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intermezzo ~パッサウ再会篇5 1/2

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「お姉さんは髪を長くしてるのね。…今風のヘアスタイルにはしないの?」

自己紹介も済み、適度に打ち解けて来た時だった。

最先端のパリのモードを着こなしたユリウスをしきりに羨ましがっていたエレオノーレがふと、ユリウスの長い髪に目を止めた。

ユリウスは今風のボブヘアではなく、長い髪をスッキリとうなじ辺りで纏め、顔周りから耳の辺りに大きなウエーブをきかせたまとめ髪に結い上げていた。

「…長い髪が…好きだから…」

言葉少なげにそう答えて微笑んだユリウスに、ミーチャが

「違うでしょう?ムッター。正しくは「ファーターがムッターの長い髪が好きだから」…でしょ?」

と微妙な訂正を入れる。

「ミーチャ!」

「はは…ゴメンゴメン。だってファーター、家で寛いでいる時はいっつもムッターの髪を指に絡めたりクシャクシャ〜ってやったり、髪に顔を埋めたり…ずーーっとムッターの髪いじってるじゃない」

「ばかたれ!俺はユリウスの髪が好きなんだ。…長くても短くてもな」

「あ、そうなんだ。…じゃあ、ぼくも短くしてみようかな。エレオノーレがこんなに似合うのならば、同じ顔のぼくだっていいセンいくんじゃないかな」

そう言ってユリウスがチラッとアレクセイを窺い見る。

「…それは…ダメだ」

「なーんだ。やっはりファーター、ムッターの長い髪がいいんじゃーん」

「長い髪、エレガントで、あなたにとても似合っている…。やっぱり…長くしていたら?」

しみじみとレナーテがユリウスの髪に手をやる。

「ありがとう…。母さんも、そう言ってくれるなら…」

母親に髪を褒められたユリウスが面映そうなでもとても嬉しそうな笑顔になる。

「ネッタもムッターの長い髪大好き!お姫様みたい」

「ありがとう。ネッタ。ムッターもネッタの髪、大好きだよ。柔らかくてつやつやで」

ユリウスが娘の艶やかな巻き毛に指を絡める。前髪をまとめた黒いビロードのリボンが金の髪によく映えている。

「ムッターに髪を結ってもらうの大好き。三つ編みをくるっと丸めたり、いつも色々な形に結ってくれるの」

「そう…。いいわね。そのリボンもよく似合ってる」

アハハ…。

そんなやり取りをしているうちに、レナーテが呟いた。

「あなたの…あなたの金の髪も、こうして結ってあげたかった…」

「え?」

レナーテの不意の呟きに、ユリウスがその言葉を聞き返す。

もう一度、今度は意を決してレナーテが繰り返す。

「少女時代のあなたの髪を結ってあげたかった…。ユリウス、あなたの髪を…母さんに是非結わせて貰えないかしら?」

突然のその申し出に、ユリウスはパチクリと目を瞬かせ、自分の髪に手をやった。

暫く何か考えるような顔を見せたその後に、

「…お願いします」

と、自分の髪を纏めていたピンを引き抜いた。

長い金髪がユリウスの背中に流れ落ちる。