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こらぼでほすと 秋刀魚7

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「それは帰る。でも、それはそれ、これはこれだ。」
「ラクス、おまえの遠征なんて一日じゃねぇーだろっっ。」
「二十四時間の独占となると、私のスケジュールの合間になりますから、そうなりますわ。おほほほほ。二人っきりでいられる時間を、きっちり測ります。」
 なんかよからぬことを考えたらしい。おいおい、と、ニールは頭を掻いている。そんなことになったら一週間とかの拉致になってくるからだ。
「まあ、いいけどさ。最初は一桁組ばーさす吉祥富貴だからね。」
「わかっている。すまんが騎馬を増やしてくれないか? トダカ。うちのカガリンラブも参戦なんだ。五騎頼む。」
 カガリが連れてきたのは、カガリンラブのメンバーだ。こちらも全員、生地はピンクに、赤でKAGARIN LOVEとプリントされたTシャツを着ている。
「そんなに来ていませんよ、カガリ様。」
「いいじゃない、トダカさん。うちは当初の騎馬で行こうよ。それぐらいのハンデはあげるよ、カガリ。」
「そうだな。悟空やシンもいるから、ハンデはもらっておこう。」
 人外組とコーディネーターが多い吉祥富貴なら、ある程度はハンデを与えても無問題だ。十五騎対十騎になるが、オーヴ組は半数がトダカと同年代だ。機動力では劣る。そこいらを考えれば、キラの提案は、もっともだ。
「じゃあ、左右に散って、騎馬戦開始だ。うちのものにスタートさせるぞ。」
「了解。みんな、カガリのところはハンデに五騎増えたから。」
「最初はオーヴばーさす吉祥富貴なので、帽子の残りが多いほうが勝ちです。ママニールだけを狙わないでください。時間は二十分です。」
 基本ルールの確認をアスランが叫んで、試合開始だ。まずは小手調べとカガリンラブの騎馬が動く。そこにはシンとレイが対応する。だが、ニールの騎馬は勝手に突出していく。坊主は大人しく情勢を見るなんてことはしない。
「ニール、帽子死守してください。相手の帽子は奪わなくて結構です。」
「了解です。」
 右手で帽子に手を置いて死守し、左手で坊主の肩を掴んでいるので攻撃はできない。というか、やる必要はない。どかどか進んでいる坊主は容赦なく前に現れた敵に蹴りをかまして倒していく。もちろん、イノブタさんとカッパさんも横手にやってくれば蹴りをかますので、そこいらの馬は倒れていく。相手はナチュラルが大半なので、無茶なことはしていない。
 トダカとキラとラクスは背後で待機だ。大将は動かないものと決まっている。というか、キラの運動音痴は有名だから参戦させても意味がないというのもある。悟空はトダカーズラブの騎馬ではあるが、ぴょこんぴょこんと相手の騎馬に飛び移り、帽子を奪っていく。リジェネの騎馬が最初の餌食になったのは、言うまでもない。
「馬を叩けっっ。」
 カガリも、そこいらは考えていたのか、悟空の馬を潰しにかかる。悟空が敵に飛び移っている間に、体当たりだ。
「うわーアスハ、えげつねぇーな。」
「シン、とにかく帽子を取るぞっっ。」
「おう、レイ。」
 悟空の馬が倒れて、悟空は帰れなくなったので、ここで敗退。シンとレイだけでは厳しいと思っていたら、歌姫様とトダカが参戦だ。ニールたちの騎馬には危なくて近寄れないので遠巻きにされている。そこへ背後からカガリンラブの騎馬が襲いかかる。ラクスの騎馬も帽子は奪わない。護衛陣が、どかどかと馬を体当たりで倒している。
「おかんっっ、勝負だっっ。」
 その乱戦状態にカガリの騎馬も飛び込んでくる。

