逆行物語 第五部~フェルディナンド~
ベーゼヴァンスとゲオルギーネ
ベーゼヴァンスにも一応の常識はあったらしい。と言ってもヴェローニカに敵対する可能性を強く意識した結果だった様だが。
ベーゼヴァンスはエーレンフェストの、真なる礎に至る道を見付けていた。
それはアーレンスバッハにいる姪、つまりはジルヴェスターの姉、ゲオルギーネに探してくれと頼まれていたからだ。
神殿にこそ、真なる礎がある。それを知り、手紙に書いたものの、出す事は渋ったらしい。
ジルヴェスターは高み2歩手前のベーゼヴァンスに嫌々同調したが、正解だったと溜め息を吐いた。礎の場所を知れば、最悪力尽くで来るかも知れない。確かに手紙からも、ゲオルギーネの執心が読み取れた。
更にベーゼヴァンスはゲオルギーネに頼まれ、ベルケシュトック用の小聖杯に魔力を満たして、送っていたらしい。これに関しては、アウブの預かり知らぬ事故、次回からは送らぬと領主会議にて、アウブ・アーレンスバッハに伝える事とする。
また、その際にベーゼヴァンス愛用のインク(ゲオルギーネが贈った容器を使用)を形見としてゲオルギーネに渡す事を依頼する事で、向こうから付け入られる隙を無くそうと決定した。
無論、礎の暗号手紙は全て、此方で破棄する。この事に関しては私とジルヴェスターの2人だけしか知らぬ事となり、神殿の礎の間には、ジルヴェスター以外は入れぬ様、魔術具を使い、設定した。
それにしても…、もしグルトリスハイトを完成させていれば、礎の場所も解っていた故に、ヴィルフリートは白の塔行きであったろう。
不完全で良かったと、私は安堵した。
その年の領主会議にて。私はゲオルギーネと初めて会った。第一夫人になっていた。
隙を見せぬ為、話し合った事は全て実行した。ゲオルギーネに直接渡すと言う変化はあったが。
ベーゼヴァンスを処刑したと話し、ベルケシュトックの少聖杯に関しても、あくまでジルヴェスターにも話が通っていると思われていただろうが、と枕を付けて、次からは援助しないと言った。
第三夫人が第一夫人に成り上がる。これは偶然ではない。きっとアーレンスバッハでも話があるだろう。
アウブ・アーレンスバッハがゲオルギーネを抑えてくれれば良いのだが…。
続く
作品名:逆行物語 第五部~フェルディナンド~ 作家名:rakq72747