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こらぼでほすと 秋刀魚3

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トダカの予約客のいらっしゃる日がやってきた。どうせなら内装も、それらしくしますか、と、内装もアジアンチックに変えている。今日は衣装が特殊なので着付けのスタッフもオーヴ大使館から遠征している。民族衣装となると、店のスタッフでは着られないし、どれが正解の着付けなのかもわからないからだ。例えば、特区の着物だと襟足を大きくとると粋な雰囲気になる。それは長年、着付けしている人にしかわからない感覚だ。
「男装のほうから着替えていただきます。着付けはVIPルームのAです。」
 下のホールを担当するほうから着替えが始まる。男装のほうは着付けしても簡単だし動けるものだ。ホールのほうも、ある程度、人手が入用なので、そちらにシンとレイも参加することになった。なんせ予約客が特殊な方たちで、その付き添いの人間の接待となると外部の人間は呼びづらい。厨房のほうも手伝いの八戒やニールたちで、大騒ぎになっている。大人ばかりで量は必要ではないといっても三十人分となると、結構なことになる。爾燕の地域の料理なんかは数日前から準備しているが、秋刀魚づくしのほうは、そうもいかない。さすがに秋刀魚だけというのも如何なものだろ、ということで秋の味覚も用意している。
「銀杏って、どれくらい炒るもんなんですか? 爾燕さん。」
「緑色になったら完成だ。VIPのほうは殻つきのままで出すから、オーブンで五分だ。・・・・土瓶蒸し、誰か頼むっっ。絶対に沸騰させるなっっ。」
「はいはい、僕が。レイ、すいません、この揚げ物、頼みます。」
「了解っっ。」
 さすがに三人では忙しすぎるのでレイやらアスランやらも参戦している。揚げたり焼いたりぐらいのことはできる。タイムアップするまでに、なんとか料理のほうは完成した。やれやれ、と、息をついたら、リジェネがニールと八戒の腕を掴んだ。
「ふたりともっっ、着替えっっ。時間っっ。」
「うわぁーもう、そんな時間か・・・・・リジェネ、それ、かわいいな? 」
 すでにリジェネは青色の紅型を着付けされていて可憐な乙女になっていた。仕事はしないのだが、せっかくだから、と、着替えさせられたのだ。主にニールの癒しのために。
「うんうん、それは後でっっ。ママの時間かかるって言ってるからっっ。」
「助かった。あとは、こっちでできる。行ってくれ、八戒、ニール。」
 爾燕も、あとの仕上げに取り掛かっているから叫ぶだけだ。はいはい、行きましょう、と、八戒が誘導する。八戒のほうは女官クラスになるので、さほど大事ではない。本来は髪も結い上げるのだが、ニールが断固拒否した。そこまですると完全な女装過ぎて恥ずかしいと言うと、トダカは苦笑しつつ諦めてくれたのだ。ただし、ある程度のアクセサリーは飾らないと琉装との釣り合いがとれないので、結い上げるまではしなくても髪も纏めることになる。
「・・・・え・・・これ、全部? 」
 ニールが衣装の前でスタンバイしてたじろいだ。かんざしやらネックレスやら、どう見ても偽物ではないブツが用意されていたからだ。それに衣装のほうも家族写真の時より豪華だ。
「昔の衣装を再現したものでは最高級です。さあ、脱いでください。」
 着付けのスタッフさんは容赦なく、ニールの服をひっぺがす。パンツだけにされて襦袢から着せられている。琉装は、衣装の豪華さと色、それから男性は冠の色で位が決められている。王族にしか認められなかったのが紅型の黄色で、さらに王族でも位によって柄も変わる。ニールは皇女クラスのものなので、黄色の紅型に柄も鳳凰だの瑞雲だのというものだ。さらにかんざしも金色で飾りも長い。ニールの背丈を考慮して、一番大きなものが用意されていた。お父さんは本気だ。本気で娘の姿をドヤ顔で披露するために、本気の衣装を用意したらしい。もちろん、八戒とハイネも色は違うが、同様の品質のものを用意している。八戒が若草色、ハイネは紫とオレンジの扇が描かれたものだ。
「おお、さすが、ママにゃん。よく似合うぜ? 」
「俺の白猫ちゃんは、何着せても着こなすねぇ。」
 衣装を着付け終わっているハイネと鷹が見物している。鷹のほうは男ものなので、衣装自体は墨色だが、頭に抱く冠は赤だ。これで琉装の官僚クラスの正装となるらしい。
「これ、結構な重量あるぜ? 鷹さん。」
「ああ、それは、お姫様の衣装だから重厚になってるんだろう。動かなくていいさ。おまえさんは、適当に、おじさんたちに、お愛想してあげなさいね。」
「ていうか、本気すぎるだろ? お父さん。本国から本物を取り寄せたとは聞いたけど、これ、そういうレベルじゃねぇーだろ? 」
「そりゃ、ハイネくん。お父さんは本気さ。自慢の娘を友人に披露するんだから、本気で着飾らせて自慢するんだよ。」
「おおーニール、すげぇーな。うちの正装に近いぞ。」
 着替え終わった紅も、やってきて感心した。王族クラスの正装に近いものというのは、当人が王子様だから分かることだ。
「はい? 」
「それ、刺繍もされてるだろ? 俺らのとこも正装の時は、そういう感じ。衣装の形は違うけどな。柄は近いんだな。」
「はあ、家族写真の時も思ったけど、アジアの衣装って、すごいな? 」
「まあ、滅多には着ないぜ? 公式行事の時ぐらいだ。」
「紅も、こういうの着るのか? 」
「ああ、漢服のほうが近いやつだな。今度、うちのも着てみるか? 取り寄せるぜ? 」
「勘弁してくれ。」
 そんなことを言ってたら、キラも着替え終わって歩いてきた。こちらは王様の衣装なので、ニールと似たような黄色の紅型だ。柄は竜王と瑞雲、足元に青海波が描かれていて、頭には金色の冠を被っている。
「ママ、やっぱり似合うねぇ。今日は、僕がお父さん役なんだ。よろしくね? 」
「お父さん? キラが? 」
「ああ、衣装の加減でね。本当は、僕の王妃がいいって言ったのに、トダカさんに拒否られたんだ。王妃なら、お揃いの竜王の柄なんだって。」
「そりゃそうだろう、キラ。それなら、三蔵さんに、それを着せることになるからな。」
「三蔵さんは拒否だよ、ムウさん。今日は出社拒否してるもん。」
 もちろん、坊主にも参加要請はあったのだが、「やってられるかっっ。」 の一言で店には来ていない。来たら、衣装を着付けされるのは目に見えていたからだ。ただし、悟空は手伝いはする、と、参戦してくれている。ホールのスタッフとして参加しているので男装だ。
「シャイだからなあ、三蔵さん。」
「いや、コスプレしたくないだけだろ。」
「ていうか、ママ、結婚式するってなると大変だよね? 三蔵さんとこは赤の衣装、トダカさんとこは黄色の衣装、それでママのところは白だよね? 着替えが大変。」
「それなら、キラ、せっかくだから特区の白無垢も頼め。あれはいいぞ。」
「そうなると、四回だね。」
「いや、ウェディングドレスとモーニングは必然だぞ。五回だな。」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚3 作家名:篠義