・・・・・いや、おまえ、それは・・・・

 バンバン正攻法でやってくるカガリに、ニールは内心でツッコミだ。それでは確実に馬の人たちが凹にされる。すいませんすいません、と、ニールは内心で謝っている。
「甘めぇーんだよっっ、筋肉脳姫っっ。」
 飛び込んできたカガリの先頭の馬の胸に坊主の蹴りだ。もちろんケガしない程度の威力にはしているが、それでも馬は後ろに吹っ飛んで、カガリは転がった。
「カガリって、ああいう時、無謀だよね? アスラン。」
「当たって砕けたかったんじゃないか? 」
 適当に倒して紅が戻って来た。ほぼほぼ、敵は倒れてしまったので、やることがなくなったらしい。
「もう相手の騎馬は残ってないんじゃないか? アスラン。」
「そうだな。うーん、二十分は長かったかなあ。」
「あ、キサカさんの騎馬は残ってるよ、紅。」
「え? どこだ? 」
「今、トダカさんの後ろ。・・・あ、トダカさんの帽子、取られちゃった。」
「じゃあ、あそこへ参戦してくる。」
「うん、がんばってー。」
「てか、これ、午後からの争奪戦が怖いぞ? 鷹さん。」
「あー、キラ、おまえ、諦めろ? 俺たちじゃあ、三蔵さんには勝てない。」
「無理だろうなあ。俺も三蔵さんの蹴りを受けたら倒れない自信はない。」
「混戦になってからだろうね。漁夫の利とか? 」
「午後からは八戒が気功波も使うと思うぞ? キラ。」
 二十四騎対一騎となれば、さらに容赦はなくなる。なんせ、悟空や紅なんていう人外組も敵になるのだ。普通の格闘では済まないのは予想の範囲内だ。
「うっ、触らぬ神に祟りなし? 」
「そんなとこだな。相変わらず、強いなあー三蔵さんたち。」
「肉弾戦組だからなあ。」
「連携できてるから馬も崩れないしなあ。」
 長年一緒に戦っているメンツなので、卒がない。坊主が突出しそうになっても背後の二人がバランスをとっている。体力的にも強いから、これぐらいでは、びくともしない。二十分になる前にオーヴ組の騎馬が全部、崩れてしまい、吉祥富貴の勝利となった。



 それでは昼休憩でーす、と、騎馬戦終了と共にキラが宣言した。やれやれ、と、オーヴ組もタープに戻ってくる。食事はブュッフェスタイルで、好きなものを好きなだけなので、各人が適当に取り分ける。周囲に、ちゃんとベンチやら椅子、テーブルもあるので、各人、好きな場所に陣取る。
「午後から、これが全部、敵なんですねぇ。」
「ケガしないかなあ。」
「ああ、大丈夫ですよ、ニール。かなり加減はしています。」
 騎馬に乗っているだけでも疲れる。振り落とされないように掴まっているだけでも大変だ。やでやで、と、適当なところに座ったら、坊主が、「おい。」 と、言う。はいはい、と、女房はビールを運んできた。食事のほうはリジェネたちが運ぶというので、それだけにした。
「メシは? 」
「届きますよ。ほら。」
 第一陣のレイとリジェネが皿を運んできた。こういう場合、坊主の分も運ばないと、おかんが動くので、そこいらも心得ている。さらに悟空とシンも、トダカーズラブのメンバーも運んでくれるので、とんでもない量がテーブルに配置される。
「ママニール、レモネードです。あと、こっちはフルーツ。」
「ママ、これ、あっさりしたパスタ。」
 もちろんアスランとキラも運んでくれるし、さらにカガリとラクスが自分の皿を手にして、ニールの傍に座る。
「三蔵、私の見せ場ぐらい作らせろ。」
「ああ? じゃあ、こっちにくるな。」
「せっかくだからもおまえと戦いたかったんだ。しかし、うちの馬は軟弱だったな。」
「いや、カガリ。普通の人じゃ危ないって。ケガはなかったか? 」
「ああ、青アザ程度だ。おもしろいな? 騎馬戦。」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚7 作家名:篠義