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第二部26(99) エピローグ2

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「お前の話を聞いて…、俺は、15の頃のあいつが、そんな重い十字架を背負って立っていたあいつが…ますますいじらしくて、愛おしく感じるよ。今のあいつを…あの頃のあいつの面影ごとギュッと抱きしめてやりたいよ」
ー ハ、ハハ…。何泣いてるんだよな…。オレ。

アレクセイがとめどなく流れる涙を手の甲でぬぐう。

泣き笑いの様相で、決まり悪そうに涙をぬぐうアレクセイの背中をダーヴィトがポンポンと叩く。

「しかし、お前は…、お前らは、本当に似た者同士の夫婦だな。…昔ゼバスの寄宿舎の窓を覗き込みながら、なかなか帰ってこないお前を心配して涙をためて待っていたあいつの姿が蘇るよ。相手を想って涙を流す面持ちが…お前さん達そっくりだよ」

「そんな事があったのか」

アレクセイが初耳のその出来事に片眉を僅かに上げる。

「ああ。…そんなあいつの様子が、あまりに可愛くていじらしかったから…」

「いじらしかったから?」

「いや…何でもない」

「言えよ」

アレクセイにせっつかれてダーヴィトが白状する。

「あいつの頬を引き寄せ…柔らかな唇にキスした」

「やっぱりな」

「意外に、薄い反応だな?」

「お前がユリウスに執心だという事は…当時はゼバス中に知れ渡ってたし…それに、思わずキスしてしまう衝動に駆られたのは…よく分かるからな。あいつのああいうところ、めちゃくちゃ可愛いよな」

「ハハ…。そういう事だ。悪かったな…。ん?どうした?クラウス」

おもむろにムッツリ黙り込んだアレクセイにダーヴィトがその顔を覗き込んだ、瞬間、アレクセイの大きな両手がダーヴィトの胸ぐらを掴んだ。

「…やっぱ納得行かねえ!…テメ、人の女房に何してくれやがった!」

そのままアレクセイがダーヴィトの胸ぐらを締め上げる。

「あははは。許せ…もう時効だ」

胸ぐらを締め上げられたダーヴィトが笑いながら許しを請う。

「はあ〜?ぬかせ!」

「やめろ!ぐるじい…。離せ!」

「離すもんか!この野郎」

ますます胸ぐらをつかむ手に力を込めたアレクセイの両手が、不意にダーヴィトの背中へ回る。

「クラウス?」

「ありがとうな…ありがとう」

そう何度も繰り返した、アレクセイの肩は、僅かに震えていた。
自分の肩に、アレクセイの熱い涙を感じながら、ダーヴィトも又親友の背中を強く抱き返した。