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妖夢の朧な夢日記-aoi

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欠けた歯車は回らない



魔女の温もりに触れて、
少しだけ満たされた気分で眠った

そして夢を見た

浅い眠りに浮かぶ船、
浅い水面に浮かぶ船、
ゆらりゆらりと揺れている
そこに座るのは博麗の巫女
老けて皴が増えた博麗の巫女
その舵をとるのは赤毛の死神
ここは、ここは、三途の川?
博麗の巫女は、死んでしまった?
いいや、博麗の巫女は若々しい
肌も艶めく少女なのだ
だから、でも、これは要するに―

「っ!!……はぁ、はぁ」

意味を理解しかけたところで飛び起きる
嫌な汗をびっしりとかいていて、気持ちが悪い

「悪い目覚めだったみたいね」

視線の先、斜めの辺り
というより寝ていた枕元で件の巫女が座っていた

「あ、あ……」

若い
私が思ったように、博麗の巫女は若い
だけど、

「妖夢?」

彼女は私の顔を覗き込んでくる
やめて、見ないで、泣きそうだから

「い、生きてる……よね?ずっと生きてるよね?」

その言葉を聞いた巫女は、呆れたように溜息を吐いてから言葉を紡ぐ

「はぁ。あんたが心配しなくても、私は永く生きるわよ。
 少なくとも、あんたが少女である間はね」

彼女は私の頭を撫でる
心地よい感覚
私が望み続け、求め続けた安心
目を閉じて、その揺らぎに酔いしれていたい……
ともさせてくれないようで

「そういえば、あんたに話があるんだったわね」

「へ?」

そんなの聞いてないので、変な声が出る

「今度の月末に宴会があるの。
 用事があって来れないのならどうでもいいけれど、病気で来れないのなら話は別よ。あんたがそんな事情で来れないのはバカバカしい」

つっけんどんな態度でそう投げた巫女
私は投げつけられたものを受け取り、考えた

「月末までに治せって事?」

「早い所、そういう事よ。なんかね、あんたが精神おかしくしてて来れないのは調子が狂うの」

「そうなの?」

「あんた、宴会において自分がどんな存在か考えたことある?」

そういえばない。
顎に手を当て、思案する

「……いつもの面子。欠けてる方が少ないレベルよ。いないと変」

「なんだ、案外素直じゃないの」

久々に笑えたような気がする。
対照的に巫女は頬を膨らませていて

「言わせないでよね、そんなこと」

「言わないと分からないのよ、そんなことも」

「やっぱり半人前ね。察することもできないから」

「生きるのに必死だとも取れるでしょう?」

「半分死んでるのに」

「半分死んでるからこそよ」

そんな言葉の押収を続けていると、巫女は肩を竦めて

「……その調子だと、すぐに治りそうね」

と言って笑った
その後一緒に朝食を食べた。美味しかった



作品名:妖夢の朧な夢日記-aoi 作家名:桜坂夢乃