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MEMORY 尸魂界篇

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 一護は十日間の修行の間、これだけは浦原に相手をして貰えなかった技に取り掛かる。
 霊圧を高め、身の内に鬼道を巡らせ肩と背中に凝縮させる。それを手足に流し込む。此処までを一瞬でイメージして、その手足で白打を仕掛ける。

「⁉」

 夜一は驚愕したが、体が反射的に動いて反鬼相殺を行い、一護の瞬閧もどきを止める。
 一護は構わず、鬼道を逆回転させたり順回転させたりを入れ替えながら攻撃を仕掛け続ける。
 一護の息が上がるまで続けたが、悉く夜一の反鬼相殺に阻まれて終わったのだった。

「はぁ~、やぁっぱ、夜一さんには欠片も通用しなかったかぁ。」
「一護……お主、何処でその技を………。」
「うん。………浦原さんに鬼道の講義をして貰った事があってさ。」
「講義、じゃと?」
「浦原さん、理論説明上手いよ? で、鬼道の成り立ちって言うか仕組みが理解った時に、浦原さんに訊いてみたんだ。体の中で鬼道を凝縮させて手足に送り込んだ鬼道で白打って出来るかなって。」
「………喜助は何と答えおった?」
「理論上は可能。でも、鬼道の達人でもなきゃ使い熟せないだろう、って。」

 危険性の説明までしてくれれば良かったものを、という夜一の内心を知ってか知らずか、一護は『晶露』と呟いて霊球を発生させ、その中に次々と鬼道を送り込んだ。

「? 何をしておる?」
「ん~。私、反鬼相殺はどうも苦手で、体の中で凝縮させた鬼道を発露させるしかないけど、やたらと撃つわけに行かないからさ。晶露に封じてんの。こうしとけば後で使えるし。」

 晶露明夜の太刀の柄に押し込めるように一護の鬼道を吸収した霊球を宛がうと次々に吸い込まれていく。最後の一つまで晶露明夜に吸収させ解除してペンダントの形に戻した一護は、肩から力を抜くように腕を回して掌を地面に向けると、掌から飛び出した鬼道が地面を穿つ。

「!!」

 一護自身も驚いて固まり、掌の下を見て地面が穿たれているのを見つけると、気不味そうに夜一から視線を逸らした。
 事態を把握した夜一がクッと喉奥で笑う。

「まだまだ修行不足のようじゃのう、一護。」
「……ハイ。」

 たっぷり汗を掻いた一護が温泉で汗を流していると、夜一が恋次にも使わせてやれ、と声を掛けてきた。

「うん?」
「阿散井も傷だらけになっておる。」
「判った。上がるから少し待って。」

 一護が濡れた体を拭いて死覇装を着込むのと、夜一に支えられた傷だらけの恋次が現れるのは同時だった。

「おお。傷だらけだな、恋次。」
「五月蠅ぇ。テメェはどうなんだよ。随分と余裕そうだけど、そんなんで卍解習得出来んのか?」

 一護が背中を向けている間に湯に沈んだ恋次が話し掛けてくる。
 振り向いた一護は恋次の霊圧が上がっている事を見て取る。

「卍解に至っただけじゃ、朽木白哉に敵わねぇと思うぞ。」
「はっ! 俺は修得は時間の問題なんだよ。テメェみてぇに道具を使わなきゃ具現化出来ねえのと一緒にすんじゃねぇ。」
「転神体が消費する霊力は斬魄刀本体の霊力なんだよ。」
「ふん。」
「………恋次? お前、もしかして夜一さんが何者か知らない?」
「知ってるわけねぇだろうが。」
「威張るな。」

 一護は溜息を吐く。

「なんじゃ、一護。主は儂が何者か知っておったのか?」

 夜一が面白そうに会話に割り込んでくる。
 夜一を振り向いた一護は溜息を吐く。

「当たり前だろ。私だけじゃない、みんなの命を預ける相手だぞ。」
「何と教えられた?」

 面白そうに金色の瞳を輝かせて訊いてくる夜一に、一護は苦笑する。

「……。浦原喜助。元十二番隊隊長で、技術開発局創設者にして初代局長。鬼の喜助の異名を持つ強者。」
「浦原喜助? そんな肩書を持つ人と現世の子供のテメェが何で知り合いなんだ?」
「百年近く前に冤罪で尸魂界を追放処分にされた人だからさ。」
「冤罪?」
「ちなみに今回ルキアに掛けられてるのも冤罪だぞ。」
「何を言ってやがる! テメェがルキアの力を……ッ!」
「しつこいな。私はルキアから力を貰ったわけじゃない。そう見える状態を利用されただけだ。」
「利用だぁ? 誰が利用するってんだよっ!」
「黒幕が、利用したんだ。」
「何を訳の理解んねぇ事を……ッ!」
「そんなだから、黒幕にいいように操られるんだろう。」
「てめっ……!」

 立ち上がろうとする恋次の頭を夜一が抑え込み湯に突っ込む。

「おわっ!」

 湯に突っ込まれた恋次がもがくのを片手で抑え付けながら、夜一は一護を促す。

「で? 儂の事は?」
「……。四楓院夜一。四大貴族四楓院家22代目にして初の女性当主。元二番隊隊長で隠密機動総司令官。瞬歩の使い手で瞬神の二つ名を持つ。百年前の浦原喜助の逃亡幇助を理由に、隠密機動総司令官、二番隊隊長及び四楓院家当主の座を追われる。」
「よう知っておるのう。」

 尸魂界でも古株でのうては知りもせん事じゃのに、と嘯く夜一に、手を放された恋次が目を丸くする。
 元二番隊隊長という事は当然卍解が出来るという事で、卍解出来る者の霊力を注いで転神体が一日保たないという一護の霊力は、一体どれだけになるのか、と恋次は気が付いて呆気に取られる。
 夜一の正体を聞いても尚、一護が卍解に至っていると気が付かない恋次に、卍解に至る死神はそれだけ貴重だという事なのかと考えて、一護は溜息を吐く。


作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