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神殿長ジルヴェスター(5)

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ジルヴェスター視点



 デリアの件の後、マインとは暫くは会う機会が無かった。マインが神殿内の常識が身に付くまでは、他の貴族と鉢合わせになる場所は彷徨くな、と言っているからだろう。それから彷徨くのを許している範囲が図書室だからだろう。私が行く事は無いからな。
 後は単に通いのマインが毎日来る訳では無い事と、マイン公房の件で外出しているからか。フランやギルはマインの供をする為に外出様の服を買って貰ったとか言っていたな。
 外の世界は新鮮だったらしく、失敗もあったが、実に楽しかったと、特にギルは興奮していた。中々旨く行っている様だな。
 フランは融通が効かず、真面目一辺倒。ギルは問題児で反省室常連。私と接触し、私を通して繋がった2人は互いに影響を与え合い、良き変化を見せ、今に至っている。そう評したのはアルノーだったか。主がマインの時も協力しあっている様だ。
 報告を受けるのはマインが帰った後になるのだが、驚かされたのはデリアを懐柔したと言う事か。エグモンドとは切れてない様だが、マインの為に動こうと頑張っている様だ。
 いざやる気にならせれば、デリアは優秀でマインには淑女としての自覚を持たせるにも、年の近い同性故にか随分有利に働いているらしい。私は少しホッとした。

 私がアルノーを引き連れ、神の恵みを孤児院に配る為に院長室に訪れた時、珍しくマインが居た。…何やら良い匂いがするぞ。
「マイン、それは何だ?」
 フランが持たされているモノを指す。
「神の恵みです。神殿長も今からですよね。私、今日は時間があるので、孤児院までフランと行って見ようと思うのです。」
「それは構わぬが…、そうではなく、神の恵みそのものが気になっているのだ。其方等は食事をどうしているのだ?」
 鼻に薫る匂いは今まで嗅いだ事の無いモノだ。
「ベンノ様が用意した料理人にお願いしております。何れ食事処を作る為、私達の食事として試作して貰っているのです。今、此方にあるのはその残りですね。」
「試作…? 一体どの様な…。見せろ。」
 気になって問うと、フランがワゴンの台蓋を取った。
「何なのだこれは…!?」
 初めて見る料理に目を剥いたのが分かった
「秘密です。現在はまだお客様に出せる物ではございません。お気になるのでしたら、完成した暁にまた詳しいお話しを致しますわ。」
「うむ、絶対だぞ!!」
 何れもっと良いモノを用意してくれのだな!! …この時の私はマインの商人魂を知らなかったのである。
「処で神殿長と御一緒に孤児院に、で宜しいのでしょうか?」
「無論だ。行くぞ。」
 そうして歩き出したのだが…、忘れていたな、歩行速度。
「…其方、歩くのが遅い。摘まみあげるぞ。」
 並んで歩いていたつもりが、いつの間にか距離が生まれている。仕方無いので持ち上げた。
「その言い方は止めてくださいませ。」
 マインがムッとした顔を見せた。
作品名:神殿長ジルヴェスター(5) 作家名:rakq72747