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こらぼでほすと 秋刀魚2

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とりあえず、練習ということで昼ごはんの後で、ニールはカリタ方式でコーヒーを淹れることにした。坊主も、それほど拘りというのはないので、ふたりして飲んでいても、美味いともマズいともよくわからないなんてことになる。
「今日のは酸っぱいな。」
「えーっと、これはブルーマウンテンっていうらしいですよ。確かに酸味がキツイかな。」
「これは却下だ。」
「はいはい。」
「ママ、明日は紅茶にしようよ。茶葉が、いろいろあるんでしょ? 」
「そうだな。リジェネ、気に入った名前のを出しくれ。」
「りょーかいっっ。」
 後日、アスランも紅茶の茶葉とティーポットやらティーコーゼやらの紅茶道具一式と茶葉各種を運んできた。これは普段も簡単に淹れているので本格的にやるとこうなるというのを、簡単な説明書を用意して教えてくれた。まあ、これは中国茶も日本茶も似たようなものなので、適当にしている。ただし、茶葉は本気の高級品なので寺の人間だけで味わっている。とはいっても、ハイネやレイは居候していることもあるから、そこいらは相伴していたりはする。
「淹れ方の問題じゃないのか? ブルマンって、もっとすっきりしていると思うんだけどなあ。」
 ニールのカップを横手から取り上げて味見しているハイネは首を傾げている。本来のブルマンの味ではないような感じだ。
「温度が足りないのかな。沸騰してから、しばらく置いてたからな。・・・で、どうする? ハイネ。」
「なんか食わせてくれ。」
「はいはい。」
 ハイネは、昨夜遅くに帰って来て、今まで寝ていた。ラボのほうで夜勤だったらしい。ニールのほうはハイネのリクエストを聞いてから立ち上がる。本日の昼は野菜炒めだったので、似たようなところが用意される。野菜とウインナーを、さっと炒めてウスターソースで味付けする。これとカップスープと常備菜あたりと白飯だ。とりあえず空腹を満たすまでは無言だ。寺の夫夫とリジェネは、そのままコーヒーで付き合うが、こちらも大して会話はない。
「八戒は、潰した豆を、そのまま薬缶に投げ込んで上澄みを飲ませてたぞ? 」
「そのほうが楽そうですね。明日は、そっちでやりましょうか。」
「いや、練習しろ。せっかくの高い豆だ。」
「俺、こういうの向いてない気がする。」
「舅のためだ、やれ。」
「三時は最中とほうじ茶にします。」
「俺は、そっちのほうがいい。」
「俺も、ほうじ茶のほうがいいなあ。長いこと、飲んでるから慣れたみたいですよ。」
「せんべいのいいのを買って来い。甘いのばかりも飽きる。」
「はいはい。大きいの? 」
「俺の拳程度でいい。海苔が貼ってるのもいいな。」
「そんなに種類があるのかな。店のほうのショッピングモールの和菓子屋へ遠征したほうが無難な気がする。」
「そうだな。出勤の時にでも仕入れてくれ。・・・・いつ、出勤だ? 」
「今夜は出ます。」
「じゃあ、頼む。」
 和やかに会話している寺夫夫は通常モードだ。ハイネが食べ終わる頃に少し温め直したコーヒーも用意される。
「じゃあ、俺と出勤するか? ママニャン。荷物持ちするぜ? 」
「そうしようかな。ついでだから、うちのお菓子類も買い出しておこう。」
「それ、店の近くのショッピングモールでいいのか? 」
「ああ、和菓子のいいのを、いくつか欲しいんだ。」
「わかった。」
 それなら早めに段取りしないと・・・と、寺の女房は動き出す。ニールのほうは出勤はするが、基本的には裏方の仕事だ。事務仕事やら掃除なんかがメインで、ホストの仕事はしていない。体力的に、まだまだ問題ありまくりなので週三日程度の出勤にしているだけだ。


 店のほうでは、いろいろと荷物が運び込まれている。主に、ニールの衣装だ。スタッフ各人にメールで連絡されたので、それぞれがオーナーの衣装部から希望するブツをリクエストしたのだが、とんでもない量になっている。
「トダカさん、オーヴの民族衣装だけじゃなかったんですか? 」
 主にトダカがリクエストしたらしい。民族衣装と特区の訪問着各種となると、相当のことになる。
「お色直しさせてもいいだろ? 八戒さん。あの子の背丈だと訪問着が少ないんだよ。だから、全部、 出してもらったんだ。」
 着物というのは、身長でサイズが変わる。百九十の身長となると、着られる着物が少ないので、衣装部から外注させたとのことだ。もちろん、中華衣装も女性もので、その背丈となると少ないので、こちらも外注させているから、八戒も、人のことはとやかく言えない。ついでに、ニールの衣装だと耳にした歌姫様と、その秘書たちも、自分たちのお勧めを用意しているから、さらに増量した。控室では納まらない量なので予約客のない本日、ホールへ衣装を並べたのだ。早めにやってきたニールは、それを見て、あんぐり口を開けた。
「なんじゃ、こらっっ。」
「おはよう、娘さん。悪いけど、ここいらから試着してくれるかい? 」
「え? これ、俺の? 」
「オーヴの民族衣装なんだが、サイズがわからなくてね。私としては、ここいらを。」
 それは王妃が着る正装で、豪奢なものだった。サイズが厳しいので試着してみないと、どうにもならないからと、トダカはおっしゃる。他の民族衣装も、もちろん女性のものだ。
「僕のほうは、ここいらが、お勧めですよ、ニール。スリットは腰まで入っていますが、パンツを履きますから問題はありません。」
 八戒が、勧めるのも、もちろん女性ものだ。ニールの孔雀色の瞳に合わせて、緑系統のチャイナ服を数着、用意している。満州族のチャイナドレスではなく漢服のほうにした。これのほうが、ゆったりしたデザインだから肩幅があっても着られる。
「あらら・・・本気だねぇーお父さん。てか多すぎないか? 一着でいいんだろ? 」
「ハイネ、お色直しっていうのもアリだろ? だから、二着ぐらいは準備するんだ。」
 ハイネも、わぁーと退く。お父さんは、本気だ。本気で娘自慢をするつもりだ。オーヴの民族衣装の一種である琉装というもので、極東の着物ほど帯できつく止めるものではない。色も南国特有の派手な色合いで、顔が派手なニールでも衣装が負けることはない。
「黄色よりは白がいいかな。」
 何着かの衣装から白いものを選んでトダカが簡単に着つける。ベースは白だが、柄が入っているので地味ではない。亜麻色の髪に白い衣装は似合っているので、トダカは、うんうんと満足そうに頷いた。
「それなら、こちらは祷裙にしましょう。」
 八戒が取り出したのは、深緑に金糸で刺繍された衣装だ。ニールの瞳と合わせるために緑系を用意し
てもらった。短いベストと長いチャイナドレスの組み合わせで、着替え終わる頃に三蔵と悟空が現れた。坊主は、じーっと寺の女房の姿を上から下に眺めて鼻で笑う。
「そこそこ、見られる姿になるもんだな、舅。」
「うちの娘、素材がいいから何を着せても似合うのさ。琉装も、なかなかのものだったよ、ほら。」
 もちろん、トダカは仮に着せた琉装も写真を撮ってある。それを見せると、ほおう、と、坊主も頷いた。悟空も、へぇーと感心した声を出す。
「本来は髪形も結い上げるんだ。アクセサリーもつけると、さらに豪華になる。」
「綺麗だなあ、ママ。漢服っぽいけど、ちょっと違う? 」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚2 作家名:篠義