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逆行物語 裏二部~ジルヴェスター~

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フェルディナンドの本心



 ローゼマインが高みに昇った。それを知った瞬間、フェルディナンドが狂った。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ、」
 永遠に続くのでは無いかと思うくらい、ブツブツと言葉を止めなかった。
「フェルディナンドっ!」
 私もフロレンツィアも自分の感情と向き合う前に、フェルディナンドの異常に対処しなかれば、と思った。
 私はフロレンツィアに世話役を全員引き連れ、部屋から出て貰い、フェルディナンドの顔を覗き込んだ。瞳が魔力の暴走を伝えていて、空の魔石を当てながら、目を合わす。何を言っても無意味だと気付く。私は遅蒔きながら知った。

 フェルディナンドは、ローゼマインに懸想しているのだと。

 ずっとずっと想っていたのだと。

 私は思わず、フェルディナンドを抱き締めた。何故、気付かなかったと、自分を責めながら。フェルディナンドが自分の望みを殺す事が多いと知っていたのに。

 領地の為に、ヴィルフリートの為に、フェルディナンドにまた、犠牲を強いてしまった。
「ジルヴェスター…。」
 魔石が何時の間にか、金粉に変わって行こうとしている時、されるがままだったフェルディナンドの腕が背中に回され、強く抱き締められた。
「マインが、マイン、が……、」
 これ程、感情を露にするフェルディナンドは初めてだった。母上の殺意ある嫌がらせのせいで、感情を隠す処か、殺し続けたフェルディナンド。それをローゼマイン、いや、マインの存在が甦らせた。

 何故、2人を添わせてやらなかった。

 知ってしまえば、これ程似合いの2人は居ないのに。
 ヴィルフリートよりも、フェルディナンドの方が、マインの隣を欲した筈なのに。