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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL27

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第91章 竜殺し(ドラゴンスレイヤー)


 デュラハンの凶刃にて死したはずのロビンが、太陽神剣ソルブレードを構え、デュラハンと対峙していた。
 ガルシア達は一声も発することができない状態となっていた。
 デュラハンとの激しい戦いの後で、体力の消耗が激しかったのが理由の一つだが、それ以上に驚きが非常に大きかった。
「ろ、ロビン、お前なのか……?」
 ガルシアがどうにか声を絞り出す。しかし次の瞬間、更なる驚きがガルシアを襲った。
「ガルシア、ちょっと腰のもの借りるぜ」
 ロビンの左手には、ガルシアの聖剣、エクスカリバーがあった。
 エナジストであれば、ほとんど誰もができる物体干渉の力であるが、ロビンが使ったものは少し勝手が違っていた。
「お、おい、今ロビンエナジーを使ったのか?」
 ジェラルドが誰にともなく訊ねる。
「確かに使っていたぞ、無詠唱でな。しかもこっちを見ないで、正確に自分の手元に引き寄せた。よっぽどエナジーの精度がなければできないことだ……」
 シンは、自らの眼に写ったこと全てを話した。
 無詠唱エナジーの難しさは、果てしないものだった。例え物体を動かせたとしても、どこに飛ばすのかのコントロールが難しいのである。
 それをロビンは、視認することなくやってのけた。ロビンのしたことは、目を閉じたまま高速で飛んでくる物体をキャッチするのと変わりはなかった。
 ロビンは両手に剣を持ち、そのまま戦うのかと思われた。しかし、エクスカリバーを構えることはせず、ただ水平に持っているだけである。
 するとロビンは、ソルブレードを垂直に持ち、エクスカリバーと刃を合わせ、エクスカリバーの刃を横に引いてソルブレードに擦り付けた。
 チャリン、と甲高い音を立ててエクスカリバーを擦り放すと、エクスカリバーが神秘的な輝きを帯びた。
 そしてロビンは、エクスカリバーから手を離し、エナジーによって空中に浮遊させた。
 ロビンが左手の人差し指を立てると、エクスカリバーはガルシア達の頭上へと飛んでいった。更に、ロビンが空中に円を描くように指を動かすと、浮遊するエクスカリバーはガルシア達の周りを一周した。
「これは……!?」
 エクスカリバーの通った軌跡には、ソルブレードから得た不思議な力が光輝いていた。
 すっ、とロビンは指を下ろすと、同時にエクスカリバーは元の位置、ガルシアの腰元の鞘に収まった。
「聖剣の力を使ってバリアを張った。その中にいれば悪しき力から身を守ることができる。もちろん、ヘタな力でも破れはしない」
 ロビンは、自身が施した術の正体を話した。
 そしてすぐに、ロビンの視線は周囲とは明らかに異なった趣の柱へと向く。それは例の、シバが捕らえられている柱であった。
「シバ、あんなところに囚われて……。すぐに助けなくては」
 ロビンは柱へと近付き、ガラス張りのようになっている部分を叩き割ろうとした。
「待ってくれロビン!」
 叫び声を上げたのはガルシアである。それとほぼ同時のタイミングでロビンは手を止める。
「シバを無理にそこから出してはだめだ。シバはひどく弱っていて、デュラハンの与える活力でなんとか生きているのだ!」
「なるほどな……」
 ロビンは納得し、突き出した剣を下ろした。
「シバの様子を見るに、もう何日と食事を摂っちゃいないんだろう。死に至ってもおかしくないほどにな。けれども生きてるということは、そういうものがあって然るべき、か……」
