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intermezzo ~パッサウ再会篇6

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「お母さんはね、私の中に…お母さんの、お姉さんの風貌をなぞるように成長していく私に…常にお姉さんを重ねていたのだと思う。幼い頃いつも思っていた…。私を見つめるお母さんの目が…表情が、何だかとても悲しそうに見えるのは何故だろう…と。お母さんに「お母さん、悲しいの?」と聞いた幼い私にお母さんは教えてくれた。私にお姉さんがいた事を。そのお姉さんはとても美しく聡明で優しく思いやりのある女の子だったと。だけど年頃になってある男の人と激しい恋をして…お姉さんは益々綺麗になって…でもその恋は叶えられない恋だったから…お姉さんは全てを捨ててその男の人について行って外国へと旅立って行ったと。その時のお母さん、悲しげで切なそうだったけど…一方どこか安心したようなとても穏やかな顔をしていた。もう少し私が大きくなって…お父さんからお姉さんの事を聞かされて…あの時のお母さんの複雑な表情の訳が分かった。お母さん…お姉さんに…無理やり男の子を演じさせた事を、とても後悔していたんだと思った。だから…最愛のお姉さんが自分の元から去って行った事に悲しさもあるけど…一方でそんな不条理な人生を強いたお姉さんが、自分の幸せを追い求めて去って行った事に安堵もしていたのだと思った。だから私も…会ったことはないけれど…まだ見ぬお姉さんの幸せをずっと祈っていた。お母さんが私にお姉さんを重ねているならば、尚更いつも笑って…お母さんが見ることが出来なかった分も、お姉さんの笑顔を届けてあげようと思った。会えなくても、会った事がなくても、お姉さんは、お母さんと私の中に…側にい続けていたよ」

妹の告白にユリウスが言葉もなく、両手で口を覆う。

碧の瞳に涙が忽ち溢れてくる。

「!!」

言葉もなく涙を流し続けるユリウスの頭を「もう…泣かないで。今こうして…私たちは手を伸ばせば互いの温もりを確かめ合える距離にいるのだから…」とレナーテが優しく抱き寄せ、金の髪を白い頰を優しく撫で続け、溢れ出る涙を拭った。