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【弱ペダ】(サンプル)Sweet And Goody

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 Sweet and Goody

 もうすぐ新学期も始まろうかと言う春休み。今年は寒さが長引いたせいか、四月に入ってもまだ桜は二、三分程度しか咲いていない。それでも雲一つなく晴れ渡った青空に薄紅色の桜が映えてキレイだった。
「イー天気だな」
 荒北靖友はそう呟くと、部屋から持ち出した自転車に跨る。ハコガク自転車競技部の練習は休みだ。だが朝早くに箱根を走るのは最早練習ではなく日課となっている。休めばいいのにと思いながら、落ち着かねーンだからしょーがねーだろ、と苦笑して走り出す。
 朝晩はまだ少し冷え込む。特にまだ日が十分に射さない早朝は、長袖にパンツもロングのジャージでなければ風を切って走るのも辛いくらいだ。それでもほんの僅かだけれど、しのぎやすくなったと感じる。
「よぉ、早いな、靖友」
「オメーもかよ」
 仙石原を抜ける辺りで新開が合流してくる。
「荒北」
 芦ノ湖を回っている間に、福富、東堂が手を上げた。
「福ちゃんも物好きだねぇ」
「福は俺と約束していたのだ」
「あっそォ」
 ふふん、と自慢げな顔をする東堂にどうでも良いと言わんばかりに返事をする。
「なに、お前も仲間に入れてやるから拗ねるな」
「っせ。拗ねてねーヨ!」
 バシバシと背中を叩いてくる東堂の手を叩き落とした。
「なんだ、照れてるのか?」
「っぜ」
 かっかっか、と笑う東堂を追い抜いて箱根の山を登る。福富に出会い、最初に自転車競技部に入った頃には、とにかく勝てばいいと思っていた。だが、知れば知るほど自転車競技と言うのは意外にもチームワークが必要だと痛感することになった。