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こらぼでほすと 秋刀魚6

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 三人で、コロコロと玉を転がす。速度は出せないので、散歩しているような雰囲気だ。もう一方のほうはシンと悟空で玉を投げるようにして前に進めて走っている。もはや、それは大玉転がしではなく、大玉投げだろうというツッコミがタープから入っていたりする。
「うるせーっっ、早く帰ったらいいんだろ? カッパには無理だな。」
「なにおーっっ。このバカザルっっ。」
 煽られると悟浄も参戦する。ニールたちが戻って来たので、その玉を借りて、やっぱ投げている。
「だから、転がせよ、悟浄。」
 タープから出て来た鷹が、やっぱりツッコミだ。それから寺の女房に麦わら帽子を被せている。なんせ、午後から騎馬戦には参加してもらわなければならないので日射病予防はしなければならない。
「ああ、すいません。」
「午後から仕事があるから、ママにゃんは休憩してなさい。キラ、どうせならパン食いはやってしまうか? あと飴探しもあるぞ? 」
「そうだね。一桁組さんは参加しないのはやってみよう。レイ、アスラン、セッティングしよ? 」
 スタッフだけでやるだろう競技は先にやってしまうことにした。紐に等間隔に袋入りパンが吊るされたものを用意する。とりあえず十ほど吊られていて、長さはマチマチだ。それを左右にバーを置いて紐を縛ると完成。参加する人は、出てきてーとキラが声をかけると、みんな、ぞろぞろと出てくる。紅と爾燕も召喚されている。
「これ、どうするんだ? キラ。」
「要はパンを口で紐から外してゴールに一番に駆け込んだら勝ち。」
「吊るしている紐の長さが違うので早く辿り着いたほうが選択権はあるんだ、紅。」
「なーなー、これ、一個しかダメなのか? 」
「別に、たくさん取ってもいいけど遅くなるよ? 悟空。」
「五回分くらいはあるから、五回はできるけどな。」
「変わった競技があるんですねぇ。」
「ママ、スタートの笛吹いて。トダカさーん、着順の旗渡してねー。」
 こういうものは全員参加だ。やらないのはトダカとニールぐらいで、トダカーズラブの面々も参加するから、かなりの人数になる。ラボの留守番をしている虎とダコスタ、それから一桁組の配送を受け持っているハイネはいないが、それ以外は、適当にスタートラインに並んでいる。
「あれ? あんたも参加するんですか? 」
 一番手の列にいる寺の坊主を見つけて、女房は驚いた。こういうことに参加するとは思わなかった。
「勝負事はやる。パンはくれてやる。」
「いりませんよ。」
「おまえは日陰で大人しくしてろ、ママ。」
「はいはい、体力温存しておきます。・・・・あんたも、こういうのは好きなんですねぇ。」
「嫌いじゃねぇな。」
「だから、着物じゃなかったんですね。デニムを履いてたから、不思議に思ってたんですよ。」
「さすがに、着物だと走るのが面倒だ。」
「本気でやるのはいいけど、加減はしてくださいよ? 相手、素人さんなんだから。」
「急所は外す。」
「いや、蹴り加減もっっ。骨が折れるって。」
「わかってるよ。ごちゃごちゃうるせーんだよっっ、てめぇーは。」
 寺の夫夫が、スタート地点でいちゃこらしているので、みんな、待っている。これはこれで、いい癒しなんで鑑賞するものになっている。しばらくして、坊主が視線に気づいて、「笛を吹け。」 と、女房のケツに軽い蹴りをいれる。一番手は、年少組と人外組だ。ここいらはコーディネーターとか人外なので、ハイクラスのスピードになるからナチュラルな面々は参加できない。よーい、ピーーという音で走り出すが、とんでもないスピードだ。悟空、シン、レイ、紅は、すぐにパンに辿り着く。少し遅れて三蔵、アスラン、爾燕、悟浄だ。さらに遅れてキラと八戒という順になる。
 だが、吊るされたパンはゆらゆらしているから口で捕まえるのは難しい。そこで全員が並ぶ。ぴょんぴょんと跳ねてパンを紐から外したのはシンだ。そのままダッシュだ。次に悟空で、シンを追い駆ける。これが早いからゴールでギリギリになった。
「あと一歩だったね、悟空くん。はい、シン、優勝だ。」
 ギリギリでシンが逃げ切ったので一番の旗をトダカからもらう。悟空が二番だ。そこからアスラン、紅、三蔵、レイ、悟浄、爾燕、キラ、八戒でゴールする。シンは何度か、この競技をやっていて経験値で勝った。
「いやっほーっっ。悟空に勝ったぜっっ。」
「くそーーーーあと一歩だったのにっっ。次は勝つぜ、シン。」
「おう、やってみろよ、悟空。今度も俺が勝つっっ。」
「ダメだ。悟空のスピードに勝てない。」
「そりゃ、アスラン。ごくーに勝つのは無理だよ。でも、パンを取るテクニックでは、アスランは早いよ? ファイトッッ。」
「あいつら、パン、揺らしすぎだ。あー疲れた。」
「おもしろい競技ですね、悟浄。こういうの見たことあるように思いますから、世界共通の競技なんでしょうか。」
 走り終えたものたちがパンを袋から出して味見する。本来は、パンに、そのまま噛り付くのが正式なやり方なのだが、暴れて落下させそうなので安全策をとった。そして、レイがグフッと咽て座り込んだ。怖ろしく甘い。砂糖が直接投入されていそうに甘いのだ。その様子に、キラが気付いて、ニパッと笑う。
「本当は、アンパンなんだけど普通じゃ面白くないから、イチゴジャムパン、クリームパン、アンパン、チョコパンがあるんだ。それで本日の目玉は、砂糖増量の餡バターパンでーす。たぶん、レイ、当たり。」
 ぐふっ、うぐっと咽ているレイは納得した。どうやらハズレを引いたらしい。どんだけ砂糖を増量したんですかっっ、この天然電波悪魔っっ、と、ツッコミたいのだが動けないほどに甘いらしい。慌ててシンがペットボトルのお茶を配達している。その隙に、坊主は女房に戦利品のパンを渡していた。こちらはパンを傷つけていないのだが、レイの様子に女房は退いている。
「味見してくださいよ? 」
「おまえがしろ。」
「やですっっ。レイが、あれってことは相当ですよ。」
 ゴール付近でゲフゲフ咽ているレイの様子からしてハズレは強烈そうだ。そんなものは食べたくない。
けっっと坊主は舌打ちして、ビニールからパンを取り出して女房の口に突っ込んだ。うぐっと女房は慌てたが、齧るとイチゴジャムだった。これなら大丈夫、と、口から取り出して齧っていないほうを坊主に齧らせる。
「おう、イチゴか。」
「てか、人を実験台にすんな。もう。」
「栄養補給だ。」
「いや、明らかに俺で試しただろ? あんた、甘いもん好きなんだから極甘でもいけるでしょーがっっ。」
「キラの仕込むブツはヤバい。レイが撃沈するほどなら、俺の限界は超えてるはずだ。」
 きっちり二人の空間になっていて入り込めない。マリューとアイシャは、「いちゃこらが可愛い。」 と、楽しそうに鑑賞している。
「おーい、寺夫夫、そろそろ第二陣をやりたいんだが? 」
 しゃーないので悟浄が声をかけて空間は破壊した。次はナチュラルな人間組だ。アイシャやマリュー、トダカーズラブなんかがテケテケ走っている。もちろん、そのうちの一人は当たりパンで悶絶している。
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚6 作家名:篠義