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intermezzo ~パッサウ再会篇 エピローグ

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「それじゃああちらの任地についたら手紙を貰えるかい?そうしたらお前さんたちの新しい住所に出来た写真を送るよ」

「ありがとう。先生。ラトヴィアに着いたら、すぐに手紙を書くよ」

「ユリウス…。私のユリウス…。ああ、名残惜しいわ。…元気でいてね」

レナーテが目に涙をためて娘を強く抱きしめる。
20年の時を経て再会した母と娘には―、あまりに短いひと時だった。

「母さんも…。幸せで…元気でいてね。また必ず会おう」

母親の腕の温もりの中でユリウスが声を詰まらせる。

「ええ。きっとよ。約束よ…」

二つの家族を引き裂くように、残酷な汽笛が駅構内に響き渡る。

「あぁ…」

汽笛に続いて出発を告げる車掌の笛の音に急かされ、レナーテが名残惜し気に娘の身体から両手を離す。

「母さん!…愛してる!!また…また、必ず会おう!きっとだよ…」

ゆっくりと走り出す汽車から尚顔を出して涙でぐしゃぐしゃになった顔でユリウスが母に別れを告げる。

「ええ!また…必ず!!ユリウス、愛してるわ!」

だんだん遠ざかり、そして点のようになって消えゆくまで、娘一家の乗った汽車を見送り続ける。

汽車が見えなくなった後もぽつりとホームに佇み線路を見つめていたレナーテに、ヘルマンがそっと肩を抱く。

「帰ろうか。お母さん」

エレオノーレが母親の手を握り顔を覗き込んだ。

愛する家族―、夫と娘の温もりに包まれてレナーテがコクリと頷き、ゆっくりと駅舎を後にした。