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MEMORY 尸魂界篇

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「当時の私の能力だと、虚を消滅させるんだよ。滅却師の二の舞は御免だったし、空座町は重霊地だろ。少しでも虚を減らすには死神の皆さんに働いて貰うしかないからさ。」

 肩を竦める一護に、なるほどな、と呟いて冬獅郎は一護を見つめる。

「二十年近く前の鳴木市の死神連続死亡事件の事を口にしていたと聞いた。何を知ってる?」
「その事件の犯人が、藍染が作った虚だって事、かな。」
「何故、知ってる?」

 的確に外堀を埋めていく質問に、流石天才と呼ばれる最年少隊長、と内心で絶賛しながら、一護は答えをどうしようかと考える。

「ん~~。二度手間は面倒だから勘弁してほしいなぁ。」
「うちの前隊長が関わってる。」
「冬獅郎君の前の隊長さん?」

 小首を傾げる織姫に、乱菊が深々と頷く。

「そう。斯波一心隊長!」

 自慢するような口ぶりに、一護は照れ臭さを覚える。

「斯波……?」

 空鶴・岩鷲姉弟の姓だと思い当たり、織姫が首を傾げると、乱菊が力説する。

「十三番隊の副隊長だった斯波海燕の叔父に当たる方で、普段ははっちゃけてるけど、いざとなると頼りになる隊長だったのよぉ。」
「斯波家が五大貴族の地位を剥奪された直接の原因だろ。」
「! 良く知ってるな。」

 一護の突込みに冬獅郎が驚いて一護を見直す。

「知ってるっつーより気付いた。斯波家を入れて五大貴族って聞いてたのに、白哉は『四大貴族の一の朽木家』とか言ってたしさ。」

 一護は言いながらガシガシと髪を掻き回す。
 五大家とは言え元貴族の家柄では大した箔にはならないな、とぼんやり考えながら、溜息を吐く。
 現段階で明かす事と明かさずにおいた方が良い事と、一護は丁寧に思い出しながら考えを纏めていく。
 なまじ記憶がある所為で、頭脳労働が激しい気がする一護だった。


作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