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神殿長ジルヴェスター(10)

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 不安な気持ちに気付いたのか、単にまだ怒っているのか、領主様は言う。
「癒しと変化をもたらす―――――、」
 シキコーザを中心に緑が増えていく。私は感動していた。
「まだだ、まだ足りておらぬ。もっとだ。」
 緑の増加が止まり、シキコーザが魔力を止めようとしたけど、神殿長が許さなかった。
「ふん、偉そうな事を言ってこの程度か。」
 あれ、気絶してない? 
「騎士団も人材不足なのですよ、兄上。でなければあの程度、討伐隊に参加してません。」
 兄弟の会話が黒いよ怖いよ。うひいぃぃぃっ!!!! 神殿長、気絶した人を投げるの遣り過ぎぃ!!
「マイン、其方の出番だ。…思いっきり遣れ。」
 背中を押された私は、神具を持つ領主様の処に向かった…。

 「癒しと変化を―――、」

 うん。自分でもビックリだよ。この美しさ。こうして私は貴族に認められた。良くも悪くも。

続く