神殿長ジルヴェスター(2)
ジルヴェスター視点
神殿に来て数年経った。その間には色々あった。アウブ命令とかで、私を取り戻そうとするフェルディナンドを抑えるのに、カルステッド達が随分苦労してくれた。
お陰で今はオルドナンツが朝と夜にやって来るだけで済んでいる。…鬱陶しいとは言わぬ。金銭面ではフェルディナンドが優遇してくれているのだ。文句等無い!! …ホントだぞ。
面倒な書類仕事をサボれば、理由を付けて神殿に来そうだから、文句を言わないのでは無い。
第一、フランと言う有能な灰色神官に手伝って貰えるからな。お陰で散歩に出れる。ふふん。
大体散歩に出れば、ギルと言う灰色神官と一緒になるのだ。ちょっと遊び相手になってやってると、何時の間にか執務室に戻っているな。だからフランに押し付け過ぎる事もなく、上手く回っているのだ!!
…そう言えば神殿に来た頃は大変だった。青色神官が数を減らしたせいで、灰色神官が余りまくって、食事が足らなかったのだ。
孤児院にいる子供達の食費を出せたのも思い付いたのは私であるが、フェルディナンドのお陰であろう。思い付いたのは私であるが。
…大事な事だから2度言ったぞ。
勿論、充分とは言い難いが、一応餓えて高みに昇らぬ程度の食事が用意出来ている。
フランやギルの信頼を得たのは、この辺りだったやもしれぬな。うんうん。
…処で神殿長になってから少し経った頃、花捧げを進められたが、当然断り続けた。
フロレンツィア以外に興味は無いからな。すると何故か女嫌いと噂された。それだけなら放って於いて良かったのだが、何をどう思ったのか、男色家と言う者も出てきたのだ。厭だ、と思った。
「私は普通に女が好きなのだーっ!!!」
何時の間にか隠し部屋で叫んでいた。フロレンツィア以外に興味は無いが、それでも無理矢理でもその気になってみるか!?
そこで灰色巫女を1人、閨に呼んだのだが…。
結論、役に立たない。
仕方がないので添い寝である。流石に男の矜持が傷付いたので、1人で色々試して分かったが、すっかり身体は“抱く”のではなく、“抱かれる”方に反応する様になっている…。
くそうっ!!! 全部全部兄上とフェルディナンドのせいだーっ!!!!!
…治療だと思って、その後も同じ灰色巫女を閨に呼んだが、結局何も出来ず…。
男色の噂の代わりに、添い寝で満足する変わり者となってしまった…。
ま、まあ噂が消えたので良しとするか!!!
神殿に居ながらも、身体を鍛え直していたので、騎士団と共に魔獣退治に参加が出来る様になった頃、私は新たな出逢いを迎える。
作品名:神殿長ジルヴェスター(2) 作家名:rakq72747