未来のために 2
未来のために 2
アムロがジオンの兵士、リカルドに保護されて一ヶ月が経とうとしていた。
連邦からは保護した兵士についての問い合わせは無く、アムロを乗せたグワダンは予定通りアクシズを目指していた。
「坊主、体調はどうだ?」
怪我も順調に回復し、ベッドからも出られるようになったアムロは医務室からリカルドの部屋に移動していた。
敗走兵を乗せた戦艦は定員を遥かにオーバーしており、数人で一部屋を使う状況だった。
「リカルドさん!」
任務を終えて部屋に戻ったリカルドをアムロが笑顔で迎える。
「具合が悪くなったりしていないか?」
アムロの頭を優しく撫ぜながらリカルドが顔を覗き込む。
「はい、大丈夫です。今日は調子が良かったのでアンディさんがモビルスーツデッキに連れて行ってくれたんです」
「モビルスーツデッキ?」
「はい!凄く楽しかった!僕、どうも機械とか弄るの好きだったみたいで、メカニックの人達も色々教えてくれました」
「そうか、楽しかったんなら良かった。でも、あんまり一人では出歩くなよ。みんな長期間の航行で少し苛立ってるからな」
「苛立ってる?」
「ああ、お前も男なら分かるだろ?色々溜まってくるんだよ」
リカルドの言葉にアムロはキョトンと首を傾げる。
「おいおい、レイはそこまで坊やか?」
名無しでは不便だと、リカルドの弟の名前を仮で付けて呼んでいる。
アムロも何となくしっくりくる様で、それで良いと頷いた。
「すみません。良く分かりません」
「はぁ…。お前、でも多分十四、五歳だろう?いや、東洋系だからもう少し上かもしれんな、それで知らないってどう言う生活してたんだ?」
「そんなこと言われても…覚えてないし…」
アムロはまだ記憶を取り戻せていない。
日常的な事や、機械弄り等のその他の知識は何となく覚えているが自分の事はまるで思い出せない。
少し俯くアムロを、リカルドが慌てて慰める。
「す、すまん!気にするな!」
ガシガシと頭を撫ぜるリカルドに、アムロが少し笑みを浮かべる。
「大丈夫です。ふふふ」
「何だ?」
「僕、リカルドさんにこうして頭を撫ぜて貰うの好きです」
「そうか?」
「はい、何て言うか…こんな風に可愛がって貰った事無い気がして…新鮮です」
その言葉に、リカルドはアムロが一体どう言う家庭で育ち、どうしてこの若さで戦場に出る事になってしまったのだろうかと思いを巡らせる。
言葉遣い等から、そんなに悪い育ちでは無い事は分かるが…。
「それで、男なら分かるってどう言う事ですか?」
話を戻され、リカルドが「ああ…」と口元に笑みを浮かべる。
そして、思い切りアムロの股間を鷲掴みする。
「わぁ!」
「こう言う事だよ!溜まってくるだろ?」
「リカルドさん!」
「ははは!」
そして、リカルドはデスクの引き出しから何冊か本を取り出す。
「ここに“おかず”があるから抜きたい時は使っていいぞ」
「リカルドさん!」
顔を真っ赤にして叫ぶアムロをリカルドが腹を抱えて笑う。
しかし、不意に笑いを止めてアムロの肩を掴む。
「こうやって一人で処理する奴はいいけどな、どうしてもそれじゃ我慢出来ない奴も出てくる。だから女性クルーはもちろん、男でもアムロみたいに小柄な奴は狙われやすい。だからなるべく俺かアンディと一緒に居ろ。部屋にいるときも施錠を忘れるな」
真剣なリカルドの顔にアムロが息を止める。
「わかったな?」
「う、うん」
しかし、リカルドの不安は的中し、アムロは
一部の輩に目を付けられてしまう。
「やめろ!離せ!」
「コイツ!暴れるな!!おいっそっち押えろ!」
