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逆行物語 第二部~ランプレヒト~

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コンサート



 そうした経緯があったからだろうか、フェシュピールコンサートで弾く新曲作りに、何か意見をと求められた。
「うーむ…、そうだな、コンサートは印刷業の為で、それを父上が推奨しているのだったな…。ならば父上を題材にした曲を作ってはどうだろう?」
 アウブを題材に? それは難易度が上がるのでは無いか?? 
「養父様を題材にですか? 感謝の歌とか…?」
「いや、それだと遣らされている、と言う印象が出来そうだ…。普通に父上の特徴を歌うので良いでは無いか? …そうだな、母上一筋な処とか。」
 いや、それかなり恥ずかしいぞ。私ならイヤだ。
「フロレンツィア愛してるぞー、みたいな感じですか?」
 直接的過ぎるでは無いか!! 許されるなら、私は頭を抱えていた筈だ。
「グラマラトゥーアとキュントズィールの二重加護は楽士頼り(貴族的かつ芸術的な歌詞は楽士任せ)で良いとして、夫婦神の永続性は父上のみの観点だしな(万年新婚感はジルヴェスターのみが保持状態)…、主張し過ぎるとリーベスクヒルフェの悪癖に思われるだろう(ジルヴェスターのガキな中身の宣伝にしかならない)から、母上がより困る。」
 何時の間にそんなライデンシャフトを口にした様な考え(辛口意見)を持つように!!??
「?? 兄様、意味が良く分かりません。」
「具体的な歌詞は其方の楽士に頼めば良いが、方向性はきちんと決めておこうと言っているのだ。父上の気持ちをそのまま歌ってしまえば、バカ丸出しになってしまうからな。」
 ヴィルフリート様!! もっと言葉を、…ああ、選べばローゼマインが理解出来ないのだな。
「どうしてさっきの言葉がそうなるかは存じませんが、兄様が養父様をどう思ってるか分かってしまいました…。」
「私と其方との秘密だ。」
「はい。」
 ニコニコと笑っているが、私は頭が痛かった。その後、2人の会話が続き、ラッフェルはより甘く、と言う題の歌が作られた。歌詞の意味としては、出逢った時よりも、星を結んだ時よりも、共に過ごす時を重ねた今の君が愛しく、この先は更に想いが深まる、と言ったモノだ。
 …ヴィルフリート様曰く、バカ丸出しの歌詞とどちらが恥ずかしくないだろうか…。

 フェシュピールコンサートの一番最初に、アウブに感謝を込めて、と前置かれ、ラッフェルはより甘く、が歌われ、次々に貴婦人が倒れ行く。ローゼマインが危惧した通りに。
 母上は何とか堪えているが、フロレンツィア様が心配だ。アウブのお気持ちに、フェルディナンド様の美声、ある意味で一番の攻撃を受けておられるからな。
 ……何も知らないアウブが遣ってきて、突発的にフェルディナンド様と一緒にアンコールとやらで、皆が知っている歌を歌っていたが。
 ……売られた楽譜を見て、どう思われたかは知らない。これから度々登場する、フェルディナンド様の絵姿(ポスターとやら)が何やら物語っている気がしてくる様になるのは、もう少し先だ。