 ガルシアが説明するまでもなく、シバが何故囚われの身の状態のままなのか、ロビンは理解した。
「これは、無理矢理助け出したらその瞬間死ぬな。となれば、方法はこれしかないな……」
 ロビンはソルブレードの切っ先をデュラハンに向ける。
「デュラハン、貴様を締め上げて囚われの仲間を救う。貴様を殺すのはその後だ……!」
 ロビンは静かに言い放った。
「ぐ、ぬぬぬ……!」
 デュラハンは、ロビンの放つ殺気に圧倒され、思うように動けずにいた。
 殺したはずの人間が甦り、今こうしてデュラハンの前に立っている。ただでさえ、デュラハンの驚きは大きく、ロビンの殺気に圧倒されている上に、驚愕のあまりにその身を硬直させていた。
「デュラハン」
「ぬうっ!?」
 一声ロビンに呼ばれただけで、デュラハンは過剰に反応してしまう。
「オレは貴様を絶対に許さん。ウェイアードの人々を陥れ、ガルシア達を痛め付け、そしてシバとイリスをさらった。貴様は許すまじき存在だ」
 そして、とロビンは付け加える。
「このオレを死に至らしめた事、貴様の死によって贖ってもらうぞ。決して楽には死ねると思うなよ……!」
 ロビンの前髪から垣間見える鋭い眼光が、デュラハンを突き刺した。
「くたばり損ないが調子に乗るなぁ! 何故生き返ったのかは知らぬが、生き返った事を後悔させてくれるわ!」
 デュラハンは叫び、ロビンに向かって斬りかかった。その巨体からは想像できないような速さの刃がロビンに襲いかかる。
 しかし、ロビンは僅か、斜め前の体捌きによってデュラハンの攻撃をかわし、隙をさらしたデュラハンに向かって反撃の刃を振るった。
 横一閃の剣による攻撃は、相手がデュラハンでなければ一瞬にして終わっていた。
「おっと、悪いなデュラハン!」
 ロビンは口元を吊り上げた。
「ぐっ……!?」
 デュラハンはこうもあっさりとかわされると思っておらず、呆気に取られていた。
「お前には首が無いんだったな。うっかり首ハネ飛ばして終わりにしようとしちまったぜ」
 ロビンは攻撃をわざと外し、デュラハンを挑発したのだった。
 右肩に手を当てて肩を回し、ロビンは挑発を続ける。
「あー、体が何だか固まっちまってるな。死後硬直が始まってたのか? 何にせよまだ本調子じゃねえな。デュラハン、ちょっと準備運動に付き合えよ?」
 ロビンは、指をデュラハンに向けて指すと、手のひらをかえしてクイクイ、っと指を上下させた。
「ぐうううう……!」
 デュラハンは完全に挑発に乗ってしまい、怒りをあらわにする。
「それほどまでに死にたいようだな……!? よかろう今度こそ二度と甦れんように引き裂いてくれよう!」
「……ふっ!」
 デュラハンは仕掛けた。しかし、左斜めに振り下ろす攻撃は、ロビンに下がってかわされる。
「そこだっ!」
 デュラハンは、切っ先をロビンに向けて突きを繰り出した。
 それに対してロビンは、回りながらデュラハンの鋭い突きを回避した。
「はぁっ!」
 デュラハンはすぐさま刃を寝かせ、大きく横薙ぎに剣を振った。しかしその攻撃は、ロビンの二回目の回転の動きで空を斬るのみであった。
 大振りの攻撃を避けられ、デュラハンは隙だらけとなる。
「ぐおっ!?」
 ロビンに背後へと回られ、更にソルブレードの切っ先を突きつけられ、デュラハンは驚きのあまりに動けなくなってしまった。
「伊達に剣を得物にしちゃいないな、オレが下がった所に突きを放ち、かわされても剣を寝かせて斬撃に移行する。悪くない技だ」
 だが、とロビンは付け足す。
「遅すぎるんだよ。完全に止まっているように見えるぜ? デュラハン」
 ロビンは突き付けた剣を下ろし、後ろに下がっていった。デュラハンは警戒しつつロビンに振り向く。