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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 小百合はそんなラナを無視して机に向かい、宿題をこなしている。その後もラナは何だかんだ騒ぎ続けたが、小百合は宿題が終わるまでは我慢し続け、終わった瞬間に隣の教科書を吹き飛ばすくらいの勢いでノートを閉じてばっと立ち上がる。
「うるさいわね! いい加減にしなさいよ!」
「だってぇ……」
「あんたの気持ちは分からなくもないけれど、あのプリキュア達との衝突は避けられないわ、その理由は何度も説明したでしょ」
「わ、わかってるよ……」
「もう賽(さい)は投げられたのよ、後戻りなんてできないわ、覚悟を決めなさい」
「サイ? サイを投げて後戻りできないってどういうこと? それに、あんな大きい動物どうやって投げるの?」
「そっちのサイじゃないわよ! サイコロのサイよ!」
「ああ、なんだぁ、サイコロなら何となくわかるね、アハ!」
「普通、動物のサイは想像しないでしょ……」
 すっかり話がおかしくなってしまったが、ラナは何の気もなしにいった。
「はぁ、なにか気晴らしでもしたいな〜」
「気晴らしねぇ」
 小百合も伝説の魔法つかいとの戦いを望んでいるわけではないので、ラナと一緒に気晴らしをしたい気持ちになっていた。そこで彼女は思いついていった。
「そうだ、あんたの魔法を見せてよ。箒で空を飛ぶだけじゃないんでしょ?」
「リリンもラナの魔法を見てみたいデビ」
「いいよ! じゃあお庭にいこ」
 小百合はリリンを抱き、3人で外に出て屋敷の裏庭にいく。そこでラナは名もない野の花のつぼみに目を付けた。
「これにしよ〜」
「その花のつぼみをどうするの?」
「魔法で花を咲かせるんだよ!」
「へぇ、そんなことできるのね」
「楽しみデビ」
 リリンと小百合が興味深く見つめているところで、ラナが先端にひまわりのクリスタルが付いた魔法の杖を出す。つぼみのすぐ近くに花びらの白い可愛い花が咲いていて、小百合はそれと同じ花が魔法によって咲くのだろうと思っていた。
「いくよ〜、キュアップ・ラパパ! 花よ咲け!」
 ラナが杖をつぼみに向けて魔法の呪文を唱えると、つぼみが徐々に開いていく。
「まあ」
「すごいデビ」
 感動して見ている小百合とリリン。しかし、その表情は花が開いた時にこわばった。
「ギャシャーッ!」
 花の中央に奇妙な口が付いていて、それが奇妙な鳴き声を上げた。
「い、いやぁーっ!」
「デビーっ!?」
 悲鳴を上げる二人、花の口には異様に鋭い歯が並んでいて、それを何度もかみ合わせて、ガチンガチンと音を響かせている。それを見たラナは目を輝かせた。
「おお、なんかすごいのになった!」
「なんなのよ、この異様な生物は!?」
「魔法の力で花は新種の生き物になったんだよ」
「こんな変なものにしないで、普通に咲かせなさいよ!」
 憤る小百合にラナは頭をかいた。
「いやぁ、そんなこといわれてもね〜」
「あ、蝶々が飛んできたデビ」
 飛んできた黄色い蝶(ちょう)を、ラナの生み出した花のような生物が食べようとして襲いかかる。歯をむき出す花、フラフラと逃げ惑う蝶々、それを見た小百合が叫ぶ。
「このままじゃ蝶が食べられてしまうわ、魔法でなんとかしなさい!」
「まかせて! キュアップ・ラパパ! 蝶よずっと上まで飛んでいけ〜」
 ラナの魔法で黄色い蝶は上昇し始め、悪夢のような花から離れていくが、同時に途方もない変化が起こり始める。上昇と同時に蝶は大きさを増していき、ついに小百合たちは上空の蝶の影におおわれた。
