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代打の代打
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はじまりのあの日8 加わる仲間・深める縁(えにし)

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わたしと弟が13歳。卒業を迎えた、入学を控えた、春の一コマ。並べられた卓のうえ。並ぶご馳走。大きなカレイのあんかけ。甘鯛、イサキ、ブリのお造り。サワラは炙り刺し。ヒラメのマリネの海鮮軍団。エビチリ、エビマヨ、春巻き、餃子、かに玉の中華縛り。野菜のごま和え、大葉みそ、豆腐の燻製のおつまみづくし。里芋、大根、にんじん、厚揚げの煮物。がんもどき、じゃがいもの甘辛煮の煮物ゾーン。フランクフルト、アメリカンドッグの、腸詰めエリア。恵方巻き、おいなりさん、お赤飯にちらし寿司と〆まで完璧なうえに

「デザート。オレ作の焼きプリンとパンプキンパイ。チョコレートのミルフィーユに」
「俺がこさえた、田舎まんじゅう、菱餅、桜餅。好きなようにやろうじゃない」
「「「「「「「「「「あざ~す兄さんズ」」」」」」」」」」

加わった面々にとって、初めての歓迎会。手料理に、全員の気持ちが跳ね上がる

「わ~懐かし~。この桜餅~。あんまりこっちじゃ見かけないんだよね~」
「え、それ桜餅なの、IA。こっちじゃね、桜餅って」

薄い桜色のお餅、クレープのような形状のお菓子を指すIA姉。粒々お餅の丸形を指すリリ姉

「ああ関西、関東で違うんですよ、リリィさん。江戸期、ある店の店主が、桜の葉を塩漬けにして作った餅菓子。それを『桜餅』と名付け、あるお寺の門前にて売り始めた。それが、江戸で出来た桜餅の原点とされています」

銘々皿を配りながら、キヨテル先生が教えてくれる

「さすが博識のテルじゃない。そ、関東関西で違う。ま、今、全国的には関西桜餅が主流みたいだけどな。どっちも美味いじゃない。IA、昔、関東圏に住んでたって、言ってたから。関東は白餡、関西はこしあんにしてみた」
「そうなんだ~、わたしも初めて知った~、がっくん」
「いつもは、関西版ばっかり作ってたじゃない」

初めて知る面々。あの日、わたしも初めて知った

「そ~、神威のに~さん。8歳の時まで首都に住んでたの。お仕事の都合でね、パパの故郷、NYにお引っ越し~。わざわざありがとぅ~」

桜餅談義を皮切りに、歓迎会の幕が上がる。めー姉が声を出す

「じゃあ、始めちゃいましょ~か。ピコくん、Mikiちゃん、お疲れ様。改めて、いらっしゃい。これからも、一緒に歌って生きましょう。では、ひとことずつ~」

片手で促す。仲良く、ぺたんこ座りで並ぶピコ君、Mikiちゃん

「僕のこと受け入れてくれて、ありがとうございます。尊敬するみなさん、よろしくお願いします」

三つ指をついて、丁寧にお辞儀のピコ君

「うち、コンセプトが無茶振りで。どうしようかと思ったけど、みんなのおかげ。最近、ホントたのし~で~す」

楽しそうなMikiちゃん。喜んでいる二人の頭の上。アホ毛が、ロンドを踊る

「乾杯の発声は~先生~」
「ありがとうございます、メイコさん。それでは、皆々様。私も、このメンバー歌って生けますこと。大変にありがたく感じております。素晴らしい出会いと、皆様とのご縁を祝しまして、杯を献じましょう。では皆さん、献杯とご発声を」
「「「「「「「「「「せ~のっ、けんぱ~い」」」」」」」」」」

宴が進む、その途上。わたしと片割れは、数日前から企画していた。実行に移すため、こっそりと抜け出す。マンションに駆け入って。着替えを済ませて、再び神威の家へ

「みんな~見て見て~」
「別に、わざわざいいんじゃねって思ったんだけど」
「「「「「「「「「「おおおおお~」」」」」」」」」」
「そっか、二人もそんな歳なのね~」

