ノイズワールド
・・・
気がつくと病院の様なところで長椅子に座っていた
壁や床 置いてある椅子 窓の向こうの景色らしき物も
全てが黒く 病院とは言えない場所ではあったが
しかし白く塗り替えれば正しく病院と言える場所だろう
多分ここは夢の中だろうと自覚はあった
はっきりと夢の中という自覚がある夢を見るのは初めてだ
見回しても周りに自分以外の人はおらず静まり返っていた
「なんで病院に・・・? た・・・確かに疲れてはいるとは思ってるけど
そこまでじゃ無いし・・・」
うーんと唸っていると 奥の部屋から
「シロタサマ シロタマヒルサマ シンサツシツヘ オハイリクダサイ」
と俺を呼ぶ声がした
俺はとりあえず立ち上がりその声が聞こえた部屋の方へ向かった
廊下の途中には扉は一切無かった
違和感を感じつつも 診察室らしき突き当たりの扉の前で止まり 2回ノックをした
「ドウゾ」
その言葉を合図に扉を開けた
診察室の中も黒かったが
自分が座るらしき椅子だけ黒い部屋で際立つ様な白い椅子だった
俺を呼んだ先生らしき人物はネコのようなぬいぐるみの様な姿をしていて
まず人間では無いのもそうだが 到底先生には見えない
「サァ スワッテ スワッテ」
怪しみながらも どうしようもないのでとりあえず白い椅子に座る
目の前にいる先生らしき物はカルテであろうボードを見ながら俺に問いかけた
「ゲンキデスカ?」
「え? あーはい」
「トクニビョウキモナク?」
「はい・・・」
「ケガモナク?」
「はい・・・あ この前家庭科の調理実習で手を軽く切っちゃったぐらいです」
「フムフム・・・ナルホドナルホド・・・」
「セイカツニ シショウモナイ?」
「・・・ないです」
なぜこんな事を聞く必要があるのだろうかと
疑問に思いながらも先生?の質問に答えていった
「ウーム・・・ コレハ カナリノ ジュウショウデスネー」
「あのー・・・ 今の質問の通り 俺 至って健康ですよ?
大きい病気も怪我もしてないし・・・」
「イヤー ソレガ "ジュウショウ"ナンデスヨネ」
・・・話が噛み合ってない
夢の中というのはそういうもんだと自分の中で納得していた
「ココマデ ジュウショウダト チョット ダイヘンデスケド
オクスリダシテオキマスネ」
その言葉の直後 目の前が暫く暗転し
次に視界が開けた時 俺はベッドに縛り付けられていた
「・・・ん?!」
「ダイジョウブデスヨ スグオワリマスカラ」
そういうと先生らしき物はカプセル薬の様な物を取り出した
気がつくと口も金具の様なもので無理やり開いたまま固定されていた
(なんかやばそうな薬を飲まされる・・・っ!?)
「ハーイ オチツイテ チカラヌイテクダサイネー」
こんな状況で落ち着いて力を抜く事も出来るはずもなく
がっちり固定された身体を無理やり動かそうともがいた
顔を走る冷や汗 近づく謎の薬
口の中に薬が入るか入らないかの瀬戸際で俺は覚醒した