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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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「きれいモフ〜」
 ミラクルの心を映すようにモフルンが言った。
 ヨクバールの消滅と共に、淡い光に乗って黒いリングと闇の結晶がふわりと降りてくる。4人がそれを見上げたその時に、闇の結晶から衝撃が走った。体の小さなチクルンとモフルンとリリンが弾き飛ばされた。
「うわぁ!?」
「モフ―ッ!?」
「デビ―ッ!?」
 黒いリングが急速に広がって地上に落ち、4人のプリキュアは暗い円の囲いの中に入った。闇の結晶が砕けて暗い幕がリングの外側に向かって垂れていく。外に弾かれたチクルンたちが立ち上がった時、異様な光景を目にした。
「な、なんだよあれ!?」
 モフルンとリリンはいい知れない恐怖のために震えて声をだせなかった。4人のプリキュアがドーム型の闇の結界の中に閉じ込められていた。
「ななな、なにこれぇ!?」
「わたしたち、閉じ込められちゃってる!?」
 ウィッチとミラクルが慌てていた。マジカルとダークネスが敵の攻撃を予測して身構えている。すると、地面に光の線が走った。黒いサークルの内側に次々に線が引かれ重なって模様を描いていく。円の中にいる彼女らには、なにが描かれているのか分かりづらいが、ダークネスだけは即座に理解した。
「こ、これは!?」
 ダークネスの声が結界の中に響く。闇の結界を上空から見ると、円の中には月と星の六芒星が描かれていた。宵の魔法つかいとフレイアを象徴する魔法陣だ。
 結界の外にいきなり黒い人影が現れる。彼はマントをひるがえし、赤い裏地を見せつけた。
「あ、あなたは!?」
 予想もしない者の登場にミラクルが声を上げ、マジカルは息をのむ。
「バッティさん……」
 ダークネスが彼の名を呼ぶと、ミラクルとマジカルが振り向く。その表情には驚きが広がっていた。まさかこの二人が知り合いとは!
 バッティは結界の外からドクロの杖でダークネスを指して言った。
「伝説の魔法つかいを今ここで倒すのです! フレイア様がそれを強くお望みです!」
「伝説の魔法つかいを……フレイア様が……」


 時同じくして、校長室。校長は宵の魔法つかいに関する知識を探してひたすら古書を研鑽(けんさん)していた。以前読んでいる本ばかりだが、見落としがないか何度目か同じ本を開いている。それを手伝っているリズは、校長に指示された本を本棚から探し当ててもっていくところだった。
「校長、大変です! お告げが!」
 校長の手元にある水晶に映った影の魔女が言った。
「一体、何ごとだ?」
 抜き差しならぬ空気を感じた校長が表情を強張らせる。
「大いなる力、邪悪の手に落ち、手を差し伸べるもの無くば、光と闇がぶつかり伝説は消えると」
「なんじゃとっ!!?」
「お告げの通りなら、手を差し伸べる者があれば、伝説の消滅は回避できる可能性がありますわ」
 校長の近くでバラバラと数冊の本が落ちた。校長のすぐ近くにリズが立って悲愴な顔をしていた。
「校長先生、わたしに行かせてください!」
 校長が難しい顔をしていると、リズが近づいてきて言った。
「妹が、リコが危ないのでしょう。必ず助けてみせます!」
「論じている暇はないな。君に任せよう。水晶よ、場所を教えてくれ!」


 暗い結界の中でミラクルとマジカル、ダークネスとウィッチが向かい合う。バッティの言葉を聞いたダークネスは拳を強く握りしめ、黒い手袋の生地が締め付けられて微かな悲鳴をあげる。ウィッチも急に雰囲気が変わってミラクルとマジカルを鋭い目で射抜いた。二人の戦う意思を見届けたバッティは、その身を黒いマントに隠して消え去った。
「フレイア様が望むというのなら、あんた達を倒す」
 危険な空気におされてマジカルが自然に身構えていた。ミラクルはそれとは逆に棒立ちで、普段と様子がまるで違っているダークネスとウィッチを不安そうに見つめていた。
「二人ともだめデビ! やめるデビ!」
 結界の外側にいるリリンが黒い壁を叩いて必死に叫ぶが、薄闇の向こう側にいる二人に声は届いていなかった。ぬいぐるみの手ではいくら叩いても音は出ない。明らかに異常な状況になっていた。
 ついにダークネスが疾駆して、一瞬でマジカルの目前に移動する。
「はあっ!!」
 ダークネスのパンチをマジカルが防いだ瞬間に、近くのミラクルにまで衝撃で起こった風圧が吹き付けた。マジカルが弾き跳ばされ、地面に足を着いたまま後退する。彼女はダークネスの拳を防いだ腕が痺れて顔を少ししかめた。そこにダークネスが突っ込んでくる。
「やめて、ダークネス!」
「たあーっ!」
 ダークネスに気をとられていたミラクルがウィッチの攻撃をまともに受けてしまう。ミラクルは悲鳴をあげながら吹っ飛んで結界の壁近くに墜落した。
 マジカルはミラクルの悲鳴を聞いても、それを気遣う余裕もなかった。つぎつぎとダークネスが繰り出す拳や蹴りの連撃を避けつ防ぎつしていた。ダークネスの攻撃は鋭く、二人の体がぶつかるたびに衝撃があった。攻撃のたびに度に互いの赤と白のマントが激しくはためいた。
「はあぁっ!」
 ダークネスの回し蹴りがマジカルの腹部に決まり、つぶてになったマジカルは背中から結界の黒い壁に叩きつけられ、マジカルの翼のように開いた髪が乱れた。
「キャァッ!?」壁からずり落ちたマジカルが苦しそうに片目を閉じながらも前に出てダークネスの懐に入る。それに少し慌てたダークネスがとっさに出した右拳の手首をマジカルが掴み、左から来た拳は残りの腕で外に弾く。ダークネスの間近に迫ったマジカルが訴えるように言った。
「冷静になりなさい! あなたらしくないわ! さっきのヨクバールのせいでこんな事になってるのよ、おかしいと思わないの!?」
「黙りなさい!」
 ダークネスが急に身を引くと、マジカルがダークネスの右手を押さえていた力が前に送られて、マジカルが前にのめるような感じになって態勢が崩れる。刹那、ダークネスが一歩踏み込んでマジカルに強烈な肩当を食わせた。弾け飛んだマジカルは再び黒い壁に叩きつけられた。


 ウィッチの攻撃を受けたミラクルは、起き上がりと同時にさらにウィッチに攻撃を重ねられた。今度は簡単には当たらない。ミラクルはウィッチの攻撃をよく見て打ってきた右手を捕えると、それを引くと同時にウィッチの側面に回り込む。
「うぁっ、とっと!」
 攻撃をすかされたウィッチは勢い余って前に倒れそうになる。ミラクルは後ろからウィッチの左手を捕えて捻(ひね)り上げ、背中に片ひざを乗せて小柄な体躯を押しつぶした。瞬間にレモン色のポニーテールが強く揺れて、ミラクルの心が痛んだ。
「ぐううぅ……」左腕が完璧に決められていて、ウィッチは身動きが取れない。
「ウィッチ、やめて!」
「ううーっ! リンクル・インディコライトっ!」
 ウィッチの左のブレスレッドに青いトルマリンがセットされ、途端に左手から青い電気が火花を散らす。左腕を捕えていたミラクルは電気の魔法をまともに受けた。ミラクルが悲鳴をあげると拘束が緩んだすきにウィッチが抜け出し、まだ痺れの治りきらないミラクルにドロップキックを放った。
「とぉ〜っ!」