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逆行物語 第四部~ハイスヒッツェ~

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フェルディナンド様からの手紙



 私は震える手で、懐かしい友からの手紙の封を開けた。
「フェルディナンド様…。」
 貴族院を卒業してからは、会う事もなくなってしまった、フェルディナンド様。目を閉じると、何時でも思い出せる、心踊るあの方とのディッター…。
 下位領地に似つかわしくない、あの実力。なのに義理の母に疎まれ、神殿に追いやられている…。何と嘆かわしい事か。
 マグダレーナ様との婚姻が上手く行っていれば…。正直な話、マグダレーナ様は一体何故、フェルディナンド様では駄目だったのか、未だに解らぬ。しかし我々周囲が盛り上がり過ぎ、マグダレーナ様のお気持ちに配慮しなかった事は落ち度だった。
 フェルディナンド様をダンケルフェルガーにお迎えすると、アウブや他の貴族達に説いて廻る事に夢中で、肝心な事を怠ったのだ。
 そんな不甲斐なさをも思い出しながら、手紙を読んでみれば、辺り触らぬ事しか書いておられぬ…、ん? この匂いは…。
 ダンケルフェルガーにしか無い花がある。それは水に付けると溶けるのだ。花の溶けた水で文字や絵を書くと、書いた端から瞬く間に渇き、消えてしまう。
 しかし、数日経ってからその紙を同じ花を溶かした水に浮かべると、インクが全て消え、代わりに乾いて消えた文字が浮かび上がって来るのだ。
 どうやって手に入れたかは知らぬが、その手法で描かれた手紙らしい。紙から香るその花の匂いで気付いた。領地の境界を通ってくるに当たって、検分されているだろうが、この花はダンケルフェルガーの中心にしか咲かぬ為、存在さえ知らぬ者が多い。その様な情報まで知るとは、流石はフェルディナンド様。私は早速真なる手紙を読む為、行動した。

 な、何と!!! フェルディナンド様が結婚する!!? 

 全ての女神、と称するべき女性と結婚したいが、エーレンフェストでは不可能、ダンケルフェルガーに移住して、結婚したい、アウブ・エーレンフェストからは許可は貰っている。

 要約すると、こんな処か…。あのフェルディナンド様がこの様な言葉を…。う、う、う…。
 …しかし、アウブからの了承はあるのに不可能とは…、やはり先代の第一夫人か? 確かヴェローニカ様、だったか…。何とも情けない!
 …とは言え、ダンケルフェルガーにお迎え出来ると言うのは…、そう、ディッターが呼んでいる!!! 心が浮き立って来るぞ!!!
 …む、いかん、もう1通あるでは無いか。此方も同じ様に…。

 な、何と!!!? グ、グルトリスハイトだとっ!!! そ、そうか、だからエーレンフェストでは不可能なのかっ!!! このハイスヒッツェに!! ダンケルフェルガーに任せたいと!!! おおお…、アウブ・エーレンフェストは全て知った上で…! 情けない等、早とちりして申し訳無かった!!
 お任せ下さい!!! フェルディナンド様は!!! 必ずダンケルフェルガーで幸せになって頂きます!!!