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逆行物語 真五部~ローゼマイン~

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カーオサイファとの会話



 「虚弱だった処に、これまた偶然にも身食いが重なった。虚弱故に身食いによる負担が通常より大きく、魔石が出来易かった。エーヴィリーベの印を持ってしまい、益々負担は増える。結果、5才で限界、マインは生きる為、モトスウラノの魂を利用した。そして魂の強弱と立場が逆転、マインは宿主から寄生主に、モトスウラノは寄生主から宿主へと変わった。

 …後は…、貴方の知って通りの人生を送った。」
 私は声も出ない。カーオサイファの語りを黙って聞いていた。
「神は待っていた。貴方の魂を。
 基本、時間を停止している時しか、神はユルゲンシュミットに降臨出来ない。それ以外ではどうしても人の肉体を借りなければならない。まあだから、久しぶりに降臨出来る肉体の貴方やあの子はお気に入りだったのよねぇ。
 特に貴方の肉体は皆の孫ちゃんにそっくりだから、尚更ね。」
 メスティオノーラ様の事だよね…。
「貴方の魔力量であれば、グルトリスハイトに写されるからね、貴方の死を把握するのは容易いと思っていた。処が貴方の死を知ったのは、クインタの記憶によってだったわ。
 神達は探したわ。貴方の魂を。でも、そもそも高みに昇っていないなんて、思いも依らなくて。で、結局、神は時間を巻き戻せば、貴方の魂を見付けられると思った。」
【じゃあ…、今回、時間が巻き戻ったのは、私を探す為?】
 声が戻った。
「ええ。その通り。時間を戻したり、停止させたり出来るのは地上だけ。高みは影響を受けない。だから、巻き戻した先に亡くなった命があるなら、自然と高みから戻されるの。で、貴方の魂を見付けようとしたのね。」
 でも、私は此処にいたままだ。
「でも貴方は見付からない。業を煮やしたのか、それとも考えがあったのか、マインが生まれるずっと前にまで戻してしまった。
 で、やっぱり何時まで経っても貴方が見付からない。そこで私の出番になった訳。」
 え? と言う事はカーオサイファには何か魂捜しに有利な役割を持ってるって事? 神話にはそんな事書かれていないけど…。
「神には神の事情があると言う事ね。詳しくは伏せさせて貰うわ。」
 神様は本来、交渉出来る相手じゃない。私は気にはなったけど、尋ねるのは諦めた。
「私は降臨するから、時間を一旦止めろと言って、貴方の元に来たのよ。」
 他の神が見付けられないものを、易々と見付けるカーオサイファには、やはり何かしらの特質があるんだろう。でも、今は多分、関係無い事だ。
【カーオサイファ様は私を見付けて、どうするんですか?】
「それに答える前に伝えて置くわね、貴方の今の魂の姿について。」
 そう言えば、それを説明してくれるって話だった。