ドック横の倉庫で男の怒声が上がる。
アンディと一緒にドックに来ていたアムロは、少しの間一人になった所を狙われ、男たちに倉庫へと引きずりこまれてしまったのだ。
「チビのくせに手間掛けさせるんじゃねえよ!」
数人の男に押さえ付けられるアムロが必死に暴れて抵抗をする。
「痛てぇ!何しやがるこのガキ!」
抵抗したアムロに顔を蹴られた男が激昂してアムロの頬を叩く。
しかし、アムロは更に暴れて男を蹴り倒す。
「この野郎!」
別の男がアムロの右肩を掴んで強く握って床に叩きつける。
「痛っ!!」
剣の傷があるところ強く捕まれ、その痛みにアムロの抵抗が一瞬弱まると、二人の男によって床にねじ伏せられてしまう。
「クソっ!離せ!」
尚も睨みつけるアムロに、男がニヤリと笑い、アムロの顎を掴む。
「いい瞳をしてるじゃないか、このくらいじゃなきゃつまらん。こう言うのが泣きながら犯られるのを見るのがたまらないんだ」
嫌な笑みを浮かべる男に、アムロ背筋がゾクリと震える。
「やめろ!離せ!」
アムロの上着を剥ぎ取り、アンダーシャツの中に男が手を差し込む。
その気持ちの悪い感触にアムロが悲鳴を上げようとするのをもう一人の男が口を押さえて黙らせる。
それでも抵抗を続けるアムロの頭を、上から押さえ付けていた男が思い切り殴りつける。
その衝撃で脳震盪を起こしたアムロから力が抜け、ぐったりと床に沈み込んでしまった。
「おい!気絶させるなよ。楽しみが減るだろ」
「良いじゃねえか!こいつメチャクチャ暴れるし、犯りやすくなったろ」
「けっ、まあいい」
そう言いながら男がズボンのベルトに手を掛けようとした時、入り口がバンっと開いて倉庫内に光が差し込む。
「誰だ!?」
男達が振り向いた瞬間、入ってきた人物に驚愕の表情を浮かべてその手が止まる。
「大佐!?」
入り口からゆっくりとシャアが男たちに近付く。
「貴様たち、そこで何をしている」
静かな口調ながらも、凄まじい威圧感が男たちを襲う。
「た、大佐…これは…その…」
尚も近付くシャアに、男たちがアムロを掴む手を離して後ずさる。
シャアは床に力なく横たわるアムロを見つけ、眉をひそめると、絶対零度のプレッシャーを男たちに向ける。
「何をしていると聞いている…答えろ!」
「ひぃ!」
男たちはシャアから向けられる怒りのこもったプレッシャーに何も答える事が出来ず、ただ恐怖に身体を震わせる。
シャアはそんな男たちを一瞥すると、アムロの元まで歩み寄り、その華奢な身体を抱き上げる。
そして、そのまま背を向け部屋を出て行く。
男たちはその後ろ姿を見つめながらゴクリと息を飲む。このまま立ち去ってくれるかと安堵の息を飲んだ瞬間、シャアが扉の手前で立ち止まり、男たちに振り返る。
男たちは「ひぃ」と声を上げて背筋を伸ばす。
「貴様たちの処分については追って知らせる。今後、また彼に危害を加えるようであればその時は…分かっているな?」
その冷たい声に男たちは身動きすら取れず、ただ頷く。そして、シャアが部屋を出ていた途端、その場に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
「な…なんだ…あの恐ろしいプレッシャーは…」
「殺されるかと…思った…」
男たちはガタガタと身体を震わせて、しばらくその場から動く事が出来なかった。
部屋の外ではアンディが心配気に二人が出て来るのを待っていた。
そして、部屋から出てくるシャアを見つけ、慌てて駆け寄る。
「大佐!レイは!?」
