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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 混乱していたウィッチは、ダークネスの一喝で体を硬直させ、それから両目をぎゅっと閉じてミラクルとマジカルに対する申し訳なさと仲間になれなかった無念さを耐え忍ぶ。それから目を開けて胸の痛みで曇った碧眼でダークネスを見つめると頷いた。
 二人はミラクルとマジカルの前から走り去り、途中でリリンも一緒になると高く跳躍してビルの間に間に姿を消した。

 ダークネスとウィッチはあるビルの屋上で立ち止まっていた。ウィッチはダークネスと目を合わさずに黙っている。リリンは羽を動かして飛びながら二人のことを見守っていた。
「ウィッチ、何か言いたいことがありそうね」
 ダークネスが沈黙を破ると、ウィッチはゆっくり顔を上げてからまっすぐにダークネスを見つめる。
「あんなのって酷すぎるよ、ミラクルがかわいそう!」
「あんたは伝説の魔法つかいと仲間になれるとでも思っていたの? 残念だけれどそれは無理よ。例え同じプリキュアでも闇の結晶を集める目的が違うのだから、奪い合いになるのは必定(ひつじょう)よ」
「だからって、あんなやり方することないじゃん……」
「じゃあお話合いでもすればよかった? そうしたら向こうが大人しく闇の結晶を渡してくれるとでも?」
「それは、無理だと思うけど……」
「無理だったら戦いになるわ。プリキュア同士でお互いに傷つけあって、どちらかが倒れるまで戦うのよ。その方がよかったの?」
「そ、それは絶対嫌だよ!」
「あの場合は不意を突いて闇の結晶を奪うのが、誰も傷つけづに済む方法だったのよ」
 ウィッチはダークネスのいっていることが正しいと分かっているが、納得できない気持ちがぬぐえない。そんなウィッチの気持ちがダークネスにはよくわかった。だから彼女は、ふと表情に悲しい陰を落としていった。
「ウィッチ、無理にわたしに付き合わなくてもいいのよ。わたしはお母さんの事があるから諦めるわけにはいかないけれど、あんたに辛い思いをさせるのも嫌だわ」
「いやいや、何をおっしゃいますかおねいさん! さっきのはびっくりしちゃったけど、なにがあってもわたしはダークネスと一緒だよ! ダークネスのこと信じてるから!」
 ウィッチの言葉に嘘はない。ダークネスにはそれが分かり、微笑みが生まれる。
「ありがとう、ウィッチ」
「でも〜、ミラクル、本当に悲しそうだったな……」
 ダークネスもミラクルが見せた瞳の輝きを思い出していた。まるで親兄弟でも亡くしたような、全ての希望を断たれて世界から見放されたような、そんな最悪の絶望を感じる目だった。ダークネスは胸を針で刺されたように感じる。それは錯覚だが、その痛みはダークネスの胸の奥深くに染み込んでいった。
「キュアマジカルは、わたしがしたことに対して怒っていたわ。それが普通よ。でもあの子は……」
 ダークネスはビルの屋上から青い空を見つめていった。
「なんであんな目をするのよ……」

 翌日、小百合はどうしても気になることがあり、いつもよりも早く屋敷を出て学校にいく前に寄り道をした。それは、津成木町のオフィス街、昨日ヨクバールと交戦した場所であった。その一角に人だかりができていて、小百合が目指している場所もそこである。
「すごいわね、どうしたらこんなになるのかしら?」
「車でもぶつかったんじゃないのか?」
 そこに集まっていた出社途中のOLや商社マンの話す声が小百合に耳に届く。小百合は思い切って人の森をかき分けてその場所を目指す。そして小百合が人だかりから抜け出た時、目の前に蜘蛛の巣を思わせるような細かい亀裂が入りボロボロになっているビルの壁が現れる。小百合がここに来たのは確認のためで、その状況はもう予想していたが、それでも衝撃を受けた。
「やっぱり、そうなのね……」
 ここは、ダークネスの攻撃でミラクルが叩きつけられた場所である。
「プリキュア同士の戦いでは破壊されたものは元には戻らない。もし戦いになれば、周りを巻き込むことになるわね……」
 その時に小百合は、自分と同じ年くらいの津成木第一中の制服を着た菫色の髪の少女が壊れた壁を見つめている姿に気づく。まわりは社会人ばかりで、学生は自分とその子だけだったので気になり、小百合は注意深くその子の様子を観察した。その少女とはリコであったが、お互いにプリキュアである時の姿しか知らないので、今の状況では赤の他人である。しかしリコは、相当な衝撃を受けていて、食い入るようにひびだらけの壁を見つめている。その姿は小百合に強い印象を与えた。