めー姉が、微笑みながら涙を浮かべ

「可憐です、堂に入ってます、お二人とも。御入学、おめでとうございます」

キヨテル先生が褒めてくれる

「褒めてなんかあげねぇ。カッコウいいぜ、二人とも」

テト姉が、軽口を言い

「ユニフォームはセーラー服だったけど、リンはようやく本物だね。レン、ブレザー似合ってるよ。おめでとう、二人とも」

カイ兄、わたし達の肩を抱き

「感慨深すぎるじゃない。俺、二人に出会った時は、ほんと、豆粒みたいに小さいの。ひよこみたいな、可愛い双子。大きくなったな」

優しい彼が、わたし達をなで回す。白に近いグレー。濃い茶の襟とプリーツスカート。ワンポイント入りの黒のソックス。セーラー服のわたし。レンは、白に近いグレー。黒襟のブレザーと黒いスラックス。春から通う、学校の。制服を自慢したくって。彼に、見てほしくって。このひな祭りイベントでのお披露目を勝手に考えた

「そ~うだ。ちょっと待ってて」
「あ、私も少し外しますね」

と、カイ兄がマンションへ。キヨテル先生はシェアハウスへ帰って数分

「ああ、めぐ、悪い。取ってきてほしいじゃない」
「は~い、ぽ兄ちゃ~ん」
「ウチも行くよ、おねぇ」

彼が、めぐ姉に、命じて三分。銘々手に、包みを持って戻ってきた

「二人とも。春からは、必要になると思うからね。電波受信だから、時間はズレないよ」
「カイトとルカ、一緒に買いに行ったの。気に入ってくれると良いんだけどな。対ショック、耐水性防御完璧。ほぼ、永久時計よ」
「お姉様たちと一緒に選びましたの。使っていただければ、うれしいですわ」

ソーラー充電。スポーツタイプのスタイリッシュな腕時計。デザインはお揃いながら、赤と白(色違い)めー姉達が贈ってくれる

「ぽ兄ちゃんの提案で、選んでみたんだ」
「リンレンに。似合うヤツ~っておにぃと」
「気に入ればうれしい。りんりん、れんれん」

めぐ姉達が取り出したる、通学靴(ローファー)ツヤ良く光る白皮を基調に、黒のワンポイント。靴底も黒。銀のコイン飾りが付ている。滅多にない、凝ったデザイン。お揃いのローファー

「春から、必要なんじゃな~い。デザイン、イヤなら、履かなくてイイから」
「僭越(せんえつ)ながら、私もこちらを」

わたしにくれる、ワインレッドが基調。黒の装飾がおしゃれ。リュックにもなる、カジュアルな通学鞄。レンに送ってくれたものは、色が反転。黒が基調

「くれてやるぜ」

テト姉から放られたのは、おしゃれな定期入れ。薄桃色と薄水色。入れられている定期。バス通学のわたし達に、十二ヶ月間、つまり一年使える物

「わたしはこれ~」

ミク姉、隠し持ってたのは電子辞書。わたしにはパールホワイト、レンにはガンメタリック。みんなからの素晴らしい贈り物。わたしもレンも、喜んで、お礼を言って。贈って貰った靴を履く。時計を付けて、みんなに見せびらかす。畳が傷まないかなんて、考えもせずに。その、通学スタイル整ったわたし達を観て

「かっこわいい~よ~(かっこかわいい)二人とも~」

IA姉が身悶えし

「レン君、素敵。惚れなおしますわぁ。リンちゃんも可愛くて、しょうがありません」
「レン君、リンちゃんも素敵~」

ルカ姉、ミク姉が抱きしめてくる。頭の位置が、ちょうど胸。レンが挟まれ照れまくって、真っ赤っか。この辺りからか、弟が、二人の姉に振り回されるようになったのは

「ナルホド。コレガ、日本人(ジャパン)の思いやりの心(スピリッツ)今の御二人の姿同様、美しき文化でゴザル」
「わ~、本当に仲良し家族なんですね、皆さん。メンバーの結びつきを見ました~」