「大丈夫だ…気を失っているだけだ」
アムロがジオンの兵士、リカルドに保護されて一ヶ月が経とうとしていた。
連邦からは保護した兵士についての問い合わせは無く、アムロを乗せたグワダンは予定通りアクシズを目指していた。
「坊主、体調はどうだ?」
怪我も順調に回復し、ベッドからも出られるようになったアムロは医務室からリカルドの部屋に移動していた。
敗走兵を乗せた戦艦は定員を遥かにオーバーしており、数人で一部屋を使う状況だった。
「リカルドさん!」
任務を終えて部屋に戻ったリカルドをアムロが笑顔で迎える。
「具合が悪くなったりしていないか?」
アムロの頭を優しく撫ぜながらリカルドが顔を覗き込む。
「はい、大丈夫です。今日は調子が良かったのでアンディさんがモビルスーツデッキに連れて行ってくれたんです」
「モビルスーツデッキ?」
「はい!凄く楽しかった!僕、どうも機械とか弄るの好きだったみたいで、メカニックの人達も色々教えてくれました」
「そうか、楽しかったんなら良かった。でも、あんまり一人では出歩くなよ。みんな長期間の航行で少し苛立ってるからな」
「苛立ってる?」
「ああ、お前も男なら分かるだろ?色々溜まってくるんだよ」
リカルドの言葉にアムロはキョトンと首を傾げる。
「おいおい、レイはそこまで坊やか?」
名無しでは不便だと、リカルドの弟の名前を仮で付けて呼んでいる。
アムロも何となくしっくりくる様で、それで良いと頷いた。
「すみません。良く分かりません」
「はぁ…。お前、でも多分十四、五歳だろう?いや、東洋系だからもう少し上かもしれんな、それで知らないってどう言う生活してたんだ?」
「そんなこと言われても…覚えてないし…」
アムロはまだ記憶を取り戻せていない。
日常的な事や、機械弄り等のその他の知識は何となく覚えているが自分の事はまるで思い出せない。
少し俯くアムロを、リカルドが慌てて慰める。
「す、すまん!気にするな!」
ガシガシと頭を撫ぜるリカルドに、アムロが少し笑みを浮かべる。
「大丈夫です。ふふふ」
「何だ?」
「僕、リカルドさんにこうして頭を撫ぜて貰うの好きです」
「そうか?」
「はい、何て言うか…こんな風に可愛がって貰った事無い気がして…新鮮です」
その言葉に、リカルドはアムロが一体どう言う家庭で育ち、どうしてこの若さで戦場に出る事になってしまったのだろうかと思いを巡らせる。
言葉遣い等から、そんなに悪い育ちでは無い事は分かるが…。
「それで、男なら分かるってどう言う事ですか?」
話を戻され、リカルドが「ああ…」と口元に笑みを浮かべる。
そして、思い切りアムロの股間を鷲掴みする。
「わぁ!」
「こう言う事だよ!溜まってくるだろ?」
「リカルドさん!」
「ははは!」
そして、リカルドはデスクの引き出しから何冊か本を取り出す。
「ここに“おかず”があるから抜きたい時は使っていいぞ」
「リカルドさん!」
顔を真っ赤にして叫ぶアムロをリカルドが腹を抱えて笑う。
しかし、不意に笑いを止めてアムロの肩を掴む。
「こうやって一人で処理する奴はいいけどな、どうしてもそれじゃ我慢出来ない奴も出てくる。だから女性クルーはもちろん、男でもアムロみたいに小柄な奴は狙われやすい。だからなるべく俺かアンディと一緒に居ろ。部屋にいるときも施錠を忘れるな」
真剣なリカルドの顔にアムロが息を止める。
「わかったな?」
「う、うん」
しかし、リカルドの不安は的中し、アムロは
一部の輩に目を付けられてしまう。
「やめろ!離せ!」
「コイツ!暴れるな!!おいっそっち押えろ!」
