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神殿長ジルヴェスター(4)

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 「それでフラン、これは何かしら?」
 答えを貰わなかった木札について、もう1度聞く。
「神殿内の不文律や決まり事を纏めた物でございます。マイン様に学んで頂く為に僭越ながら作らせて頂きました。」
「まあ、わざわざ? ありがとう存じますわ。」
 私には知らない事が山程あるだろう、神殿の常識についてテキストを作ってくれているなんて、何て有能な側仕えだろうか。
 早速、フランに椅子に座らせて貰って、木札を読み始める。
「神殿内を1人では歩かない、とあるのは?」
「そのままでございます。側仕えも無しに歩いてはなりません。淑女として当然であり、それを守らないのははしたない事でございます。また男性であっても紳士のなさる事ではございません。」
 因みに神殿長がしょっちゅう抜け出す問題児だから一番最初に記されたらしい。
「もー! 呆れましたわ!! そんな事も知らないなんて! 早速エグモンド様に知らせて来なくてはっ!! ――貴方なんてエグモンド様が神殿長になればす~ぐ追い出されるでしょうね!」
 気になる捨て台詞を吐いて、デリアは去った。
「フラン、デリアの言葉はどう言う意味なのでしょう? エグモンド様と仰る方が神殿長になる予定があるのですか?」
 もしそうなら困ってしまう。
「いえ、そんな予定はございません。」
 キッパリとフランは言い切った。…と言う事は…? 
「では神殿長を追い落とし、御自分がその椅子に座ろうとお考えなのでは?」
 権力争いに興味は欠片も無いけど、巻き込まれる位置に居るなら、話は別だ。フランをじっと見詰めると、少しだけ思案した様な顔になり、溜め息を吐いた。
「…私も貴族社会は存じ上げませんので、詳細は解りかねますが、本来であれば神殿長はこの神殿に入る様な方ではありません。先々代の領主様の御子息様であり、先代の領主様の御弟君であり、現在の領主様の御兄君であらせられ、領主候補として血筋も魔力も申し分の無い方だとか。」
 思っても見なかった話に私は目を丸くした。
「そんな方が何故、神殿に入られたのかは存じ上げません。しかし、御領主様は最低でも日に2回は魔術で御言葉を届けられますし、何か事が変われば様子を見にいらします。そこでどの様なお話しをされているかは解りかねますが、恐らく貴族社会に戻したいのでは無いかと愚考します。
 神殿長は今の御自分に満足されておられるので、神殿を出る事は無いかと思われますが、万一そうなりますとエグモンド様が神殿長の跡を継ぐと思い込まれているのだと思います。
 …実際に神殿長が跡継ぎを指名なされるなら、全く別の方かと存じますが。」
 ふ~ん、要は思い込みの激しい困ったチャンなんだね。貴族社会については全然解んないけど、ややこしい事には首を突っ込まない方が良いよね。うん。

 …神殿長が人を甘やかす癖がある様な気がするまで後もう少し。

続く
作品名:神殿長ジルヴェスター(4) 作家名:rakq72747