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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 ラナは驚きすぎて大きな目をさらに大きくしたままで、まだ声が出ない。しかし、次の瞬間にラナの中でくすぶっていたものが爆発した。
「うええぇーーーっ!? みらいとリコがプリキュアだったの!? しかも超かっこいいあのプリキュア!! 赤くてかっこよくて、さいっこうにファンタジックだよっ!!」
「うるさいわね……」
「小百合はこのこと知ってたの!?」
「だいぶ前に気づいていたわよ」
「なんで教えてくれないの、ひどいよ〜っ!」
「あんたに教えたら大惨事にしかならないからね」
 小百合が感情なしに冷たく言い放つ。その間もミラクルとマジカルの姿を見つめていた。
「動き出したわ、追いかけて」
「ねぇ、助けないの?」
「動くのはあのプリキュアの能力を確かめてからよ」
 ラナは言われた通りにマジカルたちを上空から追いかけた。二人は屋根伝いに丸形のヨクバールに接近していた。
「2体同時に相手にする必要はないわ、一体ずつ素早く確固撃破しましょう」
「わかったよ!」
 マジカルにミラクルが頷く。二人は屋根から跳んで丸型ヨクバールに急接近する。
『とあーっ!』
 二人同時のパンチがヨクバールのボディーに炸裂する。ヨクバールは氷の破片を散らしながら街の中ほどから中央の噴水広場まで吹っ飛んでいく。
「ヨクバール!?」
 氷に覆われた丸い体が広場の階段に激突し、破壊して地中にめり込む。上空から見ていたラナは驚いていた。
「うわっ、すっごい飛んだよ〜」
「ダイヤスタイルにはないパワーだわ。あれがルビーの能力なのね」
 小百合は淡々とルビースタイルの能力を分析していた。一方別の場所では、ボルクスがルビーの力の前に愕然としていた。
「おい、どうなってんだ!? 俺のヨクバールがとんでいっちまったぞ!」
「こりゃあ驚いたね、とんでもないパワーだ」
 フェンリルはそう言いつつも冷静で余裕がある。それとは真逆なボルクスは頭に血を上らせた。
「こうなったら、俺様が相手になってやる!」
「まあ、待ちなよ。まだお前のヨクバールはやられていないよ。それに、あんたが出るまでもないさ。2体のヨクバールをうまく使えば奴らを倒すのはそう難しいことじゃない」
「本当か?」
「以前の戦いで奴らの力の本質は見抜いている。プリキュアってのは協力することで、その力が何倍にもなる。逆を言えば、分断しちまえばその力は何分の一かになるってことだ」
「お前の言っていることは難しくて全然わからんぞ」
「どんだけ阿呆なんだい! 仕方ない、分かりやすく言ってやる。お前はヨクバールにマジカルを攻撃させろ。わたしのヨクバールはミラクルを狙わせる。あの二人は一緒に戦おうとするだろうが、執拗(しつよう)に攻撃を繰り返して分断させるんだ、それで勝てる」
「マジカルを狙えばいいんだな、ようし!」
 ボルクスが街の中央広場に向かって走り出す。フェンリルは近くで暴れているヨクバールに命令した。
「ヨクバール、キュアミラクルを狙え!」
「ギョイィーーーッ!」
 ウサギ型のヨクバールがその強靭な脚力で大きく跳躍する。それを3度繰り返しただけで、ヨクバールは中央広場に到達した。新たなヨクバールが現れ、丸型ヨクバールと対峙していたミラクルとマジカルに緊張が走る。そこへ今度はボルクスが現れる。それを見たマジカルが怪訝な顔をした。
「なんでオーガがこんな所に?」
「オーガ?」
 ミラクルはオーガのことがすごく気になったが、今はそんなことを聞いている余裕はない。
