」
「ギュネイと!?」
動作テスト目的の模擬戦とは言え、ネオ・ジオンでも一二を争う腕を持つギュネイと戦うと聞いて驚く。
作品名:Lovin 'you after CCA 9 作家名:koyuho