女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~
レイナアリス 2
この世界の文字や楽譜、その他の学問、要は知識的なモノは既に頭に入っている。実は私が加護や属性が増えていると確信したのもそれが理由だ。
神の名前を全て覚えている訳では無かった私が、何時の間にか諳じる事が出来るし、習った訳でもない文字や音符も違和感はあれど、問題無く使えるのだから、恐らく通常の加護よりも大きいのだろう。
何にせよ成果を出して、ジルヴェスターの養女になる事を目指す身としては、有り難い事である。
私が居る、と言う事で用意された教師は私が余りに出来が良過ぎる、と言う事で、子供部屋の旧ヴェローニカの子達も教え出した。それとなく誘導したこともあったが、平民相手にも優しくあれる人故にだろう。ジルヴェスターの配慮だと考えられる。
私は折角だから合奏する事を提案してみた。私はもう大人用で弾くけれど、彼等は子供用。それでもドレミの歌であればギリギリ弾けるからだ。
私は音階の歌として、ここの音階として、歌詞を作り直す。若干、違う部分もあるが、弾き易さと歌い易さで行く事にする。
「ツェ~、リ~、リ~、」
「ツェリリリキキ、」
ハモりや輪唱も無い世界で、その基礎になれるだろうと、ゆっくり音階を歌う者と、早く歌う者を同時に歌わせた。
冬の御披露目。私が教師をした子供達。実は合奏練習の際、ふと思い付いた私はキュントズィールの祝福を掛けた。それはもう、これで実力上がったらめっけもん、どうせ魔力は腐る程ある、と遠慮なく。祝福の光で視界が遮られる程ドッサリと。その結果、彼等の技量は瞬く間に上がった。それを良い事に彼等に更なる音楽的な成長を、とアーンヴァックスの祝福も付け足した処、練習に更なる集中を見せたのである。
私はその結果をジルヴェスターに伝え、御披露目で彼等の合奏を聞いてくれないかと交渉し、その了承を得た。合奏は7才以上も出る。今年、メルヒオールと共に貴族院に行く私の宣伝に丁度良かったのだろう。そう、私はど真ん中で弾く事になった。
御披露目当日。ざわざわとしているのは、子供達が体に似つかわしくない大人用フェシュピールを持っているからだろう。因みにこれは買って貰ったのではなく、借りたのだ。無論、小さな彼等では支え切れない。なので筋力増強の魔術具も借りている。どちらも今日の成果次第でジルヴェスターは買い与える事を約束してくれている。
彼等の腕が上がったので、私は本日用の為、人数分、前世で習ったクラシック曲を教えた。歌詞は適当に神様を讃えといた。
その後、絶賛の拍手が止まらない中、合奏が始まる。曲は音階の歌と…、アンパンマンマーチにした。そう、私はローゼマインが作った曲を“編曲した”と言う事にして、原曲で例の恋歌を歌ったのだ。
そして同時に私はユルゲンシュミット初の連弾、ハモりを演出した。序でに祝福もバッサバッサと掛けまくった。
作品名:女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~ 作家名:rakq72747