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逆行物語 第四部~ハンネローレ~

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エーレンフェスト出身者



 やがて私の婚約者にヴィルフリート様はどうか、と言う意見が領内より出てくる様になりました。
 次期アウブのヴィルフリート様に嫁ぐ…、つまりはダンケルフェルガーから出ると言う事です。
 ディッターを求めない夫を持つ事は良いですが、やはり中領地に嫁ぐと言うは、全く違う地域に嫁ぐと言う事で、不安が無い訳ではありません。
 しかし、そんな事は問題になりませんでした。エーレンフェストの事情から、ヴィルフリート様がアウブを継ぐ事は無いと分かったのです。
 ヴィルフリート様はダンケルフェルガーに婿入りする事になりました。

 婚約者としてダンケルフェルガーに招かれたヴィルフリート様の側近は護衛騎士のランプレヒト、文官のハルトムートが付き従っていました。エーレンフェストではまだ貴族の数が少ないので、ヴィルフリート様について、ダンケルフェルガーに来るのはこの2人だけだとか。…本当に複雑な領地です。
 私は盗聴防止を遣い、ジルと会うか、尋ねました。
「ジルやマインの事はランプレヒトやハルトムートには教えておらぬ。
 それにジルは記憶を失っているのだろう? 私と会う事が良い事かは解らぬ。
 …正直、私とジルが顔を合わす事は、余程の必要性に駆られた時だと考えている。
 会わねばならない様な事は、叔父上とローゼマインから伝えられるだろう。その時までは、私は顔を見せる積もりはない。
 …そもそも叔父上に会えぬ現状では余計に、だ。」
 私はハッとしました。フェルディナンド様がダンケルフェルガーに婿入りした事さえ、知らぬ者がエーレンフェストには多くいます。その為、領主会議に出れば、逆にダンケルフェルガーに迷惑を掛けると言う事で、領地の外には出ていません。
 事情を良く知っているとは言え、ヴィルフリート様はまだ他領の人間で、況してやハルトムートやランプレヒトと言った、事情を知らぬ者がいる中では、フェルディナンド様も顔を見せられません。
 確かにその状況で2人と離れ、ジルと会うのは難しいのでしょう。
 私はヴィルフリート様のお言葉に、理解した事を返しました。

 ヴィルフリート様が実際にダンケルフェルガーに婿入りし、初めてフェルディナンド様がローゼマインの星結び相手として、顔をお出しになりました。ランプレヒトの顔が険しくなりましたが、ヴィルフリート様が押さえられました。エックハルトはそれを無感動に見ている様ですが、後で緊張していたのだと申していたそうです。
 何れゆっくり話がしたいと仰られたフェルディナンド様に、ヴィルフリート様は是非、と御応えになられていました。
 アウブが病に倒れている間に、黙って領地を出た形になっているフェルディナンド様には、余り良い感情を持っていない貴族が多い様です。
 ハルトムートは良く仕事が出来、ローゼマインのファン(?)らしいです。しっかりヴィルフリート様に手綱を取られている様で、そうでなければローゼマイン讚美が酷い、との事でした。その様な会話が出来る程度には、徐々に信頼関係が出来ている様でした。
 
 ……私とヴィルフリート様の間にゲドゥルリーヒの祝福とエントリンドゥーゲの加護を賜りました。しかしローゼマインとフェルディナンド様はとても仲が宜しいのに、何もございません。
 虚弱なローゼマインがアーンヴァックスの祝福と加護を体言するのを御待ちになっている様です。ドゥルトゼッツェンの御守りをお持ちになっている、と言う噂が真しやかに流れています。