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MEMORY 尸魂界篇

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「あんたクラスの死神なら、なんとかなるけど、隊長相手に通じるとは限らんだろ。」
「隊長だぁ?」

 止血はされていても出血に拠る力の低下は如何ともしがたく、一角は体が起こせなかった。

「放って於いても見つけてくれて救護はされると思ったけど、訊きたい事あったからさ。」

 一角の疑問には応えず、一護は自分の用件だけを口にする。

「なんだ、そういう事かよ。で? 何が訊きてぇんだ?」
「朽木ルキアの居場所。」
「朽木……極囚か?」
「第一級重禍罪、死神能力譲渡の罪で収監されたが、冤罪なんでな。助ける為に来たんだ。」
「冤罪?」
「釈明の余地も、事実確認もなく、四十六室が決め付けて処刑を断行しようとしてる。阿散井恋次は、ルキアの力が戻らないのは、死神能力を譲渡した所為だと思い込んで、お門違いの恨みを持っているらしいがな。」
「お門違いの恨み?」
「本当の処は、現世で出くわした虚が直に触れる霊力を食っちまう奴で、霊力の殆どを失ったんだよ。おまけに浦原さんに義骸を貸してやってくれって頼んだら、霊力回復どころか、霊力分解しちまう義骸を貸し与えたんだ。」
「浦原喜助が…?」
「目的の為には情け容赦ねぇからな、あの人。」

 淡々と話す一護に、一角は眉を顰める。

「気が向いたら、十三番隊、だっけ? ルキアの上司の隊長さんに伝えてやってくれ。それと、今の四十六室を信頼なんぞするな、ともな。」
「一護?」
「で? ルキアの居場所は?」
「助けるって、本気かよ? せいぜい七、八人だろ?」
「五人と一匹だ。」
「なんだ、一匹って⁉ ってか、その人数で本当に助ける気か⁉」
「死神が莫迦ばかりじゃなきゃ助けられる筈だ。」
「!」

 嗤おうとしていた一角は、一護が自分で乗り込んできた一方で、死神が莫迦ばかりではないと思っているのだと気付いた。
 一角は深く溜息を吐いて口を開いた。

「まァ、いーや……ここから南に真っ直ぐ行くと護廷十三隊各隊の詰所がある……。」

 教えてくれるところまで“記憶”通りだとは思わず、一護は目を瞠る。

「その各隊詰所の西の端に真っ白い塔が建ってる…そいつはそこにいる筈だ。」
「恩に着る。」
「着なくていいぜ、気色悪い。」

 駆け出そうとした一護を、一角は引き止める。

「ちょっと待て。訊きてー事がある。」

 足を停めて振り向いた一護をそっくり返って見遣りながら一角が訊いてきた事は、一護の予想範囲内だった。

「オマエらの仲間で…一番強えのは誰だ?」
「………何故?」
「ウチの隊長は弱い奴には興味がねぇ。狙われるのは強い奴だ。」

 一角の言葉に、一護はガリガリと頭を掻いた。

「一番強い人は、逃げ足も迅いんだよなぁ。」
「あ?」
「ん~。十一番隊の隊長さんって、もしかしなくても戦闘狂だよな?」
「んだよ、もしかしなくてもってなぁ。」
「あんたが自分の実力を低く評価されても尚、下に付きたいってお人だから、そうなのかなってさ。」
「はぁ?…どういう意味……まァ、いーや。あの人は戦う事が三度の飯より好きだぜ?」
「やっぱし。……出来れば相手したくないけど、他じゃあ、多分話にならんだろうしなぁ。」

 一護は嫌そうに顔を顰めて溜息を吐いた。

「まぁ、オマエより強くても逃げちまうんじゃ仕方ねぇもんな。」

 クッと、一角が喉奥で笑う。
 一護は肩を落として溜息を吐いた。

「十一番隊の隊長さんの名は?」
「よ~く、覚えとけよ? 更木剣八、だ。」
「更木、剣八、ね。過剰な期待を持たせるような事言うなよ?」

 一護は内心で溜息が尽きない。
 岩鷲を探しがてら、動いてみよう、と一護は足を踏み出した。
 寝っ転がって仰け反って一護を見送った一角は、戦闘中には見落としていた一護の華奢さに気付く。
 『鬼の喜助』の弟子だという『少年』は、自分達死神には勿論、人間としてもまだまだ子供なのだろうと思う。



作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