二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

妖夢の朧な夢日記-aoi

INDEX|7ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

紅く赤く朱く



真っ赤な空
血なまぐさい往来に
一人の少女が立っていた
何かを思いつめたように、深刻そうな表情で
何かを切り捨てたかのように、迷いも捨て、吹っ切れたような表情で
顔に紙を貼りつけ、笑みを浮かべる
いや、実際に貼りつけている訳ではないのだが
どこかつくりものめいた微笑みは
見ている者も恐怖させる
ここには己と黒白の少女しか、存在していないのだが
存在していないはずなのだが

―嗚呼、死の臭いがする
霊感レーダー云々とか言っている場合じゃない
つくりものの死の臭いがする
つくりもの

つくりもの?
己に問い掛けてみる
つくりものだとして、
彼女がつくりものだとして、
つくりものの彼女がつくりものを殺すのか?
つくりものは
つくりものを殺すのか?
微笑む彼女は何も答えない

けれど
人間を殺すのはいつだって人間で
妖怪だって人間から生まれたつくりもの

己は
自分自身は
自分自身こそが
つくりものなのではないか?

つくりものが自分で
彼女がつくりものでないとして
彼女は何者なのだろうか
彼女は浮いて、こちらを見下ろしているだけ
見えない心の内
何を考えているのかも、分からないままに

もしかしたら
自分が、殺したのではないかと、
この刃で手に掛けたのではないかと、
感づいては、身震いをする

こちらを見る彼女の眼が
酷く恐ろしいものに思えてきて
刃を握る己の手は
ぬめってきてしまって
何も付着していなかったはずなのに
もう、今は
真っ赤なものが、滴り落ちて―



見慣れない天井で、目を覚ました
腕を動かそうとして、痛みが走る
―起きたのね。
 ダメですよ、動いては。
 まだ火傷は治っていないんですから。
 死ぬところだったんですよ、貴女。
そう語り掛ける、赤色の瞳の、うさ耳の少女
心配そうな面持ちを見て、なんとなく事態を把握した

つくりものの彼女に
つくりものが
殺され



作品名:妖夢の朧な夢日記-aoi 作家名:桜坂夢乃