女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~
レイナアリス 1
レイナアリス。前世の名前をくっ付けて、私の貴族名となる。メスティオノーラの加護で必要な学問を全部突っ込んだ(後にまた説明)私は礼儀作法と音楽教養の、体で覚えるタイプだけを教えられた。
「レイナアリスはとても物覚えが宜しいですわね。とても平民とは…。ローゼマイン様と同じ夢をお持ちなだけ御座いますわ。」
どうやら神々から教えて貰っていると思われているらしい。まあ前世で散々遣らされた事だからねぇ。形は違っても、真髄は同じ。特に有利なのはフェシュピールだ。嵌まっていた乙女ゲームのキャラがハーブを弾いていた、と言う理由からピアノ、ヴァイオリン、琴を習っていた癖に、ハーブまで取り込んだのだ。教養としては十分と言う事で、まもなくハーブ一本になったから良かったけど。まあ、そんな訳でフェシュピールは結構自信があった。
「大人用で弾いてみたいのですが。」
子供用は音が限られている。ローゼマインが作ったとされた、元の世界の曲がフェルディナンド達にアレンジされた際、ローゼマインが弾ける様に、子供用のフェシュピールに合わせて音を替えていた部分もある様だ。
でも私はそう言う事をするなら、大人用もちゃんとアレンジしておきたい。だったら初めから大人用を持っていたかったのだ。
大人用のフェシュピールは大きいので、筋力を増強して支える。手の大きさや指の長さで足りない部分はアレンジすれば良い。
まずは指慣らしと簡単な曲を弾き始めた。
ドはドーナツのド
レはレモンのレ
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ドレミの歌である。ここの音階はドレミファソラシドではなく、ツェアリミキマカツェで、ちらりと聞いてみれば長調や短調の概念は無く、シャープやフラットは特殊音と呼ばれる様だった。
唯の指慣らしは絶賛された。考えてみれば、音の取り方を教えただけで、いきなり両手でスラスラ弾いたから当たり前だろう。計算はあった。
ドレミの歌は此方の音階に合わせて、歌詞を変えたら良いかも知れない。
練習曲を渡された。初見で充分な難易度だったので、直ぐに弾き切ると、教師にスンゴイ目で見られた。
作品名:女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~ 作家名:rakq72747