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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 リアンが驚いたまま固まった顔で振り向くと、箒から降りたラナとリリンが並んで両手を上げていた。後から降りた小百合は千鳥足で、狂気的なスピードにやられて頭がくらくらしている。小百合が倒れそうになると、誰かがその体を支えた。
「君、大丈夫かね?」
「ありがとう……」
 小百合は彼の姿を見た瞬間に、きゅんと胸が鳴った。
 ――この人すてきかも。
 リアンの知性を兼ね備えた精悍さが小百合の胸に迫る。
「す、すみません!」
 小百合は意味もなく謝ってリアンから顔をそらす。父親のいない小百合は、リアンのようなかっこいい大人の男性に憧れてしまうのだ。
 ラナとリリンがそんな小百合の姿をじっと見ていた。
「どしたの? 小百合なんか変だよ」
「顔が真っ赤デビ!」
「うるさいわね、あんたたち!」
 リアンは小百合の近くでふわふわ飛んでいるリリンと見つけると、思わず駆け寄っていた。
「その黒猫君は、もしやぬいぐるみでは」
「そうでデビ。リリンはぬいぐるみデビ」
「ううむ、そうか」
 リアンは顎ひげを触りながらモフルンのことを思い出していた。彼の頭脳なら、モフルンとリリンを照らしあわせて答えを導くのは簡単だ。
「リズが言っていたのは君たちのことか」
 いきなりリズの名前が出てきて小百合は戸惑った。この人は誰なんだろうと思っていると、後ろから声がした。
「ねえ小百合! この扉にわたしたちの魔法の円があるよ!」
 小百合がリリンと一緒に駆け寄ると、ラナが塔の入り口の白い扉をぺたぺた触っていた。後からきたリアンが後ろからのぞき込む。ラナが軽く扉を押したら動いて隙間ができた。
「あ、開いた〜」
「なっ!? どんな魔法でも開かなかった扉がいとも簡単に……」
 小百合はすぐ近くで驚いているリアンが気になったが、今は時間がない。
「行くわよ、ラナ、リリン」
 小百合は扉を押し広げると、やっぱりリアンの事が気になって一度振り返った。
「気を付けて行きたまえ」
 そんな何気ない彼の言葉が、小百合の胸に温かく響く。
「はい、おじ様」
 小百合は思わずそんなふうに言った後に、体がかっと熱くなるのを感じた。



 白い月の塔という名の通り、全てが白い、壁も階段も。二人は脳みそが空にでもなったような顔で螺旋に続く階段を見上げていた。二人がどんなに目を凝らしても、階段の終わりが見えなかった。さらに恐ろしいことに、そんな高さの階段にもかかわらず、手すりというものがなかった。
「フレイア様はちょっと大変っていってたよねぇ。これって、すごく大変じゃなあい?」
「……あの人の言葉を信じたのが間違いよ。いきなりナシマホウ界から魔法界に行けって言うような人だからね。お願いは基本的に無茶ぶりなんだわ」
「こんなのどうってことないデビ、二人とも早く行くデビ」
「あんたは飛べるからいいわよね!」
 小百合が得意なリリンに突っ込んでから、二人は並んで階段を上がり始めた。階段の左手にある壁に空洞になっている小さな窓が等間隔にあって外が見える。塔自体が淡い光を放っていて、内部は明るかった。
 二人は最初は軽快にすすんでいたが、だんだんペースが落ちていく。そして二人の息も上がっていく。そして限界まで頑張ると、階段の踊り場に二人同時に倒れた。
「もだめ〜。そろそろつくんじゃなあい?」
「まだ上も見えていないわよ……」
 小百が息を切らせながら言うと、絶望したラナは体の力が抜けた。
「二人とも、この程度で情けないデビ」
「あんたにわたしたちの大変さは分からないでしょうね!」
 平気な顔をして飛んでいるリリンに、小百合がまた突っ込んだ。とにかく二人はがんばって、休みながら階段を上るのだった。



「あれか、ロキ様が言っていたのは」
 氷の竜から生まれたヨクバールの背に乗って、猫の姿のフェンリルが白い塔を見つける。それとほとんど同時に、箒に乗ったリコとみらいも別の方向から塔に近づいていた。
「お父様!」リコが塔の前にいるリアンの前に降りてくる。
「リコ! それにきみ君まで」リアンがモフルンを抱いているみらいを見ていった。
「お父様、あの塔に誰か入って行かなかった?」
「黒猫のぬいぐるみを連れている女の子が二人入っていったよ。リコの知り合いなのか?」
 それにリコがなんて言おうか迷っていると、みらいがはっきりと言葉にする。
「二人とも友達なんです!」
「友達モフ!」
 モフルンもみらいと一緒になって楽しそうに言った。それにリアンが何か答えようとすると、
「ヨクバァーーールッ!」
 二人が見上げると、塔白い壁をに沿ってヨクバールが上昇していく。それを見たリアンが目をむいた。
「何だあの怪物は!?」
「あのヨクバールは!」リコは飛んでいく暗く強大な姿を知っている。
「大変だよ!」みらいは突風のように言った。
 ヨクバールが翼を大きく開き、塔の白い壁を前にして止まる。フェンリルが怪物の肩に上がってきてい言った。
「宵の魔法つかいはこの中か。ヨクバール、ぶっこわせ!」
「ヨクバールッ!」ヨクバールの前に巨大なツララが3本現れ、冷気の白煙を吹いて撃ちだされ、壁に次々と突き刺さった。
 階段を上がっていた小百合たちを強い振動が襲う。
「うわっ!? ないなに!?」ラナが壁に寄りかかって怯える。
「まずいわね、たぶん敵がきたのよ」
「別になんにも起こってないデビ」
「あんたは飛んでるから分からないのよ!」
 小百合がまたリリンに突っこみを入れたその瞬間、小百合たちがさっき通った階段の壁が吹っ飛んで竜の頭が中に突っこんできた。そして、竜の骸骨が小百合たちを睨み、アイホールの赤い光が強くなる。
「いやーっ!!?」
「でた〜っ!!?」
「デビーッ!!?」
 小百合とラナとリリンが同時に叫び、みんなに階段を駆け上がった。ヨクバールの頭の上にフェンリルが飛び乗って小百合たちの姿を捉える。
「いたなプリキュアども! 新しいリンクルストーンなど与えてたまるか!」
 ヨクバールが塔の中から頭を引いて姿を消すと、今度は壁伝いに走っていたラナのすぐ横に衝撃があり、壁に亀裂が入りラナが横に飛ばされる。
「うわぁッ!!?」
「ラナ!」
 階段から落ちラナの手を間一髪で小百合がつかんでいた。ラナは宙づりに近い状態で下を見て息が止まった。高すぎて底が見えなかった。
「あうあうあう……」
「離すもんですか!」
 小百合がラナを何とか階段の上に引き上げた時に、また背後の壁に衝撃があった。
「やっと天井が見えてきたっていうのに、このままじゃ……」


 外では塔を攻撃し始めたヨクバールを見て、リアンが険しい顔をしていた。
「あの子たちを狙っているのか!」
「二人とも、変身モフ!」
 モフルンがみらいに抱かれながら言うと、リコとみらいは目と目を合わせて頷いた。
 みらいとリコが左手と右手をつなぐと、そこにリングでつないだ可愛らしいハートと星を背景にした光のハットが現れる。つないだ手を後ろへ、みらいが輝くピンクのローブに、リコはきらめく紫のローブに身を包み、二人で同時に手を高く上げる。
『キュアップ・ラパパ!』