Lovin’you after CCA11
そして、二人は夫婦の寝室から離れると、リビングの横にあるテラスルームへと移動した。
そこで、共にガラスの天井越しに宇宙を見上げる。
「お兄ちゃん、心配してくれてありがとう」
「ライラ…」
「いつでも、お兄ちゃんが傍にいてくれたから安心していられたの」
ライラがカイルに微笑む。
「…僕も…ライラがいたから…頑張れたんだと思う…僕たちは…お互い支え合っていたんだ」
「ライラもお兄ちゃんを支えてた?」
「ああ」
その言葉にライラが満面の笑みを浮かべる。
「そっかぁ…、私も役に立ってたんだ」
「当たり前だろ。それに、アクシズショックの時も、テロ事件の時もお前が気付いてくれなかったらお父さんもお母さんも生きていたかどうか分からない。お前のNT能力は僕やお母さんよりも上だからね」
「そうなの?」
ライラがキョトンとカイルを見つめる。
「ああ、今度ナナイさんにちゃんと調べて貰えばわかるよ」
「うーん、別にいいや。私、パイロットになるつもり無いし」
「でも、この間シミュレータで結構いい線いってなかった?」
たまにカイルとライラはアムロにせがんでシミュレータを使わせてもらう。父や母が感じている世界に触れてみたかったからだ。
そして、カイルはシャアの仕事を手伝いながらモビルスーツの操縦も勉強している。
いざという時、みんなを守る為に。
「偶々よ。私はセイラ伯母さんやカミーユみたいなお医者さんになりたいの。それで、みんなを守りたい」
いつでも守られてきた二人は、いつかは誰かを守る側になりたいという気持ちが強い。
「そうか…それもいいね」
「でしょ?」
「でも、ギュネイさんと付き合うとかはダメだぞ、まだ早い!」
「やだ、冗談に決まってるじゃない」
「…だよな」
その冗談に振り回され、父やアルに責められたギュネイに少し同情する。
「いつかアルみたいに優しい人を見つけるわ!」
結局はファザコンなライラに、カイルは小さく溜め息を吐く。
「…まだまだ早いって…」
「ふふふ、だってお父さんとお母さん見てるとなんだか羨ましいんだもん」
「まぁ…それはなんとなくわかるけど…」
子供の目から見ても二人は仲がいい。今までの経緯の所為もあるが、二人は互いに強く求めあっている。
「そういえばお兄ちゃん、お母さんにリボンつけてお父さんにあげるなんて!私も同じ事考えてたよ!」
「だって、お父さんにとって一番欲しいものはお母さんだろ?」
「だよね~。そういえばお母さん、お父さんに何を用意したんだろ?」
『ふふふ』
そんな兄妹を金色の光が優しく見守る。
ふと、ライラが宇宙を見上げて叫ぶ。
「あ、ララァさんが笑った」
「ララァさんが?」
「うん。いっつも見守っていてくれてるんだよ」
「そっか…」
「「ありがとう」」
二人は宇宙を見上げ、傍にいるであろうララァに微笑んだ。
「そういえば、これ、シャアにプレゼント」
ベッドの中で、アムロがシャアに差し出したのは、手のひらサイズの“ハロ”。
「ハロか?小さいな」
「うん。でも中身は通常サイズと同じ…っていうか更に機能は充実してるかな。どちらかと言うと大人向け?」
仕事のフォローから護衛機能、通信、健康管理全てをこなす。
「…凄いな。それだけの機能をこのサイズで?」
「うん。頑張ったんだぞ」
「そうか…。ありがとう…」
密かに、シャアの脳裏に「コレは売れる!」と言う言葉が過る。
そして思惑通り、ミニハロは爆発的人気商品となり、スウィート・ウォーターの経済が潤う事になったのだった。
end
作品名:Lovin’you after CCA11 作家名:koyuho