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intermezzo ~パッサウ再会篇7

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「モスクワ蜂起に敗れ、シベリアで強制労働についていた俺は、逮捕から六年後、同士の尽力で刑務所を脱獄し、こいつの、こいつと息子の待つペテルブルクへ戻って来た。
別れた時はまだ少女だったこいつは、匂い立つような美しい大人の女性になっていて、生まれたばかりの赤ん坊だった息子は、元気で母親思いの利発な男の子に成長していた。

駅に迎えに来てくれていた二人を再び目にした時、この二人が俺を待ち続けてくれていた、その事に心が震えた。
六年振りにこいつを抱きしめて、生きている事の素晴らしさを心から実感した。

戻って来てから収容所にいた6年のギャップを埋めるのは中々骨が折れたが、幸い俺の不在中支部で6年間働いていて内情にも実務にもよく通じたこいつには本当に助けられた。こいつに陰に日向に助けてもらいながら俺は脱獄後の活動に邁進し、また俺のいなかった6年の間に国内の状況も益々不安定になって来ていて、相変わらず危険な稼業である事には変わりなかったが、親子三人の幸せな日々が、六年前に止まっていた家族の時間が再び動き出した。愛する家族が待っている安息感、そして俺に万が一何かあった場合もしっかりと家庭を、子供を守る力を持った妻のいる心強さ、ユリウスとミーチャは、俺の、革命家アレクセイ・ミハイロフの強くて大きな両翼だった。
やがてー、第一次世界大戦が勃発し、ロシアも例外なくそれに巻き込まれた。
ロシアはドイツと開戦し、多くの男子が戦地へ駆り出され…その結果働き手を失った国内は益々困窮を極めた。食料は圧倒的に不足し、飢えと寒さで多くの尊い命が失われた。一方そんな苦しんで死んでゆく人民に何の策もなく、相変わらず贅沢極まりない生活を続けていた貴族への、ロマノフ王朝への不満はいよいよ高まって行った。1905年には制圧された革命の火の手は…今度はもう鎮火しようがなかった。ロシアは…王朝の打破と新しい国の誕生に向けて、動き出したんだ。そうして1917年を迎えた」