「え? え? ええぇーーっ!?」
「めっちゃ高く飛んでる、わたしの魔法成功した!」
 驚愕の叫びをあげる小百合の横でラナは喜んでいる。
「ちょっと、なんなのよあれは!?」
「ちゃんと高く飛んだでしょ。まあ、ちょっと大きくなっちゃったけどね〜」
「大きくなりすぎよ!! あれじゃどっかの映画に出てくる怪獣と変わらないわ!」
「怪獣じゃなくて蝶だよ」
「そんなことはどうでもいいから、早く元の大きさに戻しなさい! あんなのが街にいったら大騒ぎになるわよ!」
「わかったよ。キュアップ・ラパパ! 蝶よ元の大きさに戻れ〜」
 ラナの魔法の光が飛んでいって巨大化した蝶に当たると、真っ白い煙が広がって蝶をおおい隠してしまう。そして、煙の中から巨大な両翼が飛び出し、間抜け面のドラゴンが現れる。
「ギャオーッ!」
 そしてドラゴンはなんとなく間抜けな雄たけびをあげ、雄々しく飛翔して街の方へ向かっていった。もはや小百合は口を開けっ放しにしたままなにも言えなくなっていた。
「おお、すごい! ドラゴンになっちゃったよ! すごいねわたしの魔法!」
「あんた、ふざけんじゃないわよ! どうなってんのよ、あんたの魔法は!?」
「いやぁ、わたし箒で飛ぶ以外の魔法って、生まれてから一度も成功したことないんだよね〜」
「そういう事は先にいいなさいよね!! どうすんのよあれ!」
 小百合が怒りながら街の方に飛んでいくドラゴンを指さすとラナはいった。すでに街の方では騒ぎになりつつあった。
「そのうち消えるから心配ないよ」
「消えるって、どれくらいで?」
「えっと、十秒から一日くらいの間だよ」
「なんでそんなに差があるのよ!? 今すぐなんとかしなさい!」
「え〜、無理だよ〜」
 そんなこんなしている間に、間抜け面のドラゴンは街の上空に至って火を吐いている。それを見た街の人々は大騒ぎして逃げ惑う。そこへみらいとリコが魔法学校の制服姿で箒に乗ってやってきた。二人は街の人に見られないようにできるだけ高度を上げ、ドラゴンの真上にくるとその巨体に隠れながら下降していく。ある程度近づくとみらいがいった。
「ヨクバールかと思ってきてみたけど」
「どうやら違うみたいね」
「魔法界のアイスドラゴンにそっくりモフ」
「それよりも随分間の抜けた姿をしているけれど」
 そういうリコは、上からドラゴンをしばらく眺めていた。
「これってもしかして」
 リコは魔法の杖を出して呪文を唱える。
「キュアップ・ラパパ、ドラゴンよ元の姿に戻りなさい」
 リコの魔法を受けたドラゴンがもうもうと白い煙に包まれる。そこから出てくるのは一匹の小さな蝶である。
「元は蝶々だよ!?」
「あり得ないし!?」
 みらいとリコは二人そろって仰天(ぎょうてん)する。それからリコが急に真剣な顔になっていった。
「小さな蝶をあんな大きなドラゴンに変えてしまうなんて、よほど功名な魔法使いがやったに違いないわ」
「どんな魔法つかいなのか気になるね」
「ドラゴンを街に放ったのが少し気にかかるけれど、会ってぜひとも魔法の使い方を教わりたいわ!」
 その頃、屋敷の方では小百合が安堵の息をついていた。
「消えてくれたわ……」
「すぐに消えてよかったね〜」
「よかったね、じゃないでしょ! あんたもう空飛ぶ以外の魔法使うの禁止ね!」
「いや〜、ものの弾みってあるじゃないですか〜、思わず使っちゃうみたいな」
 減らず口をたたくラナを、小百合は怒りを抑えて目で威圧する。その圧倒的な無音の迫力の前にラナは硬直して口を閉じた。
「……魔法学校で勉強すれば、わたしでも魔法が使えるようになるのかしら?」
「へ、どしたの急に?」
「ラナはどう思う?」