ドック横の倉庫で男の怒声が上がる。
アンディと一緒にドックに来ていたアムロは、少しの間一人になった所を狙われ、男たちに倉庫へと引きずりこまれてしまったのだ。
「チビのくせに手間掛けさせるんじゃねえよ!」
数人の男に押さえ付けられるアムロが必死に暴れて抵抗をする。
「痛てぇ!何しやがるこのガキ!」
抵抗したアムロに顔を蹴られた男が激昂してアムロの頬を叩く。
しかし、アムロは更に暴れて男を蹴り倒す。
「この野郎!」
別の男がアムロの右肩を掴んで強く握って床に叩きつける。
「痛っ!!」
剣の傷があるところ強く捕まれ、その痛みにアムロの抵抗が一瞬弱まると、二人の男によって床にねじ伏せられてしまう。
「クソっ!離せ!」
尚も睨みつけるアムロに、男がニヤリと笑い、アムロの顎を掴む。
「いい瞳をしてるじゃないか、このくらいじゃなきゃつまらん。こう言うのが泣きながら犯られるのを見るのがたまらないんだ」
嫌な笑みを浮かべる男に、アムロ背筋がゾクリと震える。
「やめろ!離せ!」
アムロの上着を剥ぎ取り、アンダーシャツの中に男が手を差し込む。
その気持ちの悪い感触にアムロが悲鳴を上げようとするのをもう一人の男が口を押さえて黙らせる。
それでも抵抗を続けるアムロの頭を、上から押さえ付けていた男が思い切り殴りつける。
その衝撃で脳震盪を起こしたアムロから力が抜け、ぐったりと床に沈み込んでしまった。
「おい!気絶させるなよ。楽しみが減るだろ」
「良いじゃねえか!こいつメチャクチャ暴れるし、犯りやすくなったろ」
「けっ、まあいい」
そう言いながら男がズボンのベルトに手を掛けようとした時、入り口がバンっと開いて倉庫内に光が差し込む。
「誰だ!?」
男達が振り向いた瞬間、入ってきた人物に驚愕の表情を浮かべてその手が止まる。
「大佐!?」
入り口からゆっくりとシャアが男たちに近付く。
「貴様たち、そこで何をしている」
静かな口調ながらも、凄まじい威圧感が男たちを襲う。
「た、大佐…これは…その…」
尚も近付くシャアに、男たちがアムロを掴む手を離して後ずさる。
シャアは床に力なく横たわるアムロを見つけ、眉をひそめると、絶対零度のプレッシャーを男たちに向ける。
「何をしていると聞いている…答えろ!」
「ひぃ!」
男たちはシャアから向けられる怒りのこもったプレッシャーに何も答える事が出来ず、ただ恐怖に身体を震わせる。
シャアはそんな男たちを一瞥すると、アムロの元まで歩み寄り、その華奢な身体を抱き上げる。
そして、そのまま背を向け部屋を出て行く。
男たちはその後ろ姿を見つめながらゴクリと息を飲む。このまま立ち去ってくれるかと安堵の息を飲んだ瞬間、シャアが扉の手前で立ち止まり、男たちに振り返る。
男たちは「ひぃ」と声を上げて背筋を伸ばす。
「貴様たちの処分については追って知らせる。今後、また彼に危害を加えるようであればその時は…分かっているな?」
その冷たい声に男たちは身動きすら取れず、ただ頷く。そして、シャアが部屋を出ていた途端、その場に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
「な…なんだ…あの恐ろしいプレッシャーは…」
「殺されるかと…思った…」
男たちはガタガタと身体を震わせて、しばらくその場から動く事が出来なかった。
部屋の外ではアンディが心配気に二人が出て来るのを待っていた。
そして、部屋から出てくるシャアを見つけ、慌てて駆け寄る。
「大佐!レイは!?」
「大丈夫だ…気を失っているだけだ」