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intermezzo ~パッサウ再会篇1

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1924年

アレクセイ・ミハイロフに、ラトビア領事の辞令が下った。

パリに来て、外交活動に従事して数年。
努力が実り、この年漸くドイツに引き続き、フランスとの正式な国交回復を成し遂げたソヴィエトロシアは、このまま功労者であるアレクセイが大使として引き続き任にあたるものと誰もが予想したが、それに反して彼に下った辞令はヨーロッパの辺境とも言える小国ラトビアの領事であった。

ロシアを離れている数年のうちに、指導者レーニンが病に倒れ、内部の権力地図がガラリと変わった事によるこの人事は、実質アレクセイ・ミハイロフを権力の蚊帳の外へと追いやるものである事は誰の目にも明らかだった。

だが、妻のユリアでさえこの人事に眉を顰めたのに対して、当事者のアレクセイと言えば「いいじゃねえか。領事と言ったらその国に駐在している自国民の権利を守る仕事だ。パリで社交ざんまいしながら肚の読み合いしているより俺の性に合ってるぜ」と至極さっぱりしたものだった。
(寧ろ「ラトビアは、ドイツ移民の多い国だからドイツ語も広く話されているようだし、ドイツの文化も根付いてるらしいぞ。お前にはなかなか住みよい国かもしれないな」と逆に当の本人が妻を慰める始末だった)

そういうわけで、ミハイロフ一家は、数年を過ごしたパリを後にし、一旦帰国し、その後新しい任国のラトビアへ発つこととなった。

丁度ドイツヴァイマールの美術学校で学び始めたミーチャと(校舎が現在のヴァイマールからデッサウへ移転するのに伴いしばしの閉校となっていた)どこかで落ち合って、数年ぶりで家族全員での帰国と相成ったのだった。