二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

intermezzo ~パッサウ再会篇8

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 


「恐ろしかった。棍棒や鎌を手にした人々がミハイロフ屋敷に大挙して、石を投げつけ…『裏切り者アレクセイのドイツ女の女房を出せ』『ドイツのスパイのアレクセイの女房を引っ張り出してリンチにしろ』という怒声が聞こえてきた。そのうち柵を越え、門を破り…その人々が雪崩れ込んで来た。…アレクセイが、ボリシェビキが、彼らのために日夜頑張っている…その彼らに銃を向ける事に躊躇われたけれど、自分と屋敷の人たちと…それからお腹の子供を守るために、ぼくは銃を手に取った。屋敷の奥の部屋へお祖母様を避難させ、家具で堡塁を築き、銃を構えて襲撃に備えた。…そんなぼくの元へ最初にやって来たのは…最近ボリシェビキへ寝返ったという新しい同志だった」

「あいつは…後からわかった事だが、王党派のスパイだった…」
アレクセイが苦々しげに当時を回顧した。

「『アレクセイに頼まれてあなたを助けに来た』そう言って…半ば無理やりぼくを外へ連れ出した。…ぼくは…、やむなく暴徒が雪崩れ込もうとしているミハイロフ屋敷に、お祖母様たちを残して、あの屋敷から辛くも脱出した」

「7月に入ると街中はもう カオスの状態になっていた。外出は危険だから学び舎は休校になり、…時折買い出しにガリーナに付き添って市場や商店に出かける以外は僕は預けられた先のズボフスキーさんの家で終日過ごしていた。七月のボリシェビキの大弾圧以来ズボフスキーさんは家には帰って来ず、ファーターも顔を見せなくなり…二人の生死は不明だった。僕とガリーナは、折れそうになる心を互いにどうにか支え合って、なんとか日常の生活を送っていた。母が…アレクセイ・ミハイロフの妻が襲われたという噂を聞いたのは…その直後だった。買い出しに街に出ていた僕とガリーナは、街中でビラを拾った。そのビラには【アレクセイ・ミハイロフは裏切り者】【アレクセイ・ミハイロフの妻はドイツ人でドイツのスパイだ】などと根も葉もない事実無根の中傷が書き連ねられていた。…もっと恐ろしい事に…人々は、その中傷記事の内容を信じているようだった。市場ではその噂で持ちきりだった。そして…母が密かに療養していたというミハイロフ屋敷に暴徒が襲撃したという事を…僕とガリーナは噂で知った」