「行け、俺のヨクバール! キュアマジカルを倒せ!」
 その命令を聞いて、二人はそのオーガが敵であることを知る。
「ヨクバール!」
 丸型ヨクバールの氷の翼が開き、全身からツララが突き出す。氷の翼が羽ばたくとツララがミサイルのように発射されてマジカルに迫る。マジカルがその場から飛び退くと、石床にツララが突き刺さった。
「このーっ!」
 ミラクルがマジカルをフォローしようと丸形ヨクバールに向かっていくと、唐突にウサギ型ヨクバールが割り込んできた。
「ええっ!?」
「ヨクバールッ!」
 ウサギ型が巨大な腕を振りかぶり、空中のミラクルに長い爪を叩きつける。虚を突かれたミラクルはその攻撃をまともに受けた。
「うあぁっ!?」
 吹っ飛ばされたミラクルは剛速球のような勢いで広場の外側に飛んで、商店の建物に激突した。轟音と共に土煙が上がる。ミラクルは3軒先の店まで突き抜けて建物を倒壊させて瓦礫の中に埋もれてしまう。
「ミラクル!」
 マジカルがミラクルに向かって大きくジャンプすると、そこへ丸形ヨクバールが突進してくる。
「ヨクーッ!」
「キャアッ!?」
 固い氷の体に弾き飛ばされたマジカルは広場の石階段に叩きつけられ、その身で階段を粉みじんにして埋没する。
「くぅっ、片方ずつ狙っているの!?」
 マジカルは片目をつぶって全身の痛みに耐えながらいった。それから立ち上がり、空中からこちらを睨む竜骸骨の真紅の瞳を見つめていった。
「このままじゃまずいわ、何とかしてミラクルと合流しないと」
 ウサギ型ヨクバールが一跳びでミラクルの目前に移動して地響きと共に降り立つ。ミラクルは瓦礫を押しのけて立ち上がっていた。
「このままじゃ街が……」
「ヨク!」
 ヨクバールが長大な爪の付いた手を伸ばしてくる。ミラクルが跳んで避けると同時に道路の方に出ていと、中央広場の方で爆発のように煙が上がり、マジカルの悲鳴が聞こえてくる。ミラクルは前屈みになって目の前の敵に向かってまっすぐに飛んでいく。
「どいてーっ!」
 ヨクバールの腹部に飛び込んできたミラクルのパンチが沈み、その衝撃で巨体が後退する。
「リンクルステッキ!」
 虚空に現れたリンクルステッキをミラクルは手に取り、高く上げる。
「リンクル・アメジスト!」
 ステッキにハート型の紫色の宝石が現れると同時に、ミラクルの背後に魔法陣が開く。ミラクルが後ろに跳んで魔法陣の中に入ると、一瞬後にヨクバールの上に魔法陣が開きミラクルが飛び出してくる。
「たあーっ!」ワープしてきたミラクルの飛び蹴りがヨクバールの顔面に決まった。
「ヨクッ!?」ヨクバールの巨体がぐらついて後ろに倒れていく。高い建物の屋根からの様子を見ていたフェンリルは言った。
「一人でもヨクバールを圧倒するパワーか。二人一緒になったら2体のヨクバールでも負けるね」
 ヨクバールが倒れて石畳の道路にヒビが入る。ミラクルはヨクバールを跳び越え、マジカルのところへ向かおうとした。しかし、ヨクバールの巨大な手が伸びてきて、ミラクルの足を掴んでしまう。
「ああっ!?」
「ヨクッバールッ!」
 恐ろしいかけ声と共に、ヨクバールが腕を振ってミラクルを道路に投げつける。
「キャアアァッ!!」
 ミラクルは道路の石畳を破壊してバウンドし、再び道路に接触した後は何度も転げまわってから止まった。それを見ていたフェンリルは痛快に笑った。
「いいぞヨクバール! ミラクルとマジカルの距離をもっと開けろ! 絶対に一緒にさせるな!」
 埃だらけでうつ伏せに倒れているミラクルが前を見ると、立ち上がったヨクバールが周りの店を破壊しながら近づいてきていた。
「や、止めて! 街を壊さないで!」