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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 キックを胸に受けたミラクルは、ビリヤードの玉のように弾かれて地面に落ちた後も勢いが止まらず数メートル地面を滑った。立ち上がったミラクルのサイドテールの長いブロンドが少し乱れ、胸を押さえて苦しそうだった。


 セスルームニルではフレイアが虚空に映る熾烈なプリキュアたちの戦いを見ていた。その前にバッティが跪いて二人目の主を見上げ、何ごとかを告げる。ダークナイトはいつものようにフレイアの脇に石像のようにたたずむ。フレイアはプリキュアたちが傷ついても面色をかえず、普段通りの微笑を浮かべていた。


 闇の城でもロキが同じように空中に開いた円形の空間に映るプリキュア達の戦いを、さも満足そうな笑みを浮かべながら見物していた。
「いいぞ、戦え! 互いに倒れるまで戦いつづけろ!」
 そういう主の下で、フェンリルが腕を組んで真剣な眼差しで円の中でに展開される映像を見ていた。


「モフ……ミラクル、マジカル……」
「おい、もうやめろ! いい加減にしろよ!!」
 追い詰められているミラクルとマジカルを心配するモフルンの横でチクルンが叫んでいた。どんな声も結界にはばまれて届くことはなかった。
 ダークネスの当身で壁に叩きつけられたマジカルのダメージは大きかった。彼女は壁際から三歩前に出て崩れるように両ひざを付いた。ダークネスは間断なく攻め続ける。しゃがんでうつむいているマジカルに容赦のない勢いの拳を突き出す。瞬間、下を向いていたマジカルの顔が上がった。鋭くなっている瞳に闘志がみなぎっていた。マジカルは体を少し捻って紙一重でダークネスの拳をかわし、同時に両手でダークネスが突き出した腕を掴んだ。
「はっ!」座した状態からの見事な合気、ダークネスはプリキュアのパワーを丸ごと返されて投げられ、逆立ちに近い状態でマジカルの後ろの黒壁に叩きつけられた。同時にダークネスの長い黒髪が乱れて広がった。
「くはぁっ!?」ダークネスが壁から跳ね返ってうぶせに四つんばいにちかい状態で倒れると、壁際の戦いに危険を感じたマジカルが跳んで魔法陣の中央まで移動する。立ち上がったダークネスが黒い壁を背にしてマジカルを見つめる。その赤い瞳には憎悪の炎が燃えていた。マジカルはダークネスの突き刺さるような視線を浴びながら言った。
「冷静さを失っているわ。こうなったら戦うしかない。ダークネスをあそこまで豹変させるなんて、フレイアって何者なの」
 一方、ウィッチは前に出ながら無数のパンチを繰り出していた。それはがむしゃらで滅茶苦茶な攻撃だった。ミラクルが攻撃を見切ってウィッチが左の拳を突いた時に回避と同時に手首を掴み、左腕の第一関節に掌底を当てる。流れるような連帯でウィッチは左腕を引き延ばされ逆に曲げられてひざを付いた。
「どうしてそんなにしてまで戦うの!?」 
「うるさい! うるさいっ!」
 ウィッチが関節を決められている状態で無理矢理立ち上がろうとする。このままでは腕がどうにかなってしまうので、ミラクルは技を解くしかなかった。そしてミラクルとウィッチの目が合った。ウィッチの必死さで激しいきらめきの瞳を見た瞬間に、ミラクルは分かってしまった。ウィッチは大切な人のために必死になっているのだと分かってしまった!
「うあーっ!!」
 ウィッチが向かってくる。ミラクルは動くことができず、その攻撃をまともに受けた。


「ダークネス、ウィッチ、こんな戦いはやめてデビ……」
 結界の外に立ってリリンが涙を零した。彼女の視線の先でマジカルとダークネスの戦いが再び燃え上がった。ダークネスは軽く飛んで後ろの壁を蹴り、マジカルの急接近する。マジカルは目のあえに現れたリンクルステッキを手にした。
「リンクルステッキ! リンクル・ムーンストーン!」
 右手をそえた斜のステッキの前に白亜(はくあ)の円盾が現れる。そこにダークネスが大砲の射撃のような凄まじさで突っ込んできて拳を叩きつけた。その衝撃でマジカルはムーンストーンの盾ごと数メートル後退させられた。ダークネスはすかさずマジカルの頭上に飛び、ムーンサルトでマジカルの背後に着地する。マジカルは素早く反応してダークネスの回し蹴りを避けつつ後ろに跳んだ。ダークネスがその隙を狙う。
「リンクル・ローズクォーツ!」
 ダークネスが顔の前に持ってきた手の腕輪に薄ピンクの水晶がセットされる。彼女はその手を前に出すと、無数の水晶の花びらが舞って着地際のマジカルを襲った。
「くうぅっ……」刃のような花びらに襲われたマジカルは、片腕で目を覆って呻いた。ドレスに少しずつ切れ目が入っていく。マジカルはリンクルステッキで前方を突いた。
「リンクル・アメジスト!」
 マジカルの前に紫色の魔法陣が開き、水晶の花びらがそれに吸い込まれていく。そして、ダークネスの頭上に開いた同じ魔法陣から、吸い込まれたものがそのまま降り注ぐ。それに気づいたダークネスが後ろに跳んで回避、再びマジカルとダークネスの視線がぶつかった。その時、ウィッチの一撃で吹っ飛ばされてきたミラクルがマジカルの背後に墜落した。
「ミラクル!?」
「どこを見ているの、あなたの相手はわたしよ」
 ダークネスがミラクルの前に走り込んでくる。右、左のパンチ、回し蹴りと連続の攻撃をマジカルが避けて、隙をついたパンチが見事にダークネスに決まった。悲鳴をあげてダークネスが吹っ飛ぶ。
「冷静さを失ったあなたなんて怖くないわ!」
 マジカルはミラクルの元に走って助け起こした。その時にミラクルは言った。
「マジカル、二人ともフレイアっていう人のために必死に戦ってるんだよ」
「ええ、わかっているわ」
 ミラクルとマジカルの対面で、ウィッチがダークネスを助け起こしていた。ダークネスは憎しみで夕日のように暗く燃えている瞳でミラクルとマジカルを見つめて言った。戦いによってミラクルとマジカルのピンクと紫のドレスは埃のまみれ、ダークネスとウィッチの黒いドレスも乱れていた。
「伝説の魔法つかいを倒す」
 ダークネスの思いがウィッチに伝わり、二人は自然と寄りそい、ダークネスの左手とウィッチの右手が後ろ手につながった。
「まずいわ……」
 マジカルが苦し気に言った。ミラクルにもダークネスとウィッチが最大の魔法を使おうとしていると分かった。結界に阻まれて逃げ場はない。
「どうしたら……」
「ミラクル、こっちも魔法で対抗しましょう」
「でも! 校長先生が強い魔法は使っちゃだめだって!」
「そうだけれど、今はそれしか方法がないし、やらなければわたし達はここで終わりよ。ダイヤモンドエターナルで彼女たちの魔法を封印して外に吹き飛ばすのよ。そうすれば安全だから」
 マジカルの提案はミラクルにもベストのように思われた。ミラクルはマジカルに頷きを返し、
『リンクルステッキ!』
 目の前に対になって現れたダイヤが輝くリンクルステッキを、ミラクルとマジカルが手にして跳び、空中で手をつないだ。
『永遠の輝きよ! わたしたちの手に!』
 ミラクルとマジカルが同時に舞い降りると、そこを中心に光の波が広がっていく。
『生命の母なる闇よ、わたしたちの手に!』