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こらぼでほすと 秋刀魚1

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店に経理の手伝いに出た日に、紅から焼いてジブジブ言ってるさんまが食べたいとねだられた。飲食店のものは焼いてから時間が経過していて焼きたてではないのが、紅は不満であるらしい。そういうことなら、うちに来ればいいじゃないか、と、ニールが誘ったら、爾燕とセットで午前中にやってきた。休日だと年少組が現れて混雑するから、平日に現れたとのことだ。じゃあ買い物して焼きたてのさんまで、お昼にしようと三人で近所のスーパーへ買い出した。
「ニール、俺は、こっちをかける。」
 店でサンマを物色していると、紅はポン酢を手にしていた。寺では、醤油と大根オロシだが、別の食べ方であるらしい。
「ポン酢? あーまあ、カボスかけて醤油なら似たようなもんか。」
「というか酸味のきついほうが口がさっぱりするんだ。この間、雑誌で読んで試したかった。」
「俺も、こっちの乗るぜ、ニール。」
「そういうことなら、大根オロシは任せるぞ? 紅。あと、さんまの刺身もするか? 爾燕さん。」
「そうだな、さんま縛りにして、いろいろ試してみよう。南蛮漬けと煮物は俺がやる。」
「うーん、ということは俺は焼きと和え物ってとこだな。南蛮漬けは多めに頼むよ。それなら、年少組も喜びそうだ。」
「あと、贅沢ついでにマツタケの焼き物もつけてくれ。俺が支払うから。」
「あははは・・・いいなあ。よしっっ、それじゃあ買い物開始っっ。」
 適当に打ち合わせて大量に秋刀魚を買い入れて、料理することにした。さすがに近所のスーパーにはマツタケがなかったので紅が、それだけは別に買い出すことにしてクルマで出かけた。荷物を持って帰って来たニールたちにも寺の坊主は呆れ顔だ。
「何をやるんだ? カッパ兄。」
「秋の正しい秋刀魚づくしってやつだ。昼には豪勢だが、まあ、たまにはな。」
「三蔵さん、秋刀魚じゃないほうがいいですか? 焼いたのはマヨにしますか? 紅がポン酢にカボスという新しい食べ方をするんですが? 」
「俺は醤油に大根オロシだ。あと、ビール冷やせ。」
「はいはい、用意します。」
「メシは白飯か? 」
「そのつもりです。せっかくの焼き魚だから、白飯のほうが合うでしょう。炊き込みご飯がいいなら、そっちも用意しますよ? 」
「いや、白飯オンリーでいい。おまえも、ちゃんと食え。」
「はははは・・・まあ、適度に? 」
「いや、目一杯詰めろ。食わせてやる。」
「いやですよ。せっかくのおいしい料理なんだから腹八分目くらいがいい。」
「それで昼寝するなら許してやる。」
「あーまあ、それでもいいけど。」
 もちろん、この寺夫夫のいちゃこらの側には爾燕も存在しているのだが、気にしていない。いつものことだから、さくさくと秋刀魚の下処理を始めている。南蛮漬けは、まず秋刀魚を素揚げするので、三枚オロシにするところからだ。半身を三等分にしていく。煮物のほうはぶつ切りで、今回は時間がないから甘辛く味噌で煮付けることにした。
「ニール、たまねぎとニンジン頼む。」
「了解。酢漬けにしたいんで、細切りをお願いします。」
 たまねぎとニンジンの千切りを甘酢につけて、ここに素揚げした秋刀魚を叩き込むので、そこいらの準備からニールも参戦する。和え物は菊と菊菜としめじを酢で〆た秋刀魚と和えるので、下処理している爾燕に、それも作ってもらう。
 さすがに魚を捌くのはニールでも得意ではない。数をこなせばいいとは爾燕からも言われているが、量が生半可ではないので、そこまでしている暇がないからだ。
「練習するか? 」
「いや、もういいよ。俺は、あんたにしてもらえるからさ。あと、八戒さんもいてくれるし。」
「そのうち、させてやるさ。できると、何かと楽だからな。」
「そうは思うんだけど、普段、捌いてる暇がなくて。」
「まあなあ、悟空の腹に合わせると大量に必要になるからなあ。・・・・はいよ、酢〆めの分。三匹でいいか? 」
「ああ、サンキュー。とりあえず、これを昆布と酢につけて・・・こっちもたまねぎとニンジンは完成。」
「そういや、リジェネは、どうした? 」
「今日は出かけてる。夕方には帰るだろう。」
 リジェネも、たまには一人で出かける。今は、ニールの体調が安定しているし、今日は紅と爾燕が来ると知っていたから、秋葉原まで遠征した。
忙しくしていれば精神的に落ち込まないので、リジェネも離れて行動する時間ができた。少しずつ人間の生活にも慣れて、ニールのフォローをするべく修業することにしたのだ。電車の乗り方やらの常識は経験しないと、どうにもならない。そういう意味で外出もするようになった。


 紅がマツタケを買って来たので、それも焼き物にして、そろそろ食べられるという頃に、トダカが顔を出した。リジェネからの情報で、秋の味覚を堪能するつもりだ。
「ちょうど、よかった。今から食べるところです。」
「爾燕さんと紅くんが食事するというから、お相伴に来たよ。」
「さんまづくしですが、呑みますか? 」
「ああ、持参した。辛口の冷だから、娘さんも味見しなさい。」
 もちろん、その料理に合いそうな酒は持参している。まだ昼だから酔いを醒まして出勤するつもりらしい。ジブジブと音のする焼き秋刀魚が卓袱台に置かれると完成だ。ちゃんと三蔵たちにはビールも配布されていた。
「いらっしゃい、トダカさん。刺身も用意しますか? 」
「いや、これで十分だ。豪華な昼食だねぇー爾燕くん。」
「せっかくなら、と、いろいろと試してみました。西京漬けも仕込めばいけますよ? 」
「それはいいなあ。店で出す時は余分に頼むよ。意外と青背の魚も味噌漬けはコクがあって美味い。・・・おや、紅くん、珍しい食べ方だね? 」
「この間、雑誌で読んで試したかったんだ。トダカさんも、こっちもやりますか? 」
「ああ、相伴させてくれ。」
 山盛りの大根オロシを小鉢にとり、ここにポン酢とカボスをふりかけて、これで焼き秋刀魚を食べる。確かに、脂の多い秋刀魚が、さっぱりと食べられる代物だ。ニールも、紅に味見をさせてもらって、これもいいなーとおいしそーな顔をする。
「あんたのも作りましょうか? 」
「おお、おまえのを、それで作れ。」
 ニールの分を用意して、はい、あーんとかやっているのだが、気にしてはいけない。これは寺の通常営業だ。煮物は秋刀魚の味噌煮なので、こちらも酒の肴としてはいい塩梅だ。本職の爾燕が作っているので、上品な味付けになっている。
「マツタケは塩とカボスで。」
「これ、高いんじゃないのか? 紅。」
「いや、養殖ものだから、そこまでじゃない。ニール、せっかくだから、ほら。」
「サンキュー。」
 紅もニールの取り扱いは慣れた。とりあえず口に運べば食べるので、あーんをさせる。西洋人には馴染みのないキノコだが、似たようなブツはある。養殖ものなので、匂いも食感も、きちんとしているが、天然ものほどの香りのよさはない。
「いい匂いだなあ。こういうの、紅のところにもあるのか? 」
「まったく同じものじゃないが、あるぞ。」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚1 作家名:篠義