神殿長ジルヴェスター(7)
ベンノ視点
ルッツの事で頭を痛めている。
ルッツはとても努力しているし、能力も高い。マインの事もある。だから俺はルッツの教育に力を入れている。
新しい店を作るから、勉強になるだろうとルッツを町の外に連れ出す為の許可を貰いにマルクを遣いに出したが、許さんの一点張りで話し合いにもならなかったそうだ。
まずは何とか話を、と考えていたが、怒ったルッツが家出して来た事で、ルッツの母親や兄弟達が怒り狂って、益々話にならない。
店の不利益になり得る事もされて、店全体がピリピリしている。これは駄目だ。
いっそ、ルッツを養子にでもするか? ギルベルタ商会を妹に任せて、独立を考えている身には後継ぎが出来るのは有り難い。だが両親に許しを貰えないのであれば、権力を行使した無理矢理なモノになる。ルッツは2度と家に帰れない。
オットーにも店の利益を基準にして、親になるなと言われてしまい、そうなると益々動けない。
情報が欲しくてマインに相談したが、まだ何も進んでいなかった。
コンコン。
1人悩んでいると、音が響いた。反射的にドアに顔を向ける。
コンコン。
また鳴った。…ドアじゃない。…窓? 眉を潜めながら近付く。
「!!!!!!!!????」
有り得ない。そう現実逃避しても何も変わらない。俺は呆然としながら窓を開けた。
「済まぬな、こんな夜に、こんな場所から。」
騎獣と言うらしいモノに乗った、神殿長がそこにいた。
「お待ち下さい、直ぐに玄関を「良い。」」
お開けします、と言う前に重ねられて断られた。
「もうこの時間だ。私も其方に伝達が済めば、直ぐに神殿に戻るからな。此所で良い。」
窓を挟んでお貴族様と。しかも室内側が俺。うおおおおおおおおおおっ!!!!!?????
「本日、マインよりルッツの件を聞いた。」
え。
「先程ルッツの家族と話をしてきた。」
は?
「今ならルッツとも其方とも落ち着いて話が出来よう。近い内に其方が話し合いの場を儲けよ。
ああ、それから、」
ビキリ。
「私がここまで動いたのだ。其方が悪辣な商人らしく、ルッツを裏切れば責任取って、私が片付けるからそのつもりでいる様に。」
おおおおお貴族様特有の言葉遣いは何処行ったあっ!!!???
そんでもってマイン!!! お前は何をやったんだっ!!!!!!!!
マインは大分、ルッツは少し、神殿長に気に入られていると分からされたのは翌日である。
そして更に翌々日、ルッツをギルベルタ商会のダプラに出来た。何か一気に疲れた…。
作品名:神殿長ジルヴェスター(7) 作家名:rakq72747