冒険の書をあなたに2
「うんー、お父様がまた変な夢見ちゃってて。気になるからミネアにも一応知らせておこうと思ってるの」
「ああ、例の予知夢ですか。それは穏やかではないような……」
現在、世界中で導かれしものたちと謳われている仲間たちが、何故か再び縁続きになっている────トルネコはその客観的事実に暫し瞠目し、やはりただ事ではないと判断を下した。
「……実はソロさんのところに、大会優勝者のお子さんたちが来てるんですよ」
「リュカの子供? その話、詳しく!」
これまでの優勝者はアリーナだったためトルネコは敢えて「今年の」とは付け加えなかったが、当事者には十分伝わっていたようで、アリーナがぐっと身を乗り出した。
「マーニャさんが言うには、彼はライアンさんと一緒だったそうで、今頃はバトランドへ向かっているかと」
クリフトがトルネコからアリーナへと視線を動かして、意見を述べた。
「どうします、姫様。ここは先回りしたほうが良いのでは」
「うん……そのほうが良さそうね。村に行って無駄足になっても仕方ないし」
アリーナはそう言ってすぐに立ち上がり、新情報をもたらしたトルネコへ微笑む。
「ありがと、トルネコ。また何かあったらよろしくね!」
「仕事のご依頼、いつでもお待ちしていますよ。皆さんお気を付けて」
穏やかなトルネコの声を背に、三人はバトランドへと向かった。
作品名:冒険の書をあなたに2 作家名:しょうきち