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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 リアンはリズが校長代理になった事と、校長が体調を崩した事の両方に驚いていた。
「校長が倒れるとは、何があったんだ?」
「倒れるなんて大げさよ。旅の疲れが出て休んでるだけなの」
「そうだとしても、あの校長が寝込むとは……」
「お父様、校長先生に伝えたいことがあるのでしょう? 代わりにわたしがお話を聞きます」
 リアンは今まで知らないリズの姿を見せつけられ、言葉を失ってしまった。
「お父様、どうかなさいまして?」
「いや、少しばかり驚いてな。お前、なかなかに校長が板についているぞ」
「そ、そうかしら?」
「うん、ではお前に話すとしよう。何日か前に魔法界にいきなり謎の島が現れてな。いまその調査をしていることろだ。まずはこれを見てくれ」
 映像がぐるりと回って止まったところで純白の塔の一部が水晶の中に映し出された。
「相当な高さの塔だ。こんなものがいきなり現れるなど、前代未聞の事だ」
「中に入ることはできるのですか?」
「扉はあるのだが、どんな魔法でも開けることができない」
 また映像が動いてどんどん塔に近づいていく。そして、アーチ型の白い扉が映し出された。
「扉には見たこともない魔法陣がかかれている。相当に古い時代のものであることは間違いない」
「この魔法陣は……」
 リズはすぐに呪文を唱えた。
「キュアップ・ラパパ、メモ」
 机の上に重なっておいてあるメモ用の紙に羽ペンが扉の魔法陣を写していく。
「お父様、お願いがあります」
「なんだ、あらたまって」
「近いうちにその塔に入る資格のある少女たちがやってきます。その時はどうか、何も言わずに中に入れてあげてください」
「お前、何か知っているのか?」
「校長先生の許可がないので詳しくはお話しできません。校長先生が寝込んでいる原因が、その扉に刻まれている魔法陣に関係しているとだけ言っておきます」
「ううむ、複雑な事情がありそうだな。わかった、よく覚えておこう」
 話が一段落すると、リアンの硬い表情が崩れて、父親の顔が出てきた。
「それにしても、お前が校長代理とはな。リリアにも話して後でお祝いしよう」
「何のお祝いですか。代理の役職でお祝いなんて恥ずかしいからやめて下さい」
 リズは慌てた。こんなお祝いは心底恥ずかしいと思った。しかし、リアンはかなり真面目だった。
「校長がお前を認めているというだけでも十分祝うに値する。リリアには話しておくからな、じゃあまたな」
 そして水晶の映像が消えてしまった。これは本格的に祝われるなと思うと、リズはため息がでてしまった。それから彼女は気を取り直し、すぐにリコとみらいを校長室に呼んだ。
 二人が校長室に瞬間移動してくると、リズは何を言う間も与えずにメモ用紙に書いた魔法陣を二人に見せた。
「それ、小百合たちの魔法陣だ!」
 みらいが言うと、リズはメモ用紙を置いた。
「扉にこの魔法陣が描かれた遺跡が、何日か前に魔法界に突然現れたわ。あなた達に場所を教えます。小百合さんとラナさんは必ずこの遺跡にくるでしょう。それに対してどうするべきなのか、それはあなた達が自分で決めなさい」
 どうすると言われても、リコは正直に言ってわからなかった。自分たちには関係のないその場所にいって何の意味があるのか。だからリコは言った。
「みらいが決めて」
「わたしが決めちゃっていいの?」
「みらいはいつも正直だし、そして正しい道を歩んできたわ。だからあなたに決めてほしいの。それがどんな結果になっても、わたしは後悔しない」
「リコ……」
 みらいは抱いているモフルンの顔を見つめた。
「みらいが一番したいことをするモフ」
 モフルンの言葉で、みらいの顔に笑顔が生まれる。
「行こう! わたしたちが出来ることがあるかもしれないから!」
 それを聞いてたリコは、みらいに任せてよかったと思う。みらい自身を傷つける原因を作った小百合たちを助けたいという思いが、いかにもみらいらしいし、みらいにしか出来ない選択だ。それはきっと正しい道につながっていると信じられる。

 小百合はラナのわがままに付き合ってちょっとだけ疲れていた。元気いっぱいのラナは、リリンと一緒にベッドに寝ながら魔法界生物図鑑を見ている。ぬいぐるみと愛らしい少女が並んで転がっている姿がとても微笑ましい。小百合の方は、テーブルの上に英語の参考書を開き、ペンを休めて少しぼーっとしながら何となく宙を眺めていた。するといきなり目の前に楕円の異空間が現れて、そこに黒いドレスの女神が映る。
「え!? フレイア様!?」
「おくつろぎで中したか」
 楕円の中のフレイアが言うと、小百合は慌てて姿勢を正した。気づいたラナがベッドから降りてフレイアの姿を見上げる。
「フレイア様、ちょっと元気なさそう?」
「そんなことはありませんよ。わたくしはいたって元気です」
 フレイアにそう言われても、ラナは心配そうに女神の姿を見上げていた。小百合の目にはフレイアはいつもと変わりなさそうに見える。
「みなさんにお願いしたいことがあるのです」
「なんでしょうか?」
「宵の魔法つかいを司(つかさど)るリンクルストーンがあと二つ残っています。それを集めて下さい。どちらも存在する場所はわかっています。一つ目のリンクルストーンは、白い月の塔の天上にあります。ここから南に向かって飛んでいけば塔を見つけることができます」
「わかりました、すぐに向かいます」
 小百合が立ち上がって言うと、フレイアが優しい笑顔で付け加えた。
「塔はリンクルストーンを求める者に与えられる試練ですから、塔の中では変身することができません。少し大変だと思いますけど、がんばって下さいね」
 それを聞いた瞬間に、小百合は嫌な予感がしてきた。そんな小百合の隣にラナが寄りそって言った。
「フレイア様〜」
「はい、なんでしょう?」
「そのとうには、どんなリンクルストーンがあるの?」
「それは手に入れてからのお楽しみということで」
「え〜」
「ロキも白い月の塔の出現には気づいているでしょう。敵もくるかもしれませんから、気を付けて下さいね」
 フレイアが言った後に、中空ある彼女の映像がぼやけて消えていった。小百合はフレイアの最後の言葉が衝撃的で少し呆然としてしまった。
「……じょ、冗談じゃないわ! 変身できないのに敵に襲われたら洒落(しゃれ)にもならないわよ! ラナ、すぐに出るわよ。敵が来る前にさっさと終わらせるのよ」
「あいあいさ〜。じゃあ、わたしの箒でばばっと行っちゃおう!」
「………」
 正直言って、小百合は全速力のラナの箒に乗るのは嫌だったが、変身できない状態で敵に襲われるよりはいいので文句はいわなかった。



 リアンが口ひげを触りながら白い塔を見上げていた。彼のすぐ横で浮いている紙に羽ペンがすごい速さで動いて塔の姿を描き上げている。すると、彼のすぐわきをものすごい速さで何かが通り過ぎた。それが起こしが風で彼の青いマントと若草色の上着が激しくゆらぎ、マントなど吹き飛ばされそうなくらいだ。そして、塔を書き写していた紙とペンはどこかへ吹っ飛んでしまった。
「とうちゃ〜く」
「デビー」