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intermezzo ~パッサウ再会篇9

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「じゃあ母さん、…今日はもう遅いから、そろそろお暇するね」

ユリウスの言葉に、

「また…明日も待っているわ。明日…いつ頃発つの?」

レナーテが尋ねる。

「午後1時の汽車で。朝の聖シュテファン大聖堂のミサに出ようと思っていたから」

「そうなの…。随分と早いのね」

名残惜しそうに顔を曇らせるレナーテに

「そんな顔をするな。今生の別れではあるまいし。それに…あまり出発を遅らせたら却って別れが辛くなるというものだ。そうだ!私たちもそのミサへ出ようじゃないか?その後で、せっかくだ。家族で記念写真を撮らないか?」

と、ヘルマンが提案する。

「写真?いいね。出来上がったら、ラトヴィアへ送ってくれる?」

その提案にユリウスの碧の瞳が輝いた。

「ああ。勿論だ。お前さんたちの新居が決まったらすぐ知らせてくれよ。そこへ送ってやるから」

「楽しみだなぁ。…じゃあ母さん。また明日ね」

「ええ。明日」

ユリウスとレナーテがドアの前で抱き合い、互いの頰にキスを交わす。



ヴィルクリヒ家を後にする娘の家族の背中を見えなくなるまで見送りながら、レナーテがポロリと呟く。

「ねぇ、ヘルマン。また明日…ってとてもいい言葉ね。明日また…あの子に会える。明日…」

何度も明日という言葉を噛みしめるように小さく繰り返すレナーテに、

「そうだな」

とヘルマンは彼女の肩をそっと抱き寄せた。